2017年の「中秋の名月」です2017/10/04

20171004日没直前
今日は2017年の中秋の名月。10月に名月がずれ込むのは2009年以来のこと。次回、10月に名月となるのは2020年となります。なお今夜は満月ではありません。直近の満月は明後日6日明け方です。

夕方に青空が8割ほど広がっていたので、今夜は名月が見えるかと期待。左のようにベランダから夕日を見送ったあと、すぐに近くの見晴らしよい場所へ徒歩移動することにしました。ところが移動中にもう雲が広がり始めました。家を出てからロケーションを決めてカメラを準備するまでのわずか20分の間に、西にあった雲が東の名月近くまで来ています。

20171004名月
慌てて何枚も撮影。ものの5分と経たないうちにすっかり雲に隠れてしまいました。それでも、わずかな時間に薄暮を照らし出す月を堪能できました。パキッと晴れ渡った夕空の名月も素敵ですが、雲が少しかかった朧気な月もまた素晴らしい。

3月上旬と10月上旬は、日没から真っ暗になるまでのスピードが年間で最も速くなります。(→参考記事・グラフD参照。)これはどなたでも体感できるほどハッキリした差です。遊び足りないこどもたちには悲しい季節でしょうが、名月を待つ人はさぞ嬉しいことでしょう。

(夜中追記)月が高くなったら拡大撮影しようと思っていたのですが、夕方見たっきりずっと雲に覆われてしまいました。

日付が5日になった頃に少しだけ雲が斑になって、隙間から月がチラホラ。まるで文部省唱歌の『つき』のようです。また出た、月がぁ…。ということで、すかさず撮影しました(下左画像)。薄雲が通過していますが、20枚コンポジットして均しています。まだ満月前と言うことで、左側が欠けていますね。月面A付近はすっかり明るくなっていますが、「東の海(オリエンタレ盆地)」に日が差すのはもう少し後のようです。このときの月周囲は下右画像の通り。雲によって光環ができていました。

そう言えば前出『つき』の二番は「隠れた 雲に 黒い黒い まっ黒い 墨のような 雲に」です。今夜見上げた名月を隠す雲が初めて見るような茶色みを帯びた奇妙な色をしていました。習字の墨と言うよりも、セピア、つまりイカ墨に近い色で、不思議な感動を覚えました。

  • 20171005名月
  • 20171005名月


参考:
アーカイブ:伝統的七夕・中秋の名月の一覧


今日の太陽2017/10/05

20171005太陽
昨夜から今朝はほとんど曇り。名月がたまに見えた程度です。今日朝からは少しずつ雲が引き、太陽を観察するには十分でした。ただし、明日に向かって天気は下り坂です。

20171005太陽リム
左は9:20頃の太陽。活動領域12682と12683の黒点はだいぶ右リムに近くなりました。数日で見えなくなるでしょう。今日も後続は見えません。プロミネンスはほぼ皆無のようです。朝の気温がかなり下がるようになりました。

天気下り坂の満月に暈2017/10/05

20171005夜の月暈
今日の夕空は一面のうろこ雲に覆われていました。外出中でカメラも持ってなかったため、画像に収められず残念な思いです。宵の時点で九州・四国・中国地方が雨模様でした。

21時台には隣家の屋根から姿を現した満月直前の月に暈がかかっていました。もう少し高くなったら撮ろうと待つ間に雲が厚くなってしまったようです。左は22時過ぎの様子。内暈が辛うじて見えていますね。月はぼんやりして、存在が分かるのみでした。茨城は明日金曜午後から明後日にかけて雨の予報。中秋の満月夜は楽しめそうにありません。

過去最高だった9月の大西洋ハリケーン蓄積エネルギー2017/10/06


台風18号が9月18日に消滅してから無台風の期間が本日6日で丸18日になります。本来は台風が多いこの時期、喜ばしいことか、それとも嵐の前の静けさなのか…?無台風状態は深刻な雨不足や必要な自然撹乱不足を引き起こし、巡り巡って農林水産業などへのダメージともなりうるため、直接的な災害が無いことを喜んでばかりもいられないでしょう。

大西洋ハリケーン・発生数
A1:大西洋ハリケーンの発生数
一時的ですが似たようなことが、立て続けに発生していたハリケーンにも起こりました。ハリケーン「MARIA」と「LEE」が相次いで9月30日に消滅して以降4日間、北米大陸をはさむ大西洋にも太平洋にも嵐が全く無い期間が続きました。それまでの様子が異常なほど荒れ狂っていたので、かなり不気味に感じます。

そんな折、今年2017年の大西洋ハリケーンは近年稀に見る活発さだと知りました。(元記事はNHC(National Hurricane Center)の「Monthly Atlantic Tropical Weather Summary」2017/10/01号。)要点を抜粋すると以下の通り。平年値は1981-2010年の平均を使用してます。

  • 9月に大西洋で発生したTropical Storm以上の数は平年並み。でもハリケーン級まで成長した数はかなり多い。
  • 9月の蓄積エネルギー(ACE:Accumulated Cyclone Energy)は史上最高で、平年値の3.5倍。
  • 今期の活発さは1933年や2004年に次いで3番目。

残念ながら記事中に具体的な数値などが全く無かったのでよく分かりませんでした。そこでNHCによる過去ベストトラックや今年のハリケーン速報などをかき集め、自前で解析プログラムを作って図を描いてみました。左上のA1図は1961年以降に大西洋で発生したTropical Storm級(風速34ノット以上)を含むハリケーン発生数。オンシーズンの7-10月各月とそれ以外とで色分けしました。また下のA2図・A3図はA1図と同じ集計を、一番発達した状態が「Tropical Storm」「Hurricane」「Major Hurricane」に分類して積み重ね棒グラフにしたもの(A3図は9月のみの状況)。

2017年9月の総数は確かに多めですが、これらのグラフを見る限りあまり特別だとは思えません。ハリケーンであれ台風であれ、数だけ論じても仕方ないことです。(※この数はPast Track Seasonal Mapsの表記と照らし合わせると若干異なる年がありました。あくまでベストトラックからの自前集計ですのでご注意。)

  • 大西洋ハリケーン・種別発生数(年間)

    A2:発達種別発生数(年間)
  • 大西洋ハリケーン・種別発生数(9月)

    A3:発達種別発生数(9月)

下の三つの図は6時間ごとのACE値を計算し、月ごと、あるいは年ごとに変化を追ったグラフ。ただし風速34ノット未満(熱帯低気圧級以下)はオミットしました。B1図を見ると今年8月まで平均的だったのに、9月は爆増しましたね。B2図の期間でACE年間合計が200を越したのは1995年、1998年、2004年、2005年、そして今年2017年の5回。しかも今年の集計は10月以降を含んでいません。B3図は9月のみの変化を描いたもので、2004年の記録をあっさり抜いてしまいました。

  • 大西洋ハリケーン・ACE月合計の変化

    B1:ACE値・月合計の変化
  • 大西洋ハリケーン・ACE年合計の変化

    B2:ACE値・年合計の変化
  • 大西洋ハリケーン・ACE9月合計の変化

    B3:ACE値・9月合計の変化

上記B2図でACE年間合計が200を越した5年については、ACE分布図も描きました。それが下の五つの地図。経緯度1°四方のマス目に区切り、ACE集計の時刻と位置情報から年間加算したものです。2017年のみベストトラックが発表になっていませんので集計時刻が3時間シフトしていますが、大きくは変わらないでしょう。今年ヒューストン付近やカリブの島々などに大きな被害があったことは、このACEマップを見ても明らかですね。

今年も残り3ヶ月を切っています。はてさてこれから「嵐」はどうなるのでしょうか。注意深く見守るとしましょう。

  • 1995年・大西洋ハリケーンACEマップ

    C1:1995年
  • 1998年・大西洋ハリケーンACEマップ

    C2:1998年

  • 2004年・大西洋ハリケーンACEマップ

    C3:2004年
  • 2005年・大西洋ハリケーンACEマップ

    C4:2005年
  • 2017年・大西洋ハリケーンACEマップ(9月まで)

    C5:2017年(9月まで)

参考:
アーカイブ:台風による月間ACE値の一覧
近年では破格のエネルギーだった台風5号(2017/08/09)
フィリピン通過中の台風26号と、台風強度のこと(2016/12/26)