てんびん座γ星の掩蔽を観察しました2017/03/18

20170318月
日付が17日から18日にかわって1時間余り経ったころに、月がてんびん座γ星を隠す「掩蔽現象」が起こりました。この掩蔽は昨日の記事でお伝えしたように京都から愛知にかけての限られた地域でグレージング(接食)現象となりました。当地・茨城県ははるか東の地域のため、恒星がしっかりと隠される掩蔽になったのです。

月は左のようにまだ下弦前の月齢19.1。対して恒星は3.9等星。月明かりに比較すると星がかなり暗いのですが、接食や掩蔽のなかではかなり明るい部類です。可能なら観察してみようと思いました。ところが当地は宵の口に小雨が降り出す始末。ヤキモキしながら待っていると、日付が変わる頃から次第に雲が取れてきました。

望遠鏡にカメラを取り付け、月に向けます。傍らに小さな星が寄り添っているのが見えました。長時間露光の必要が無くビデオモードで写るようでしたので、動画撮影して現象時刻を計ってみました。予め計算しておいた予報時刻は「潜入1:26:17、出現2:09:13」でしたが、ビデオ計測の結果は「潜入1:26:18、出現2:09:14」でした。ただし潜入のほうは明るい側からだったためはっきりしません。大気の揺らぎもひどく、波間に沈みゆく小さなボールを見ているようでした。

下に潜入と出現それぞれのビデオキャプチャを載せました。矢印の先に恒星がいます。また下右画像は出現後40分ほど経ってから露出オーバー気味に撮ったもの。画像右下にてんびん座γ星が写っています。とても楽しい時間を過ごせました。

  • 20170318-012610潜入直前のγLib

    潜入前(1:26:10)
  • 20170318-020914出現直後のγLib

    出現直後(2:09:14)
  • 20170318γLibと月

    2:49頃の月とγLib


明け方低空のパンスターズ彗星&ラブジョイ彗星2017/03/18

20170318パンスターズ彗星(C/2015 ER61)
昨夜から今朝にかけて、日付が18日へ変わるのに合わせたように小雨→快晴夜と激変しました。月の出前に天高く昇るタットル・ジャコビニ・クレサーク彗星は撮影できませんでしたが、明け方に見えている低空の彗星を二つ観察することにしました。

ひとつは、今年10等以上になることが期待されているパンスターズ彗星(C/2015 ER61)。年始の1月6日に初めて捕らえましたが、それっきり。待てども待てども低空をさまよっている彗星で、天の川の星雲や星団に次々と並ぶ絶景シーンが何度もあったのに、全く撮れませんでした。ちょうど彗星の方向に建物や樹木、電線、眩しい街灯があるのです。

夜明けが迫る時間に何とか望遠鏡を向け、光害が最小限になるように気を付けながら短めのシャッターを切り続けました。左上は4:17から5分間の撮影で、上方向が天の北方向、上下画角は約1°、彗星位置基準の合成です。以前よりひとまわり大きく明るくなっており、10等台といったところ。淡く緑色のコマに覆われて、なかなか可愛らしい彗星ですね。

20170318ラブジョイ彗星(C/2017 E4)
お次は3月9日に発見されたばかりのラブジョイ彗星(C/2017 E4)。実はこちらが今朝の本命でした。現在は12等前後ですが、4月中旬に9等台になる予想です。ただしこちらも上記のパンスターズ彗星と同様あまり高くならず、一番高いシーズン(今月末)でも薄明開始時に20°あまりです。

右は4:48から5分間の撮影で、画角・方向などは上記のパンスターズ彗星と一緒です。こちらは淡く広がる緑色のコマのみで、彗星核のようなところは見えませんでした。もう航海薄明が始まるころでしたが、パンスターズ彗星よりも低くて、この時間まで待たないと隣家から顔を出しませんでした。月明かり+街灯+薄明で、よく写ってくれたものです。(※元画像は見た目がまっ白です…)

なおラブジョイ彗星とパンスターズ彗星は5°弱しか離れていませんでした。背景の星の移動方向が違うことから、それぞれ違うほうへ向かっていることがお分かりでしょうか。今朝が両彗星の最接近日だったようで、今後は離れてゆきます。その後、4月19日にはラブジョイ彗星がアンドロメダ銀河に5°弱まで迫る予定です。ただし低空ですよ…。

(※実はラブジョイ彗星と同じくらい低空の北側には更にもうひとつ、3月1日に発見されたばかりのボリソフ彗星(C/2017 E1)がいました。こちらは隣家に完全に隠れてしまう位置でした。)

参考:
ラブジョイ彗星(C/2017 E4)に関係する記事(ブログ内)

今日の太陽とハロ2017/03/18

20170318太陽
明け方は晴れていたものの、日が登ると薄雲が広がってきました。それでもまだ午前中はとても薄い雲だったので何とか太陽観察ができました。

20170318太陽リム
左は10:30過ぎの太陽。活動領域は見当たりません。プロミネンスもチョロチョロですね…。無黒点は10日以上続いているようです。

20170318内暈
午後になると空を覆う雲がすこし厚みを増したようで、太陽光が弱々しくなりました。15時頃には内暈が見えましたが、上半分がぼんやり見えるだけで、下半分は霞に飲まれていたようです。しばらく観察しましたが、内暈以外の現象は見えませんでした。