小惑星2018MB7が接近中2018/07/01

小惑星2018MB7の軌道
世間は小惑星リュウグウで盛り上がっていますが、地球のそばにも久しぶりにアマチュアの手が届きそうな小惑星が飛来しています。もし17等から18等程度なら撮影できるよ、という方がいらっしゃったら、ぜひ挑戦してみてください。

最近発見されたその小惑星の名は「2018 MB7」。JPL Small-Body Database Browserによると左図のような軌道だそうで、いま正に接近中。一番近くなるのは7月4日8:53UT頃(17:53JST頃)で、地心距離は2.78LD(LD=Lunar Distance=384000km=月までの平均距離)。

小惑星の絶対光度・反射率・直径(20-25等)

絶対光度・反射率・直径の関係
観測から求められた絶対光度は23.737等で、これを2017年10月1日の記事にある「絶対光度・反射率・直径の関係」を使って解くと、「反射率0.05とすれば107.8m、反射率0.25だと48.2m」。小惑星2018 MB7の表面まではまだ分かりませんが、平均的に見積もればだいたい62mほどの計算になります。(※右にも関係図を掲載しました。)直径数m程度の小惑星なら度々接近するけれど、50mを越える小惑星が3LD以内まで接近するのは久しぶりです。

本日時点で分かっている前述NASA-JPLの軌道要素を元に、ステラナビゲーターで作図した小惑星2018MB7の位置を下に掲載しました。図中の日時はJSTです。今日7月1日の時点で計算光度は17等台まで明るくなっています。最接近は前述のように4日夕方ですが、光度のピークは3日夕方(約16.9等)のようですから、お天気さえ良ければ3日夜から4日明け方に狙うのが良いでしょう。4日夕方以降は18等以下に急減光します。なお星図は茨城県つくば市からの視位置ですので、他地域では若干ずれます。また今後の観測で軌道要素もどんどん改良されますから、視位置計算結果も異なってきます。日本国内で観察する限り、この星図上ではわずかな量(最大数分角程度)だとは思いますが、いちおう心に留めておきましょう。

  • 小惑星2018 MB7星図

    2018年7月1日夜から3日朝
  • 小惑星2018 MB7星図

    2018年7月3日夜から4日朝
  • 小惑星2018 MB7星図

    2018年7月4日夜から5日朝


【余談】 この小惑星とは関係ありませんが、上記の「絶対光度・反射率・直径の関係」を使って小惑星リュウグウの絶対光度(18.9等から19.3等まで各説あり)と、はやぶさ2による直径実測値(約900m)を当てはめると、反射率は0.0622から0.0468の間と見積もることができます。報道でも言われていますが、かなり黒っぽい=反射率が小さいことをデータが示していますね。

今日の太陽2018/07/01

20180701太陽
7月が始まりました。昨夜から今朝はいつものように風が強く、台風の時のように薄雲が足早に流れていました。月の側で火星がギラギラ光っていましたが、望遠鏡を組めるような凪はありませんでした。

20180701太陽リム
左は14:20頃の太陽。ごく僅かに雲がありましたが、あまり影響はありません。活動領域はありませんが、右上リムに接近したダークフィラメントがそろそろ見え出しそうな感じでした。他に目立つプロミネンスはありませんね。

【真夏日地点数・トップ10】
※2011年−2018年・各年5月1日−7月1日
期日地点数
2011年6月29日511
2011年6月30日510
2011年6月28日449
2011年6月24日443
2014年6月1日401
2011年6月22日401
2018年6月30日397
2018年6月25日384
2011年6月23日382
2016年7月1日379
※2018年7月1日は除く。
昨日は5・6月を通して真夏日地点数が最も多く397地点もありましたが、本日は16時時点でなんと534地点。(うち、36地点は猛暑日)。梅雨前線が一気に北上したため、広域で雨が降っているのは梅雨が無いはずの北海道と、台風の影響がある沖縄周辺のみといった偏り具合。

気象庁が公開している真夏日地点数と、消防庁が公開している熱中症搬送数のデータを使って、5・6月のグラフを作ってみました(下左図)。例年作っているグラフと縮尺を合わせてあります(→アーカイブ:真夏日と熱中症参照)。あわせて、2018年5月18日記事に掲載した半旬ごとの7年ぶん平均値グラフも並べておきました。

この平均値と比べても、今日の地点数はさすがに多過ぎですね。2011年以降の5月1日から7月1日までの統計で一番多かったのは右表の通り2011年6月29日の511地点ですから、本日の記録は過去8年のなかでも最多ということです。みなさま、熱中症にご注意ください。

  • 2018年真夏日と熱中症(途中経過)

    2018年
    真夏日と熱中症(途中経過)
  • 2011-2017半旬ごとの日平均地点数

    2011年−2017年
    半旬ごとの日平均地点数


参考:
こんな暑い時期にオリンピック?(2017/08/01)

久しぶりに見た火星2018/07/02

20180702火星
ここ五日ほど、夜な夜な強風に阻まれて機材による天体観察ができませんでした。でも風は日に日に少しずつ弱まっていました。

昨夜は雲が少なく、風さえ無ければ天体観察日和。風がおさまるのを待ちましたが、夜半過ぎまでは時々ゴォーッと強く吹くので、望遠鏡を組み立てて待つわけにも行きません。1時を過ぎると風速2m/s程度まで落ち着いたので、なんとか火星だけでも見たいと機材を組みました。

普段は望遠鏡を気温に馴染ませるのに最低でも1時間取っているのですが、今はすぐ明け方が来てしまいます。薄明開始頃ようやく準備が整ったので観察開始。十分気温に馴染んでないせいか、それとも気流が悪いせいか、像は落ち着きません。2:45ごろ何とか撮影したのが左画像です。右下はGuideによる同時刻の火星図。

20180702-0245火星図
火星の接近まであと30日、今朝の撮影時の視直径は21.0″。かなり大きくなりましたね。西側の影も随分と狭くなりました。まだ砂嵐が収まってないのか、はっきりした模様は見えません。南北に極冠らしい白っぽいエリアが小さく見えます。コンディション最良ではありませんでしたが、とにかく久しぶりの星空をわずかな時間楽しめました。

参考:
2018年火星の地球接近に関する記事(ブログ内)

今日の太陽と空模様2018/07/02

20180702太陽
雑節のひとつ「半夏生」を迎えました。例年だと雨や曇りが多いけれど、今日はどう見ても雲ひとつない快晴。めちゃ暑いです。

20180702太陽リム
左は14:10過ぎの太陽。活動領域はありません。6月24日頃から10日以上北半球を飾っていたダークフィラメントが、ついに右上リムにプロミネンスとして登場していました。左下にも小さなものが見えますね。

夕方17:00現在、真夏日地点数は昨日に匹敵する531地点、猛暑日地点数は昨日の倍近くとなる61地点。本州はあちこちでゲリラ豪雨が起こっているようで、このうち福島県には記録的短時間大雨情報が発表になりました。

いっぽう台風7号は今朝沖縄本島に最接近しましたが、夕方になってもまだ奄美大島の西側にいます。下は気象庁サイトからの引用で、3:00、9:00、15:00それぞれの降雨レーダー画像。6時間あたり緯度1度程度北上する遅さです。去年の台風・2017年5号が8月上旬奄美地方に居座り、大雨の被害をもたらしたことは記憶に新しいですね。今回は被害が拡大しないといいのですが…。

  • 20180702-0300台風7号

    3:00
  • 20180702-0900台風7号

    9:00
  • 20180702-1500台風7号

    15:00