こんな暑い時期にオリンピック?2017/08/01

2017年・真夏日と熱中症(途中経過)
ジリジリ暑かったり、ジメジメまとわりついたり、突然豪雨に襲われたり…最近のこんな天気を目の当たりにするたびに、3年後の今ごろ開催予定の東京オリンピックが本当に良く考えられたものなのか疑問に思います。政治的駆け引き云々はともかく、純粋に気候とスポーツを見てみましょう。

まずは気象庁および消防庁のデータを使って毎年作っている「真夏日と熱中症搬送人数」のグラフ。左は今年2017年の途中経過です。(※過去のグラフはアーカイブ:真夏日と熱中症をどうぞ。)比較的涼しいと感じる夏でも梅雨が終わる7月半ばから爆発的に真夏日地点数が増え、早い年は梅雨入り頃から多くなります。今年は九州北部豪雨の1週前から300地点を越すようになりましたね。

このデータの盲点は地域特性が分からないこと。今年は西日本のほうが暑い傾向ですが、グラフからは読み取れません。オリンピックであれ高校野球であれ、県や市などの小さな範囲でスポーツや野外/屋内イベントを考察するなら、開催地での気温や湿度などを考える必要があるでしょう。

ところで、だいぶ前から熱中症の指針に挙げられているのが「WBGT」という値。単位は度で表しますが、気温そのものではありません。湿度および日射などの熱環境も併せた湿球黒球温度(Wet Bulb Globe Temperature)、通称「暑さ指数」というものです。以前に私は仕事上、児童施設の温度管理として積極的に取り入れていましたが、スタッフでも知らないという方が大半でした。環境省による解説ページがありますから、ぜひご一読ください。

数日前のニュースで、専門家が過去のWBGT値を検証して東京五輪の危険性を訴えた記事がありました。でもデータなどが載ってなかったので、前述環境省サイトで公開されているWBGTのデータを元にグラフ化してみました。使ったのは東京の2013年から2016年WBGT値データです。(※一部欠損があるため、グラフが完全でないところもあります。ご容赦を。またオリンピック関連のデータは公式サイトを参考にしました。)

  • WBGTグラフ1

    (A) WBGT日最高値の変化
  • WBGTグラフ2

    (B) WBGT日最低値の変化

まずは、日ごとにみたWBGT最低値と最高値の推移です。突出値を均すため、前後2日を加えた計5日間の移動平均で作図しました。ご覧のように、日最高値が厳重警戒レベル(28度)を越すのはどの年も7月中旬。だいたい8月下旬まで続くようです。日照は年によって斑があるので仕方ないですね。

では、厳重警戒以上のWBGTは一日にどれくらいの時間、実現したのでしょうか?また、何時頃が多いのでしょうか?これを描いたのが下の(C)図と(D)図です。

  • WBGTグラフ3

    (C) 暑さ指数が高いのは一日何時間?
  • WBGTグラフ4

    (D) 暑さ指数が高いのは何時ごろ?

人が熱中症になるのは必ずしも昼前後とは限りませんが、暑さ指数が「危険」レベルとなるのは(D)図を見る限り昼に集中していることは確かです。そしてその危険・厳重警戒のレベルが5、6時間以上も続く時期に、世界中のアスリートと観客を東京に呼ぶわけですね。「おもてなし」とは程遠い状況ではありませんか…。こういうことを考えるときは「都合の良い平均値」でなく、常に「最悪のケース+α」を想定すべきでしょう。例えば観客を競技場へ誘導するとき「たとえ暑くても、この順路を進めば徒歩10分だから大丈夫」と考えるのではなく、「順路が渋滞して逃げ道もなく、1時間以上も炎天下にさらされたらどうするか」「その時ゲリラ豪雨がやってきたら適切に避難できるのか」といった、災難が幾重も重なることを考えておかねばならないと思います。

いざ事故が起きたとき、「想定外だった」という言い訳は怠慢以外のなにものでもありません。素人でもこうしてグラフを書いて考察できるのですから、想定できないということは無いのです。前述した記事では、過去のWBGT傾向から「2020年は更に高くなる」と予測しており、ますます心配になりました。言うまでもありませんが上記は東京での例です。オリンピックを開催する全ての地方都市で、WBGTや晴天率、風や雨などを検証する必要があるでしょう。

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