夕方に月が戻る2021/11/06

20211106月
昨日新月を迎えた月ですが、昨日夕方はほぼ太陽と一緒に沈む高度のため見えず終い。今日も日没時点で約9.5°という低さ。日没前から探し始めましたが低空に雲があってなかなか見つかりません。日没10分後にやっと見つけて撮影しました(左画像)。

ご存知の方も多いでしょうが明後日8日昼過ぎに月が金星を隠す「金星食」が起こります。天体が別天体を隠すことは「掩蔽」と呼ばれ、天体の影に入って見えなくなる「食」とは異なるのですが慣例的に「日食」「惑星食」などと呼ばれます。

20211106金星
今夕の金星と月の位置関係は右画像のとおり。月が見えていたのが1分足らずだったため右画像に月は写っていません。明日7日はかなり接近し、明後日8日夕方は金星食を終えた月が金星位置を追い越して東側(左上側)に並んで見えるでしょう。

金星食は世界のどこかで毎年1、2回起こっていますが、日本で見えたのは2019年8月1日以来でしょうか。ただしこのときは太陽離角が3°ほどで、どなたも見えなかったと思われます。その前は2012年8月14日明け方。全国的に好条件の金星食でした。これも当地・茨城県南部では月出から食になる前に少し見えただけで雲に覆われてしまい、夜が明けつつある中に再度見えたときはもう食が終わっていました(下A・B画像)。その前は2003年5月29日昼過ぎや1989年12月2日夕方などまでさかのぼります。

国内に限って言えばそれくらい頻度が少なく、しかも晴れるとは限らないので一生に数回見ることができれば上々でしょう。「月と惑星の接近」は年間に何度も見えますが、惑星食ともなると本当に稀なのです。明後日も天気が心配ですが、もしわずかでも晴れたら昼過ぎの青空を探してください。(→参考:国立天文台「ほしぞら情報」

今回は金星が最大離角を迎えて間もない時期(太陽から一番遠い)に起こるため、条件は最良と言えます。太陽光が顔に当たらないよう工夫すれば、肉眼で両天体ともに見えるでしょう。小型双眼鏡があればクッキリします。青空の白い月は携帯カメラでも手持ち撮影できますから、金星も一緒に写るかも知れませんよ。かなり低いですから南の視界に注意しましょう。場所によっては金星食の時間帯に子午線超えが起こるため、赤道儀で追いかける方は反転動作にもご注意。

なお来年5月27日昼過ぎにも国内で見える金星食があります。ただし南西諸島限定。梅雨時期に重なるためこれまた微妙ですが、どうしても見たいという方は旅行してくださいね。

  • 20120814金星食

    A.2012年8月14日の金星食(終了後)
  • 20120814金星食

    B.こんな空でした…


参考:
アーカイブ「1.5等星以上の掩蔽」
アーカイブ「昼間に月と金星が近い日」
アーカイブ「天体の接近現象一覧」

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