夕空を照らした反射薄明光線2015/07/23

20150723幻日
今日の夕方は雲が多く、18時を回ってもまだ右画像上半分のような灰色の雲が空の大部分を覆っています。北西側には雲間に大きな積乱雲があって、ときどき地響きのような雷鳴が轟いていました。

ところが、ふと目を雲の下に移すと一箇所とても明るい部分があります(右)。それは太陽左の幻日でした。太陽本体が見えないのに幻日だけが輝くなんて面白いです。

20150723薄明光線
幻日を見つけてから5分ほど経つと、雲底の一部が赤く染まり始めました(左)。どうやら薄明光線のようです。しばらくボーッと眺めていましたが…いやまて、何かおかしいぞっ!この薄明光線、どう見ても地面の下から雲底を照らしてますよね。しかも伸びることなくブツッと終わってます。まだ幻日は見えている…つまり太陽は沈んでないと言うことです。

20150723薄明光線
悩んだ末に、ある結論に達しました。実は我が家から見て太陽方向5km先に、そこそこ広い川があるんです。薄明光線は太陽の直接光ではなく「川面に反射した間接光」かも知れないと。観察時の太陽高度(5度から4度)、川までの距離、画像の画角などを使い簡易計算したら、ほぼ合いました。鏡の反射と理屈は同じですから、右画像のような理解でよいのでしょう。

水面が間接的な薄明光線を作り出すことがあります。日本語での正しい呼び方が分かりませんが、個人的に「反射薄明光線」と呼んでいます。(注:反薄明光線とは違います。反射+薄明光線です。)水面からの反射光が、時に直接光による主虹とは別の「反射虹」を光らせることもあるほどです(例えばこれとかこれ)。ですから、大きい川や湖沼などでは雲底を照らすなど造作もないでしょう。

反射薄明光線、実は注意して自然観察していると結構頻繁に見かけます。下は冬の早朝に近所の小さな池を撮ったもの。モヤの中、朝日を浴びながら水鳥が気持ちよさそうに泳いでいます。下左がオリジナルですが、特殊な処理で光線を強調したのが下中画像、下右は光線の一部を図でトレースしています。水面で反射した光線が波紋にシンクロして縞模様の反射薄明光線になり、上空へ向かっているのが見えますね。実物は例え様もなく美しいですよ。

  • 反射薄明光線
  • 反射薄明光線
  • 反射薄明光線

20150723尾流雲
他に目を引いたものでは、尾流雲が薄明光線に照らされてオーロラの様に揺らめくのが見えました。尾流雲とは、つまり落下する雨が筋状の雲として見えるもの。最初の幻日画像にも写ってますよ。鋭眼の方ならどんどん落ちる雨筋が良く見えます。太陽を背にして見たら虹が出ますが、今回は太陽側だけでした。でも光のカーテンのようでとても美しいのです。

20150723夕空
最後には太陽が顔を出し、直接の薄明光線が空を染めました。短時間ながらとても充実し、頭を使った空観察でした。この後一時的に晴れて月や金星が見えたものの、夜には雨が降り出しました。

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