今日の太陽は厚めの雲に…2022/10/03

20221003太陽
昨夕から薄い雲に覆われ始め、夜半前には1等星がやっとの空。今日午前中はいくらか雲の隙間から日が差すものの、太陽観察は望み薄。午後には県内所々でぱらつき始める始末ながら、薄日が差したタイミングで無理やり撮影してみました。

左は15:10ごろの撮影。まぁそんなに無理して撮ることもなかったのですが、当面は明確に晴れ予報の日も少ないので、活動領域の様子が雰囲気だけでも写れば…という気持ちでした。かなり厚い雲越しで1フレーム露出を通常の5倍ほどかけてもぼんやりです。それでも右上の13110・13113と、左上の13112は明るく見え、活発なのが見て取れました。

昨日朝に強いフレアが2回観測されましたが、驚いたことに実は今朝も似たような時刻に2回フレアが発生、そのうち5:25JSTはX1.06クラスの強いものでした(下A図/NOAAサイトから引用/赤字は筆者書き込み・時刻はUT)。太陽活動は地球自転周期に関係ないから全くの偶然なのでしょうけれど、こんなことあるんですねぇ。ただし5:25JSTのケースは一ヶ所の爆発ではなく、2ヶ所同時の合計値だったようです(下B画像/SDOサイトから引用)。雲がなければ今日の2回目は見えたかなぁ…。油断してると起きるんですよね。

  • 20221003_X線フラックス

    A.X線フラックス
  • 20221002_202458_SDO0131

    B.SDO-AIA131


天気下り坂の惑星とステレオ画像2022/10/04

20221003木星
昨夜は晴れ間があったものの透明度は悪く、夜半過ぎまで頻繁に雲の飛来もありました。月はいま南に低すぎて見えないため、あまり期待できなかったけれど22時ごろ訪れた雲の合間に木星を観察&撮影(左画像)。撮影後に空を覆った雲はしばらく去りそうになかったので、いったん終了となりました。数時間後、機材を撤収すべく外へ出たらなんと快星。せっかくなので火星も観察。(火星は後日まとめて掲載予定。)

シーイングがかなり酷く、木星の繊細な模様は踊り狂っていました。群雲が湧くような空では好シーイングは望めませんね。しかも視認できない雲の通過で突然光量が落ちたりします。雲と雲の合間がちょうど30分ほどあったため、試しに30分近くのDerotationを行ってみました。大局的なズレは無くノイズ改善も顕著ながら、30分もすると細かいローカル模様が変動するでしょうから、あまり長くないほうがいいのでしょう。木星より自転が遅い地球でも、気象衛星画像を30分もDerotationスタックしたら台風などがのっぺりした円盤になってしまいますからね。

画像がぼんやりしてるのが空のせいか、Derotationのせいか、時々発生する追尾振動のせいか特定できませんが、ともあれシーイングが良くなければ何をやっても良像にならないことは分かります。明日明け方前から降水予報で、いかにも天気が下り坂の兆候を示した夜でした。次に実験できるのはいつだろう…?

【Derotateを利用した立体視】

Derotationは異なる時間に撮影した複数画像を天体表面に描き戻す、いわば二次元・三次元投影変換の応用です。方法自体は惑星探査機ボイジャーのデジタルセンサー黎明期から存在したと記憶しています。(大学時代にいくつもの論文を読んだ記憶があります。)画角の狭いセンサーで惑星や衛星全体像を撮影するには、分割撮影(いわゆるモザイク合成)と衛星移動に伴う視線移動キャンセル(これがDerotateに通ずる)を駆使する必要があったからです。より発展したものでは航空・衛星画像のオルソ化など地図分野で目覚ましい応用例が見られますね。

ところで、WinJUPOSを使ったDerotateは時間管理された複数のスタック画像を用意しなくてはなりませんが、例えば前半画像群と後半画像群とを別々にDerotateスタックすれば、若干時間のズレた2枚の画像が仕上がるでしょう。

木星立体視(平行法)
これを応用すると両眼立体視の画像を容易に作れますね。昨夜の像はかなりお粗末なので、10月1日に撮影した大赤斑込みの木星像で作ってみました(左画像)。前半6シーン合成を右目用に、後半6シーン合成を左目用に配置しました。※北極が上なので、木星は左から右へ回っています。

2枚の画像間隔は約11分。クリックで拡大させ、PC画面から顔を少し離し、平行法で大赤斑同士を重ねるようにご覧ください。いかがですか?木星が飛び出て見えるでしょうか?頭の水平を保ってくださいね。約10時間で360°回ってしまう木星は、ちょうど10分間隔くらいの自転移動(約6°の経度移動)が立体視に良さそうです。瞳間隔が7cmとすると、50cm先の視線交差角が8°、65cm先なら6°程になるため、確かに約10分から13分の木星経度差で仕上げれば一般的モニターでも無理のない立体視ができそうです。

正確な追尾で木星を動画撮影できる方、あるいはPIPPなどで位置固定できる方は、1本の動画を左右10分から15分程度ずらした映像としてミックスして流すだけで立体動画ができますね。ぜひやってみてくださいませ。



今日の太陽2022/10/04

20221004太陽
今日未明は一時的に快星だったものの、明け方には雲が湧き始めました。日が高くなってくると南寄りの風が強まり、昼過ぎには風速7m/s、気温28度を越しています。

20221004太陽リム
左は10時ごろの太陽。望遠鏡が風に揺さぶられ苦労しました。活動領域13115・13116・13117が追加され、現在八つの活動領域が見えています。13113と13112は相変わらず活発で、Mクラスフレアを頻発しています。プロミネンスも何ヶ所かみえますね。南半球のダークフィラメントがいよいよ顔を出しそうなんですが…お天気が崩れつつあります。

近づく火星に期待を寄せつつ…2022/10/06

20220930土星
早いもので、8月15日に土星が衝を迎えてからまもなく2ヶ月。左画像は9月30日撮影のものですが、土星左上に見える「環に投影された本体の影」がずいぶん目立つようになりました。

この影が環の中で最も幅をきかせるのは11月中旬に差しかかるころ。そのあとは来年2月中旬の合に向かってどんどん減ってゆきます。衝と合のタイミングは視線と太陽光線が重なりますから、環に投影される影はほぼ見えなくなるのですね。

いっぽう黄雲(砂嵐)の影響が心配な火星ですが、いまのところ全域拡大は免れているようです。何人かの観測者画像を見ると、いくらか落ち着いてきたかなとさえ感じます。でも再発生もあり得るから油断禁物ですね。下A・B画像は10月になってから撮影したもの(各画像上方向が火星北極方向)。この他に挑戦した日もありますが、雲に邪魔されたり酷いシーイングに見舞われて、まともなスタックができませんでした。Aは右寄りの欠け際手前、Bは中央に、それぞれ大シルチスがあります。その南半球側、ヘラス付近から西側にかけてくっきりした黄雲が確認できます。この三日間でも変化が見て取れますね。

8月16日に今期最初の火星撮影を始めて以来、拡大率や撮り方を模索しつつ冬の悪シーイングを軽減する条件を模索しています。ずいぶん大きくなったと思っていたのですが、8月16日と10月4日を同縮尺で比較してみたら、それほど極端には変わっていませんでした(下C画像/画像上方向が天の北方向)。写りの違いは空の善し悪しでは無く、接眼部構成や撮影条件の工夫によるものです。印象的なのは晩夏に見えていた南極冠が見えなくなったこと。もちろん大きさ変化もあるのでしょうが、見かけ上10°近く南北方向に回転してしまったため、見づらくなっているのです。(月面の緯度秤動みたいなことです。)12月に入るとまた見やすくなってきますから、地球接近以降に期待するとしましょう。

  • 20221001火星

    A.10月1日1:55ごろ
  • 20221004火星

    B.10月4日1:22ごろ
  • 火星の大きさ比較

    C.火星の大きさ比較