同位相に近い月と金星2023/07/22

20230721_03990月
昨夕は雲が残ったものの、やっとまとまった晴れ間が訪れました。20日に雲が多くてチラッとしか見えなかった月も、これならゆっくり観察できそう。2023年6月1日記事に書いた通り、本日22日4時過ぎに月と金星が同日同位相になりますので、昨夕の月と金星も見た目がかなり近い形のはず。両方を撮影してみました。

左画像は21日19時過ぎの撮影で、太陽黄経差は約39.90°、撮影高度は約23.20°、月齢は3.65。また右下画像は先行して日没前、17:30過ぎに撮影した金星で、撮影時の太陽離角は約30.33°、輝面比は14.55%、視直径は46.20″。それぞれの位相角(地心)は月が約139.84°、金星が約135.15°ですから、月のほうが若干細身ですね。本日も撮影できたら比べてみようと思います。

20230721金星
月面をあらためて見ると、もうこんなに月齢が進んでいたのかとビックリしました。夏から晩秋にかけては白道が寝てしまいますから、月齢3未満の月は高度が上がらず探し辛くなります。昨夕の三日月は秤動の巡り合わせも悪く、東側が見えているのに地形も東に寄ってしまっていました。危難の海がとても細長いですね。豊の海のリンクルリッジがとても見やすい日でした。

一番目立っていたのはスネリウス谷。ペタヴィウスとフルネリウスの間を通り、スネリウスとステヴィヌスを掠めている非常に長い谷です。南側にあるレイタ谷と似た方向性ですが、平行でないのが興味のそそられるところ。深い谷だからでしょうか、明暗境界を3.5°ほどオーバーシュートして光が影側まで届いています。レイタはまだ光が届いていませんが、北側にあるレイタEというプラナリアのような形のクレーターに光が当たり始め、面白い光景です。

日没後から増えてきた雲が次第に増え、見えているはずの火星や水星を確認することができませんでした。夜半過ぎまで雲多めの空が続きました。明け方が近くなると雲間が大きくなったので土星と木星を観察(下A・B画像)。細かな気流の乱れとともに、ときどき熱いヤカンを鏡筒前に置かれたかのような大きな揺らぎがありました。それでも高度がかなり出てきたおかげで、無理な画像処理を施さなくてもナチュラルに像が仕上がるようになってきました。シーイングの良い日が恋しい…。(※記事中、土星画像は上が天の北方向、その他は上が天体の北方向です。)

  • 20230722土星

    A.22日明け方の土星
  • 20230722木星

    B.22日明け方の木星


今日の太陽2023/07/22

20230722太陽
午前は少し雲がありましたが、昼過ぎから青空が多くなりました。関東甲信と東北地方が梅雨明けしたそうです。東寄りの風のおかげで当地の気温はやや低く、とても過ごしやすい。気象庁アメダス速報値の本日0時から15時までの集計による夏日地点数は869、真夏日地点数は572、猛暑日地点数は25、酷暑日地点数は0。

20230722太陽リム
太陽観察前にX線フラックスを確認したらM3.2クラスフレアが発生中(ピーク12:36JSTごろ)だったので急きょ観察。でもしばらく上空で停滞する雲に邪魔されてしまいました。

左は13:10頃の撮影。あちこちに黒点が目立ちますが、右上の活動領域13372にフレアの痕跡がありました。観察時刻でもまだC7.9クラスほどありました。太陽の静穏期ならこれでも十分すごい規模ですね。左リムのプロミネンスがささくれ立っています。もう光球内に入っているのかな?

同日同位相を迎えた月と金星2023/07/22

20230722金星
一日前の夕方にも撮影しましたが、本日は月と金星が「同日同位相」になりました。両天体の位相角が一致する瞬間があり(4時JST過ぎでした)、そのため見た目の形がほぼ相似になります。

左画像は15時ごろ青空の中で撮影した金星。太陽離角は29.55°、輝面比は13.74%、視直径は46.85″。また右下の月画像は16:20ごろの撮影で、太陽黄経差は約49.55°、撮影高度は約55.90°、月齢は4.53。それぞれの位相角(地心)は月が約130.25°、金星が約136.48°ですから、今夕は金星のほうが若干スリムになりました。昨日と比べ、逆転しましたね。どちらかと言ったら21日夕方のほうが位相が近かったです。

20230722_04955月
今日午後は雲が去ったものの、けっこう強め(風速5m/s前後)の風が吹き続けていました。このため、低倍率の月はともかく強拡大の金星は写野のなかで踊り狂ってしまいました。ROI面積を通常の4倍にして何とか場外乱闘は免れたものの、辛いものがありました。意外にもシーイングは良く、ぴたっと止まった瞬間の金星はとても美しかったです。なおそれぞれの画像は背景の青空を真っ黒に近くしてコントラストを付けてあります。実際に見るとここまでくっきりとは見えません。

来月も同日同位相がありますが、8月15日。つまり内合(8月13日)のすぐ後になります。月も金星も極めて細く、捕らえるのは困難でしょう。9月からは明けの明星と下弦過ぎの組み合わせがしばらく続きます。早起きできる方は見比べてみましょう。

20230722_05095月
【追記】
日没後少し暗くなってから、あらためて月を撮ってみました。当然ながら少し太くなっています。左画像は22日19:30少し前の撮影で、太陽黄経差は約50.95°、撮影高度は約23.90°、月齢は4.66、位相角は約128.86°。

日中撮影画像と比べると、特にジャンセンあたりに光が入り込んで明るくなった様子が分かりやすいですね。一日前に見えなかったレイタ谷が良く見え、代わりにスネリウス谷が明るくなりすぎて谷らしさが減りました。

豪快に位相が変わって行く様を見るのは楽しいものです。惜しむらくは一番面白い上弦過ぎまでの期間、南緯がどんどん下がってしまうこと。少なくとも我が家の狭い庭から見えなくなってしまいます…。