またまた雲間の惑星や月2023/07/03

20230702金星と火星の接近
昨夕は薄雲が空全体を覆いつつ流れていながらも、隙間からちらほら星々が見えました。2023年2月13日記事に書いた通り、今年1月から繰り広げられた宵空での「金星と月惑星の接近イベント」も7月1日の火星との接近を持って終了。(7月にも月や水星と接近しますが、5°以上離れています。)前夜は天気が悪くて全く見えなかったので、昨夕あらためて観察しました。

最接近の翌日ではあっても金星と火星はほとんど離れず、3.5°あまりの離角でした。小型双眼鏡でみると両惑星がすっぽり視野に収まります。左は少し薄暮が収まった20時ごろの撮影(画像上が天頂方向)。かなり雲がかかっていますが、天体たちの様子は分かるでしょう。一番明るいのが金星、中心を挟んで金星と反対にある赤い星が火星。画像左上の輝星はしし座のレグルスです。このほか原画ではぎりぎり小惑星パラスが写っていました。

火星は現在1.7等前後で最も暗い時期ですから、雲が無ければレグルスのほうが明るく写ったと思われます。情けない光り方…と言ったら失礼でしょうが、間もなく最大光度を迎える金星が隣にいては相手が悪かったとしか言いようがありません。このあと金星が逆行を迎える7月下旬まであまり離れることなく並走を続けます。

20230702_16671月
満月を迎える本日3日の天気が悪そうなので、雲越しながら月面も撮影しておきました。赤緯がとても低いため南中まで待ちたかったけれど、天気はどんどん崩れるばかり。南中の1時間以上前、大慌てでの撮影となりました。右画像は2日21:40前の撮影で、太陽黄経差は約166.71°、撮影高度は約23.51°、月齢は14.33。まだ西側が欠けています。

北東の際にフンボルト海が良く見えるようになりました。そこからリム沿いに少し北上したところに、不鮮明ながら黒い影が見えます。最初はセンサー上のゴミかと思いましたが、元動画を見るとシーイングの揺らぎに合わせて動いたり変形してますので月面上の実像ですね。場所はハイン(Hayn)・クレーター内でした。アルフォンススのような暗斑はクレーター内に無いようなので、これはクレーター壁の影なのでしょう。ハインの北緯は64.7°。満月期であっても高緯度地域から見れば太陽は斜陽ですから、壁や山には影ができます。太陽照射と視線方向が一致しない限り、その影は地球から見えるのです。

北極地方に大穴を開けているのはエルミート。欠け際に沿って南下すると、パスカルやピタゴラスを経てクセノファネス、レプソルト、フォン・ブラウン、ラボアジェあたりの複雑なクレーター群が見えました。普段なかなか辿り辛い場所なのでじっくり見たかったけれど、雲が多過ぎ…。アインシュタインはまだ日が当たっていません。このあたり、縁ギリギリに見えるボーア、レントゲン、ベル、ローレンツなど著名な人々のクレーターもいつか訪ねてみたいですね。

20211211フンボルト海周辺
上弦のころ撮影したフンボルト海(2021年12月12日記事参照)の画像にクレーター名を入れてみました。この画像はリムを上に撮影したので、左側に行くほど北極へ、右に行くほど赤道へ近づきます。

画像左寄りほど高緯度になるため、クレーター内に占める影の割合が大きくなりますね。前述したハインを見るとクレーターの右側(南側)にはっきりした影があります。この辺りより高緯度クレーター内の影は満月期になってもしつこく残ります。過去の満月前後でフンボルト海が写っているころ写真を撮っていたら確かめてみてください。



今日の太陽2023/07/03

20230703太陽
昨夜から今朝は薄曇り時々晴れ、のち皆曇。今日朝からはゆっくり回復し、昼には半分ほど青空になりました。(薄雲はかかりっぱなしですが…。)唐突にセミの声があちこちから聞こえてきました。

20230703太陽リム
左は13:50過ぎの太陽。左上の小黒点周囲は活動領域13360と採番されました。現在見えている活動領域は11ヶ所です。右上、目立つ黒点がある13354は相変わらず活発で、本日8:13JSTにX1.08クラスフレアが発生しました。右下画像はSDOサイトからの引用で2日23:55:56UT(3日8:55:56JST)の画像。ピークから40分以上経ってもまだ激しい爆発の様子が見えています。X線フラックスがCクラスまで下がったのはピークから約2時間後でした。

20230702-235556UT_AIA131
左下付近のプラージュも見事ですね。数分くらい見ていると光る様子が変化していることが分かります。プロミネンスは減ってしまいましたが、右上リムのものは長いダークフィラメントの一部が見え始まってるようです。

気象庁アメダス速報値の本日0時から15時までの集計による夏日地点数は665、真夏日地点数は245、猛暑日地点数は2でした。深夜から九州を中心に大雨となっており、線状降水帯が発生しています。