台風11号を照らす日の光2015/07/16


20150716台風11号
台風11号は四国に向かっているようです。関東は勢力圏外ながら、昨夜から雨が降り出しました。今日は足早に過ぎゆく雲間に時々太陽や青空も見えたのですが、基本的には一日雨空でした。

左は気象衛星ひまわりが捉えた本日12:00の台風11号。一日分の可視画像を見ていたら興味深いものに気付きました(右下画像)。朝5:00の台風に太陽が当たり始める時刻、および夜19:30の太陽が去る時刻それぞれの衛星画像です。左上画像と全く同じエリアを切り出して、コントラスト強調処理しています。

20150716台風11号
水平から太陽に照らされると雲のデコボコが強調されるわけですが、それではなくて……そう、台風が赤く染まっています。朝日と夕日が台風を照らしているのです。新搭載のカラーカメラならではのシーンですね。

こんな画像、今までは国際宇宙ステーションの撮影などでしか見たことがありませんでした。日本の気象衛星では初体験。朝日や夕日は台風に限らず見えますから、今後様々なシチュエーションが楽しめそうです。

ちなみに、地上ではこんな事が起こってます。左下画像は夕方の例ですが、太陽が沈もうとする西の地平は夕焼け色に染まり、太陽もオレンジになりますね。地上のあらゆるもの…もちろん雲があれば雲も含めて…もそのオレンジ光に照らされます。
夕方の地上と空


日没20-30分後に東を見ると…地上を照らし損ね、地面すれすれをかすめた夕日が反対の空へ到達し、空の一部を赤紫に染めます。これが「ビーナスベルト(Belt of Venus)」。そしてその下はもはや太陽が届かない、野山や建物や人などの影になるわけで、赤系の色がすっかり抜けた暗い空になります。これが「地球影(Earth Shadow)」。ちゃんと地球の縁に添った丸い形で、「夜の始まり」のことです。夜の帳(とばり)って言葉がありますが、上から降りてくるのでなく下から昇ってくるんですね。

台風が赤く染まるのは、この絶妙の時間と空間の狭間にいたからです。

参考:
2015年・台風関連の記事(ブログ内)

コメント

トラックバック