安定した空で月を楽しむ2023/07/26

20230725_08454月
昨夕から今朝にかけて概ね晴れましたが、明け方に向かって透明度がどんどん落ち、最終的に巻雲が湧いてしまいました。夕空の月は透明度の良い状態で観賞できたので大満足。

昨日は月面X&LOVEデーだったのですが、XおよびOVE地形は日没前に出現してしまったため、空が暗くなる頃には各文字がずいぶん光ってしまった状態でした。左画像は25日19:45頃の撮影で、太陽黄経差は約84.54°、撮影高度は約29.74°、月齢は7.68。月面L地形は予報上ではほぼ出現しているはずでしたが、まだ完成していませんね。緯度が高いため出現日の微小な条件の違いによって日照が変化してしまうのです。時間があったら別の観点で日照予報理論を作りかえてみようと考えています。

撮影開始時、既に月が低くて建物に隠れそうだったので、大急ぎで目に留まった地形をいくつか拡大撮影(露出オーバー気味に)しておきました(下A・B・C画像)。A画像は一朔望月前の記事で紹介したエリア。残念ながらアンペールの二つ星から見た太陽高度は約-1.45°で、まだ日が差していない状態です。また本日(26日)夕方は既に日が高いため、周囲まで明るくて二つ星には見えないでしょう。日没後に限定するなら、次回は今年12月20日宵にチャンスが巡ってきます。

ひと晩前微かに見えたバレンタイン・ドームはすっかり明るくなりました。「点々の横向きハート」もしっかり見えていましたよ。これは月面LOVEとセットで見なくちゃいけません(使命感)。アリスティルス周囲の皺や溶岩流の名残はいつ見てもワクワクしますね。

B画像上端にヒギヌス谷・トリスネッカー谷付近がとても良く見えていました。「月世界への招待」サイトで紹介されていたアルバテグニウスの浅いくぼみがいくつも見えていました。オッポルツァーとレオミュールのクレーター壁が点線円状に見え、そこにオッポルツァー谷とレオミュール谷が絡んでいます。まだ真っ暗なプトレマイオスですが、最西端のごく一部に光が当たっているのが印象的。

C画像上のほうに写っているX地形の上側にあるラカーユではRay現象が起こっています。小さなクレーターでのRay現象はなかなか遭遇できないので幸運でした。ヴァルター内ではセンターピークが単独で光っているほか、南西にごく小さなX文字(ギリシャ文字のχかな?)が見えています。これ何でしょう?その下、シュテーフラー内には東西方向に伸びる幅が太くてごく浅い地形のようなものが見て取れますが、これも謎です。実際そのようになっているのか、アルベドの違いだけか、はたまた画像処理上のアーティファクトか…?明暗境界は何時間見ていても飽きが来ません。

  • 20230725カッシーニからアペニン山脈

    A.カッシーニからアペニン山脈
  • 20230725ヒギヌス谷からアルバテグニウス

    B.ヒギヌス谷からアルバテグニウス
  • 20230725月面X地形からE地形

    C.X地形からE地形


20230726木星
夜半をはさみ、別の観測を一件こなしました。写っているかまだ確かめていないため、写っていたら機会をあらためてご紹介します(→追記:こちらに掲載しました)。その後出しっぱなしの機材を付け替え、流れで明け方の木星を観察(右画像)。撮影中央時刻は26日3:30過ぎごろです。

撮影開始時に「今日は暗いなぁ」と感じたのですが、そのままスタート。数分経ったところで木星面が急に明るくなったとき初めて淡い雲がかかっていたことを悟りました。全ショットをデローテーション合成し何とか事無きを得ました。たまに大きく乱れますが、概ね良好なシーイング。大赤斑はちょうど隠れた後でした。NPR(北極地方)のブツブツ感がいつになく増している気がします。

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