小惑星がまもなく地球に接近2015/01/23

小惑星とは惑星になれなかった小さなサイズの太陽系天体です。これまで30万個以上発見され、特に珍しくも何ともない天体ですね。そのほとんどは火星より遠く木星より近いところを円に近い軌道で周回しているそうです。

例えば私の名を付けていただいた小惑星9422(Kuboniwa)は、軌道の形を示す離心率が0.1555(0に近いほど円軌道、1なら放物線)、一番太陽に近づく近日点距離は2.0789天文単位(火星1.38、木星4.95にはさまれてる)、地球軌道面からどれだけ傾いているかを表す軌道傾斜角は1.4423度(ほとんど同じ面を回ってる)という、典型的な「普通」の小惑星でした。

ところがその規則から外れた、地球や太陽近くまでやってくる小惑星も何千個か見つかってます。特異小惑星、地球近傍小惑星などと呼ばれます。先日1月11日に金星と水星が接近と話題になりましたが、あれは空の中で近くに見えたという「見かけ上」のお話し。地球近傍小惑星は本当に天体同士の距離が近くなり、時には地球と月の間に割って入るほど近づくものもあるんです。もし大きな小惑星が地球にぶつかったら、全地球規模の最悪な災害となるでしょう。大震災や火山噴火の比ではありません。全生命の危機でしょう。映画に出てきそうな話ですが、これは現実です。地球に小天体がぶつかってできたと考えられるクレーターは世界各地に見つかっています。上のGoogleMap(カナダのクレーター、東京都がすっぽり入ります)はほんの一例で、姫路市の「星の子館」サイトにたくさん紹介されていますのでご覧ください。

だいぶ前からですが、まず防御はできなくても危険な小惑星を探して軌道を予測するようなプロジェクトがいくつか編成されるようになりました。いつか危機が回避できる未来が来ることを祈っています。

20150126小惑星2004BL86星図
恐い話はこれくらいにして、そんな地球近傍小惑星のひとつが1月26日-27日に地球近くを通り抜けます。関東はお天気が微妙ですが、情報を出しておきますので観察できる方はぜひ見てみましょう。この小惑星は直径680mほどで、「2004 BL86」という名前で呼ばれます。基本的な情報は次の通りです。左の26日夜の星図や下の27日夜の星図と一緒にご覧ください。(星図はステラナビゲーター使用、赤道座標表示です。また計算はMPCによります。)

20150127小惑星2004BL86星図
  • 地球に最接近するのは27日1:10頃で、距離は月までの距離(約38万km)の約3倍です。
  • 見かけの移動が最速なのは27日1:30頃、毎分161.66秒角(1時間換算で約2.7度)です。
  • 記事を書いてる現在(2015/1/23)は南半球の空にいて日本から見えません。
  • だんだん北上して、26日の夕方頃から日本の空に10等星台で見え始めます。
  • 27日明け方5:32頃に天の赤道を越えて空の北半球に入ります。
  • 計算上最も明るいのは27日13:30頃(昼間)で、9.0等星です。
  • 太陽に一番近づいたのは昨年2014年12月20日12:30頃でした。

9-10等星ということで肉眼では絶対見えませんが、望遠鏡なら眼視で確認できるでしょう。天体写真を撮れる方はできれば200mmクラス以上の望遠で狙ってみてください。26日の夜、27日の夜とも小惑星が高速で移動する様子を見られます。特に見所はメシエ天体と次々に接近するシーンで、次の様なシャッターチャンスがあります。

  • 26日20:00頃 M93の側を通過
  • 27日3:20頃 M48の真ん中を通過
  • 27日日没時頃 M44(プレセペ星団)からだんだん離れる

あとは…お天気次第ですね。27日夜は月面Xデーでもありますので、忙しい!?
補記:1月28・29日各夜用の星図はこちらに。

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