今日の太陽は今年いちばん大きく見えます2020/01/05

20200105太陽
昨夜はまさかの雨。関東平野の一部では雪が観測されたそうです。当地・茨城も雪が降ったところがありました。明け方3時頃には星空が戻り、しぶんぎ群の流星が飛び交ったようですが、雨に濡れた屋外の全てが凍りつき、空を仰いで歩いたら転倒の危険が…。朝からはよく晴れています。

20200105太陽リム
左は11:15過ぎの太陽。活動領域12755がだんだん中央へ近づいてきました。また右下と右上のリムに見えるプロミネンスが素晴らしい広がりを見せています。

さて、本日は地球が近日点を通過する日。具体的には夕方17時前頃です。太陽がいちばん大きく見える日になったので、恒例の「ひとつ前の遠日点通過時との比較」をしてみました。ただし昨年の遠日点通過日2019年7月5日頃は悪天続きだったため、一番近い太陽観察日(7月8日)の太陽像を使っています(下A画像)。機材は同一ですが、画像処理法をマイナーチェンジしましたので質感が変わっています。なお本日の撮影時における太陽の向きは下B画像の通りでした。

太陽観測衛星SOHOのLASCO-C3カメラを見ると、3つの惑星が写っていました(下C画像)。また暗くて星像は確認できないけれど、冥王星および小惑星ケレスも同一写野。水星は画像の左方向(天の東方向)へ、その他の星々は右へ向かっています。水星の下にあるいて座のζ・τ・σ・φ・λの並びは「南斗六星」の柄杓のところで、柄の先端にあたるμ星のみ写野外に出てしまいました。太陽はこれから秋の星座領域へと入ります。

  • 20200105太陽比較

    A.太陽視直径の変化
  • 20200105太陽の向き

    B.太陽面の向き
    (2020.1.5 11:16JST)
  • 20200105-0854JST_LASCOC3

    C.SOHO LASCO-C3
    (2020.1.5 8:54JST)


今日の太陽2020/01/06

20200106太陽
昨夜から今朝にかけては一晩中晴れ、様々な実験や観察ができました。明けて二十四節気の「小寒」を迎えた今日。朝からよく晴れていますが、昼前には薄雲が出始め、夕方まで雲量が増え続けています。私は見かけませんでしたが、関東の一部で環天頂アークや幻日が出たようです。明日夕方から明後日夜にかけて雨が降る予報。

20200106太陽リム
左は11:20過ぎの太陽。活動領域12755がほぼ中央に達しつつあり、また活発そうな様子がはっきり見えます。大きな黒点こそ出ていないものの、磁場がくっきり出ているようです。プロミネンスは右上と右下それぞれのリムで昨日の残りがまだ見えていますね。

2020年のうるう秒挿入はなくなりました2020/01/07

LOD差分の変化
2020年にうるう秒挿入があるかどうかは微妙なところでした。本日2020年1月7日時点でまだ情報通信研究機構(NICT)・日本標準時グループのサイトには広報されていませんが、国際地球回転・基準系事業(INTERNATIONAL EARTH ROTATION AND REFERENCE SYSTEMS SERVICE /IERS)のNEWS BULLETINで「2020年7月1日(6月末UT)のうるう秒挿入はない」と正式発表がありました。(※閏調整を決めているのはNICTではなくIERS。あたりまえですが時計管理は国際的な事業なのです。)

一年の最初と真ん中で行わないと言うことは、今年はもう調整しないことになります。閏調整は世界時で12月末または6月末に行う決まりですから。(※日本時間なら元旦9:00直前または7月1日9:00直前。)おや、そんなに狂ってないのかと思い、例の如くグラフ化してみました。左上図は本日時点でIERSから発表されていた昨年12月3日までのLOD(Length of Day:1日の実測長)データを元に、2015年初め以降のLOD差分(24時間との差)を描いたグラフ。また右下図は前回のうるう秒挿入(2017年1月1日9:00:00JST)以降2020年12月3日までのLOD累積加算やUT差分を描いたグラフ。

2017-2019年LOD累積
原因(?)は、2019年6月頃から10月頃までずっと1日の長さが概ね「24時間より短かった」ことにあるようです。LODが半年レベルでマイナスになったのは、私が覚えてる範囲だと2004年や2005年以来ではないかと思います(※後述追記)。このため、それまで減少傾向の一途にあったUT差分が夏から秋にかけて和らぎ、一時的に微増さえしました。12月初旬の時点で初夏とほぼ変わらない結果ですね。今年1年間経っても1秒調整を考慮する差に達しないと見込まれ、結果、今年7月の調整が見送りになったのだろうと考えられます。(※最初のグラフを見ると分かりますが、LOD差分は一般に冬に大きく、夏に小さくなります。)

一日一日は何も変わらない様に思えますが、微少なところで様々な変化があるのですね。兎にも角にも、オリンピック間際に時計調整という混乱は無くなったようでよかったよかった…。なお、現時点で協定世界時(UTC)-国際原子時(TAI)はマイナス37秒です。

LOD差分の変化
【追記】
上に述べた「過去に半年レベルに及ぶマイナス時期があったか」調べるため、1980年以降について移動平均グラフをあらためて描いてみました(左図)。記事最初のグラフは左図のラスト4年間ということになります。

LOD差分はおよそ1年周期で上下変動があり、長期で見ると十数年周期におよぶ緩やかな変化が見られます。やはり2005年前後にかけて落ち込んでいたようですね。ちなみに1999年から2008年までに実施されたうるう秒挿入はたったの一回でした。LOD差分がゼロ近辺を上下する期間は平均的に見れば地球が86400.000秒で一周してくれるということだから、閏調整が必要ないのですね。今回の急降下はここ数年の傾向である程度予測できましたが、公開されている1960年代以降の観測史上極小に届くような値です。万が一、左図の青線が長期に渡りマイナス値を維持する傾向になれば、史上初の「うるう秒削除」が起こるかも!?今後に注目です。

★ブログ内で「日の出・日の入り」や「暦」をテーマに取り上げた関連記事・アーカイブは別ページにリストアップしています。日出没時刻やその最早最遅日は年や場所で変化しますから、記事日付をよく確認の上ご覧ください。


2020年で最も日の出が遅いシーズン通過中2020/01/08

2020年日出最遅日マップ
昨年の冬至以降は次第に昼の長さが増しているはずですが、日の出の時刻は1月に入ってもまだ遅くなっていました。いよいよそれも終わりが近づいています。

毎年描いている日出最遅日マップ、今年は左の様になりました。例年とほとんど変わりませんが、2019年の地図と比較して、日付境界が若干北上していることが分かるでしょう。

昨日から今日にかけて低気圧が通過し、全国的に天気が悪くなっています。本州南岸付近は今日の日の出が今年最も遅くなったようですが、こんなお天気じゃ実感できませんね。いずれにしてもあと一週間ほどで日本の全ての地域の日の出が少しずつ早まってゆくのです。

暖かい地方ではもう梅だ桜だとニュースになってます。北国じゃ春を感じるのはとうぶん先になりそうですけれど、地球はゆっくり春のフォーメーションへシフトしつつありますよ。明け方に見えるベガも、ずいぶん高く感じる様になりました。