相変わらず雨雲の隙間から月と木星観察2023/08/10

20230810_28641月
昨夜から今朝も雲が多く、時々通り雨もありました。明け方にかけて雲が少ない時間があったのですが、それでもいきなりやって来た雲が数分間の雨を降らせますから、おちおち星空を観察できません。諦めれば楽なのでしょうが、ついつい粘ってしまう性分です。おかげで(?)なんとか月と木星を観ることができました。ただ、雨雲と雨雲の間に大慌てで撮っており、シーイングはかなり悪かったです。湿度99%、ひっきりなしに雲が湧いては足早に流れてゆく天気ですから仕方ありません。

左画像は10日4:30前の撮影で、太陽黄経差は約286.41°、撮影高度は約60.06°、月齢は23.04。木星撮影のあと望遠鏡を交換したため、空はかなり青く明るくなっています。下弦を過ぎておなかが凹んできました。登りたての頃も見えたのですが、だいぶ舟のようになってきました。もうすぐ水平月になりますから当然ですけれど、台風7号が直撃しそうです。

欠け際はプラトー、エラトステネス、ガウリクス、ティコなどが真っ黒な口を空けていました。クラヴィウスもイイ感じにメガネが見えてますね。プラトーを良く見ると、単純に真っ暗なのではなく、Ray現象が起こっていました(右画像参照)。ただRayと言うには幅が広く、端にクレーター西側の山の端が影を落としているだけの絵面になっています。もう少し時間が経てばもっと細幅になるかも…。Rayと呼ぶにはクレーター縁に深く抉られた谷や凹み、隙間があり、スリット光のように漏れ落ちる光の幅がある程度絞られる必要があります。

20230810_プラトーRay
プラトーのRay現象は上弦側が知られており、プラトーGという小さなサテライトクレーターの近くにある凹みから直線状にこぼれ落ちる光線になります。ただし可視条件がかなりシビアで、細い光線として見えるのは僅か30分内外。それ以降は一気に太くなってしまいます。プラトーのクレーター縁は凹凸差が少ないことの現れですね。今年2023年は11月21日18:01頃からの30分間、来年2024年は1月20日0:42頃からの30分間(低い!)、5月16日22:57頃からの30分間…という具合です。観察できる方は予報日時にぜひ月を仰いでください。とても暗いですから、電子観望などで明るさを増強してあげるのが良いでしょう。

20230810木星
月に先立ち、木星も観察・撮影。ガニメデが近くにいました。木星が昇りたての頃はガニメデの影も見えていたはずです。四大衛星のうち最遠のカリストだけ、2022年8月下旬以降は木星に影が投影されなくなりました(→2022年8月20日記事の追記参照)。

次にカリストの影が見えるのは多分2025年5月21日4時台。残念ながら日本では沈んでいて見えません。でもその後3年あまりは見え続けますからチャンスはあるでしょう。四大衛星だけでなく、四大衛星の四つの影もぜひコンプリートしてみてください。

今日の太陽と昼間の金星2023/08/10

20230810太陽
今日も朝からもくもくした雲が南から北へ流れて行きます。昨日は雷鳴が聞こえるほど怪しいお天気になったけど、今日はまずまず。気象庁アメダス速報値の本日0時から15時までの集計による夏日地点数は881、真夏日地点数は696、猛暑日地点数は163。

20230810太陽リム
左は13:40の太陽。雲間から撮影しました。悪天続きで少し見ない間に活動領域の数が減りました。右半球が中心になってしまいましたね。南極側左寄りに、とても淡いけれど高く発達したプロミネンスが二系統見えました。撮影ROIで切れてしまってますが、もっと高いのでしょう。

20230810金星
暑くて雲も多く、おまけに風も強かったけれど、金星にも挑戦。太陽を隠すとファインダーでぎりぎり見えました。あまりにも細くてそろそろ限界…。

左画像は13時少し前の撮影で、 太陽離角は約8.92°、輝面比は約1.18%、視直径は約57.45″。風と大気の振動で、どうしても針のような細さが表現できません。