ますます好条件になったオリエンタレ・ベイスン2021/11/27

20211127_26193月
昨夜から今朝も概ね晴れました。明け方の気温が2.5度まで下がり、未明には雲の発生もあったため大気の動きが激しいことは明白で、シーイングは期待できません。それでもオリエンタレ盆地観察好機ということで、前夜に続き観察してみました。

今朝方は月の位置がずいぶんレナード彗星(C/2021 A1)に近くなってきたため、この彗星観察はすぱっと諦めました。その代わり、昨日の記事に書いたように日周秤動が有利になるよう薄明ギリギリまで待って月を見ることにしました。右は5時少し前の撮影で、太陽黄経差は約261.93°、撮影高度は約70.7°、月齢21.95。下弦まで残り16時間半の月相です。

アペニン山脈が欠け際に差し掛かりました。直線壁もよく見えていますね。その右にある月面X地形は半分だけ光っています。X地形の尾根は東(右)に向かって緩く傾斜していますから、下弦状態で太陽が一定高度以下になると右側が光ってくれないのです。

さて、肝心のオリエンタレ盆地ですが…天文薄明が開始する少し前、4時半ごろに撮影してみると、シーイングがとても悪く酔ってしまいそうでした。航海薄明まで待つとかなり改善され、落ち着いて観察できるようになりました。

20211127オリエンタレ盆地付近
左は5:15頃の撮影。昨日と比べてかなり地球側を向いていることが分かるでしょう。「東の海」の見かけ上の面積も広がり、内部の様子が詳しく分かります。もう少し月齢が増してクレーターや山脈に影ができるくらいだとメリハリ付いて良かったのですが、贅沢は言いません、見えただけでもヨシ!!ですね。普段は月の裏面で見えないものを観察できる面白さにはまってしまいそう。

今日と同程度の状態が明日明け方まで続き、明後日からは段々見えなくなります。2022年1月下旬まで時々起こる「オリエンタレ盆地観察絶好期」、その後は5年ほど今期のような良条件になることがありません(※記事末補記参照)。折角のチャンスですから、晴れていたらぜひご覧ください。


月を待つまでの間、日をまたいでシュヴァスマン・ヴァハマン第1彗星(29P)、フェイ彗星(4P)、アトラス彗星(C/2019 L3)の三天体を撮影しました。星仲間の(の)さんが「29Pがとても大きくなってる」とおっしゃっていたので気になっていたのです。下画像の29Pは2021年10月5日記事の画像と同一機材・ほぼ同じ縮尺ですが、とんでもなく大きくなりましたね。これは眼視での光度観測が難しそう…。どこまで拡散しちゃうんでしょうか?

  • 20211126シュヴァスマン・ヴァハマン第1彗星(29P)

    シュヴァスマン・ヴァハマン第1彗星(29P)
  • 20211126フェイ彗星(4P)

    フェイ彗星(4P)
  • 20211127アトラス彗星(C/2019L3)

    アトラス彗星(C/2019 L3)


【補記】
大雑把ながら来年以降2040年頃までの「オリエンタレ盆地が見やすい時期」を概算すると次の日々が出てきました。(前後につながらない単独日は省きました。当ブログ基点である茨城県つくばの測心計算によります。)

  • 2027年06月28日 - 2027年06月30日
  • 2027年07月25日 - 2027年07月28日
  • 2027年08月22日 - 2027年08月25日
  • 2033年02月23日 - 2033年02月25日
  • 2033年03月23日 - 2033年03月26日
  • 2033年04月20日 - 2033年04月22日
  • 2034年03月15日 - 2034年03月16日
  • 2034年04月11日 - 2034年04月14日
  • 2034年05月09日 - 2034年05月12日
  • 2038年11月19日 - 2038年11月21日
  • 2039年12月08日 - 2039年12月11日
  • 2040年01月05日 - 2040年01月07日

どの程度を「見やすい」とするかは人それぞれと思いますので、予報にとらわれず探してみてください。



今日の太陽2021/11/27

20211127太陽
一昨日と打って変わって、明け方に今期最低の2.5度。そこからの立ち上がりも鈍く、強風も相まって肌寒い一日になりました。

20211127太陽リム
左は9:50過ぎの太陽。驚いたことに活動領域が増え、12899、12900ができていました。12899は一昨日に見えていた細かいもの、12900は12898の直ぐ側です。左下のループプロミネンスはまだ少しはみ出ていますね。右に寄ってきた南半球のダークフィラメントも健在。このままリムまで行ってほしい。