小惑星2013TX68はどこまで近づく?2016/02/19


小惑星のひとつ、「2013TX68」が今年3月上旬に地球に接近するとのニュースが流れました。地球に異常接近する小惑星は毎日のようにありますが、地球から月までの距離(LD、Lunar Distance、約38万4401km)を1つの単位として測ると、ほとんどは数LDから数十LDという距離です。宇宙規模ではとんでもなく近いのですが、これだけ離れていればぶつかったりする心配はありません。要注意なのは1LD未満、つまり月より近いものですね。地球に直接落ちなくても、人工衛星が危険にさらされる心配があります。

2013tx68位置(20160219時点の予報)
小惑星2013TX68はカタリナ彗星の名前にもなってる「Catalina Sky Survey」が2013年10月6日に見つけた小惑星です。「ナショナル ジオグラフィック日本版」掲載のニュース(ソースがいつ時点のものか不明)によれば、間もなく静止軌道衛星高度よりも近いところを通る可能性があるとのこと。気になったので調べると、最接近距離「17LD=約660万km」というNASAの推定計算に大きなばらつきがあり、そのうち最小見積もりは17000kmであるとのこと。その後の最新計算では「13LD=約500万km」と更に近い値でした(19日正午時点)。※この最接近距離とは地球中心からの距離ですから、地表からの距離(地球半径を引き算しましょう)はもっと近いです。

NASAにしては随分ぶれが大きいようですが、計算による未来の位置予報は「過去の観測位置」にどれだけフィットするかが重要です。通常この手の天体は何百件という直近を含む長期の位置観測から正確な軌道を割り出しますが、小惑星2013TX68は今日時点でわずかなデータしかありません。発見直後に見失ったことと、最近の観測が難しいという不運が重なっているようで、どちらも「太陽に近い」のが原因でした。先のニュースにもありますが、太陽をはさんで地球と反対側から接近するような天体は大望遠鏡を向けることができず、わずか50m以下の暗い小天体なんて捉えられないからです。このような条件では軌道計算どころか見つけることも大変難しいですし、「そんなの滅多に来ないよ」と言い切ることもできません。

今日現在、小惑星センター(MPC)で公開されていた軌道要素を元に小惑星2013TX68の移動コースをStellariumで描いてみました(左上図・赤道座標系でプロット/NASA軌道要素での計算とは差があります)。星図視点は茨城県つくば市で、小惑星が地球に近いほど観測地起因の視差が出ますのでご注意。右側の太陽は2月19日から3月14日まで図の位置を少しずつ動きます。(※地球公転の結果です。)日本で見た小惑星2013TX68は今日の日没時点で太陽の左上、約33°離れたところにいます。今後は太陽の東側へ遠ざかるように移動しながら速度を上げ、5日から8日あたりに地球接近を迎える計算です。この小惑星は小さいのでアマチュアの望遠鏡で見ることは無理でしょう。(万が一見えるとしたら、地球に降ってくるような場合かも!)予報は今後直近の観測が加わるたび、この星図から変わる可能性もあります。「大丈夫、落ちてこない」と信じたいですが、気になる方は最新の情報をチェック!

参考:
小惑星がまもなく地球に接近(2015/01/23)
ハロウィン小惑星が接近中(2015/10/24)
Small Asteroid to Pass Close to Earth March 5(外部サイト・NASA news・2016/02/02)

コメント

トラックバック