光害地での天体撮影(かみのけ座のNGC4565)2017/03/02

20170301_NGC4565
昨日の記事に続き、3月1日に試写したものから。左はかみのけ座にある有名なエッジオン銀河NGC4565。アマチュアの小型望遠鏡でもそれなりに大きさが分かる系外銀河です。2時間近くかけて撮ったものをコンポジットしています。これもカラーでのフラット補正がうまく行かなかったので白黒で処理しました。比較のため右下に1月26日撮影のカラー画像を掲載しました。露光は約4分の1の30分ほどです。

20170126_NGC4565
長時間に及ぶ露光はフィルム時代には「一発勝負」でしたが、デジタルの現代では「短時間露光×多枚数」が主流となりました。ケースバイケースですが、例えばひとつの天体を10分露出で撮影するとして、「1分×10枚」でも「5分×2枚」でも「1秒×600枚」でもいいのです。撮影後にかなり大規模な処理をできるため、その手間暇(ソフト面・ハード面とも)との折り合いを、撮影時の負担軽減に回すと言うことですね。

NGC4565比較
でもそれ以外に、「1分×10枚」にも「5分×2枚」にも「1秒×600枚」にもそれぞれ「撮影上の」メリットとデメリットがあり、そこも考えなくてはいけません。街中の撮影ではノーフィルターで5分も露出をかけたら画面が真っ白になるため、最初から「5分×2枚」の選択肢がないのです。

NGC4565の面白いところはいろいろありますが、私は「エッジの暗黒帯」に魅力を感じます。ところがここをうまく表現したいと思っても元々非常にコントラストが低いので、光害の程度によっては写し取れないんです。光害地前提で考えたとき「光害でかき消されないギリギリの露光時間」を見極める経験を積む必要がありますね。

また当然ながら、無光害地での撮影に比べてはるかにS/N比が悪いので、それを補えるほど大量のコマ数が必要になります。左上画像は上の2枚の中心付近を原寸大で切り出したもの。右は2.5分×12枚、左は3分×40枚。ガイドが少々流れているのはさておいて、暗黒帯の滑らかさが違いますね。しかしながらこんな描写ではまったく物足りません。おそらく2、3分の露出で数百枚必要になるのでは?と考えています。そうなるとひと晩での撮影は無理ですから、何日もかけて一つの天体を撮ることになりますね。…フィルム時代は考えもしなかったことですが、今はそれが可能な時代なのです。光害地での条件探求はまだまだ先が長そうです。

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