まもなく環の傾斜が年内最小となる土星2023/05/26

20230526土星
明け方の南東、土星が少しずつ高度を増しています。5月28日19:46には西矩(※黄道座標系計算)を迎え、太陽から西へ90°離れて見やすくなってくるでしょう。(※赤道座標系計算では6月1日23:50に西矩)。

昨夜から今朝は巻雲が多く、宵の月や惑星撮影は諦めました。ただ今日未明に起きてみると、2:00-3:30ごろにかけて雲が少なくなってくれたようです。薄明が始まりかけていたため時間のかかる天体の観察はできませんから、土星に絞って観察撮影してみました。2018年10月に赤緯が最も低い時期を迎えた土星。このプラスマイナス2年間は隣家が邪魔で我が家から殆ど見えなかったのですが、2021年ごろからだいぶ撮影しやすくなりました。

20220930土星
今期初観察となりましたが、シーイングは悪く時々大きくぼけました。ですが、急激に環の傾きが浅くなったことは分かります。再来年の「環の消失」に向かって徐々に傾きが減ってはいるのですが、年変動(正確には会合周期に沿った変動)の極大・極小幅が10°近くあるため、特に去年晩秋から今年初夏までの間は環の消失に向かう平均減少率を上回る減り方になるのです。右画像は全く同一機材で2022年9月30日に撮影したものですが、半年あまりで別人か!?と言うくらい変わってますね。

20230526土星の中心緯度
2022年8月15日記事にも掲載した土星の中心緯度のグラフを右に掲載しました(今年5月以降)。去年10月22日ごろ“去年夏以降で最大”の環の傾きを迎えた土星は、今朝の土星に至るまでになんと9.48°も傾きが浅くなっています。このあとも6月13日まで減り続けますが、面白いことにその後は“今年夏以降で最大”となる11月2日まで回復を続け、結局差し引き5.74°の減少になるのです。

1年の中でもこれだけ変化することは、日々追い続けている方でない限りご存知ないでしょう。でも、毎日とは言いませんが月一回の観察でも感じ取ることはできると思います。なんなら、6月と11月だけでも良い(笑)。機会を作って望遠鏡で見比べてください。