素晴らしい反薄明光線の夕空2015/07/21

20150721入道雲
17時過ぎに通院から戻ると、暑苦しい空に立派な金床雲が見えました。大きく分けて北と西にありましたが、左画像は西のもの。下層の大きな積乱雲の上にテーブルのように広がった雲が金床雲(かなとこぐも)です。ちょうど太陽の方向にあったため、何か見えそうな予感がしました。

この日は隣町で開催される天体観察会のスタッフを頼まれていたので、このあとすぐ出かけることになりました。道中の車内から度々この雲が見えました。雲に「整った」という表現は向かないかも知れませんが、かつて見たことないほど、絵に描いたように整った積乱雲です。太陽は一時的に雲の背後に隠れ、再度右側から出てきました。この過程で1分ほど雲の左端に小さな幻日が見えたのですが、移動中で撮影できませんでした。

観察会会場に着くとさっそくまた雲の様子をチェック。金床のテーブルは倍以上に広がり、本体の積乱雲が霞むくらいの自己主張。いつの間にか太陽は沈み、夕日だけが上空へあふれ出しています。薄明光線は完璧なまでに伸び、東の地平まで到達していました。下画像は右から南東、西、北西の順です。上空が夕焼けに染まらず暗くなってる部分は「金床雲や積乱雲の影」が見えているからです。このように「影の筋が伸びている」と感じる場合は「反薄明光線」と呼びます。ふたつの光線は表裏一体、同じ現象ですね。

  • 20150721反薄明光線
  • 20150721反薄明光線
  • 20150721入道雲

20150721反薄明光線
日暮れと共に反薄明光線はぞっとするほど目立つようになりました。会場では明るいうちから月や金星を望遠鏡で見始めましたが、当然参加者はこの不思議な空の色に盛り上がりを見せ、みんなで写真を撮りました。

一番幅が広く青暗い反薄明光線になっている部分も、それ以外のオレンジ色に染まっている部分も、よく見るとたくさんの筋が見えました。またそれは時間と共にどんどん変化しました。雲は刻々と変形しながら移動し、太陽も徐々に沈むのですから当然です。

下は一番はっきり見えた19時前頃。下左が東側、下右が西側の空です。これをご覧になると理解がかなり進むと思いますが、夕方の薄明光線が東に集まってできたものが「ビーナスベルト」、反薄明光線が集まったものは「地球影」ということができるでしょう。(7月16日のブログ記事も参考にしてください。

  • 20150721反薄明光線
  • 20150721反薄明光線

20150721気象衛星
さて、このときマクロ視点ではどんな状態だったのでしょう?左は気象庁サイトで発表されていた19時の気象衛星ひまわり画像。可視画像と赤外画像を組み合わせて色彩とコントラストをはっきりさせました。よく見ると、群馬県渋川市を中心に大きな丸い雲が広がっています。他に雲がないので、これが夕方に見ていた金床雲(積乱雲の上部)と思います。

驚いたことに、雲が赤く染まっていたり、南東方向の太平洋沖まで長い影が伸びている様子が分かりますね。(気象衛星のサイト画像は小さく粗いので、原画を解析してみたい!)雲と言っても私たちと変わらず、夕方になれば長い影ができるのです。それを地上では薄明光線だの反薄明光線だのと大騒ぎしながら見ていたわけです。

20150721日没方向地図
もうひとつ、右の地図をご覧ください。これも気象庁サイトで発表されていた、19時の降水レーダーです。中央のカラフルな一帯が積乱雲からの大雨に見舞われていた地区。地図上に、私がいた地点(オレンジの点)と、そこからの19時時点の太陽方向(赤線・既に日没後)を描きました。ちょうど雲の右側に日が沈したという現地の観察とピッタリ一致します。逆に、この線に沿って雲の影が伸びているとも言えますね。(※赤線は正確に測地計算した方角です。200kmの長さを描きました。)

夏は背の高い雲の季節。入道雲が西側にできやすい地方では、こんな空模様を頻繁に見ることができます。ぜひ空を見上げてみましょう。

20150721衛星画像(連続)
(追記)気象衛星による画像を使い、15:00-19:00の30分おきの変化を切り出してみました。本記事最初の画像は17:30のころに近く、ちょうど積乱雲が急速に発達した頃だったようです。金床雲が生成される過程や、影がだんだん長くなる様子がよく分かりますね。18:30の画像では影の先端が太平洋に達しているようですが、渋川市における18:30の太陽高度を4.7度(国立天文台サイトによる)、海岸まで200kmと仮定すると、地球の曲率を考えなければ、金床雲の高さは200km×tan(4.7度)=16kmあまりとなります。下部に見えるのは迫り来る台風12号です。

※後日に解像度の高いデータを入手できたので、7月24日のブログ記事「宇宙から見た反薄明光線の正体」で再度詳しく紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。

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