ヨーロッパやロシアで見えた部分日食による月影2022/10/26

20221025日食図
日本時間の昨夜(25日18-22時JST頃)にインド・中東・アフリカ北東部・ロシア西部・ヨーロッパなど広範囲で部分日食が観られました。一番食が深かったのは東経77.3°、北緯61.8°付近で、太陽の86%が欠けたと言うことです。左はNASA-Eclipseサイトによる日食図。(※このサイトはデータや解説が充実しているので重宝しますが、サイト構築はだいぶ前であり、日食月食計算で重要なΔT値などずれつつあるのが難点です。)

これだけ深いと月の影が地球面を暗くさせる様子が見えるので、気象衛星画像をモニターしておりました。いくつか写野に入る衛星の候補がありましたが、今回はヨーロッパの衛星Meteosat-11(東経0.0°の赤道上空)およびMeteosat-9(東経45.4°の赤道上空)で観賞しました。結果を下のA−F画像に示しました(画像元:RAMMB/画像処理・地図等は筆者)。

A・Bは各衛星から見た日食図(=月影の投影範囲)、C・Dは食最大時に近い20:00JST(=11:00UT)の画像、そしてE・Fは8:00UTから13:00UTまで15分おきに撮影された全コマを使ったGIF動画です。(※動画は各2MBありますから細い回線の方はお気を付けて。ブログ容量制限のため小さい画角でごめんなさい。)なお気象衛星ひまわりもインド付近を写してますから一応写野内を影が通る計算ですが、確認したところ見えませんでした。食分が浅い上に日没と日食終了と同時に訪れる地域のため、コントラストが弱すぎたのでしょう。

皆既日食と違って明確に暗い影にならないため、かなりコントラストを上げています。夕方が訪れる地方に北から南へ向かって月の影が移動する様子が見えるでしょうか?現地のお天気が気になるところですが、気象衛星を見る限り中東は快晴ですね。戦争をしている方々も空を見上げる余裕はあったでしょうか?ちっぽけな人間の存在にはやく気付いてほしいものです。

20411025日食図
水平月のシーズンを終えた月が新月を迎え、この日食を起こしました。2016年3月10日記事に書いた通り、日食と月食が半月前/半月後のペア現象になることがとても多いのです。この日食とペアを組んでいるのが半月後の11月8日、日本各地で見える皆既月食であることはご存知の通りですね。

なお調べてみると右図のとおり、今回の日食から19年後の2041年10月25日に日本で見える金環日食があります。(※サロスナンバーが違うので系列の異なる日食です。今回と同じサロスなのは2040年11月4日の日食。)この金環日食は東海から近畿にかけて日食帯が通るようで楽しみですね。今年産まれた子が成人した頃ですから、ご家族で長生きしてみんなでご覧ください。

なお来年2023年は4月20日に金環皆既日食(ハイブリッド日食)、10月15日に金環日食があります。前者は皆既帯にアジア圏が入っており、日本の一部(千葉県以西の本州・四国・九州の太平洋沿いより南の地域)からも部分日食が見えます。全国的に見える日食は2030年6月1日、日食帯が北海道を横切る金環日食まで無さそうです。


  • 20221025日食Meteosat11可視範囲

    A.Meteosat-11・可視範囲
  • 20221025日食Meteosat9可視範囲

    B.Meteosat-9・可視範囲


  • 20221025-1100UT_Meteosat11

    C.Meteosat-11・11:00UT画像
  • 20221025-1100UT_Meteosat9

    D.Meteosat-9・11:00UT画像


  • 20221025-1100UT_Meteosat11

    E.Meteosat-11・GIF動画
  • 20221025-1100UT_Meteosat9

    F.Meteosat-9・GIF動画


今日の太陽2022/10/26

20221026太陽
昨夜から今朝は曇り時々小雨。朝からは一変して快晴になりました。

20221026太陽リム
左は9:30頃の太陽。太陽面はやや静穏ながら、時々Cクラスフレアも起きているようです。左上に現れていたのは活動領域13131。しっかりした黒点があり、期待できそう。右やや下のプラージュを伴う黒点領域は13125?それとも13126でしょうか。南半球、中央を過ぎた位置にも小黒点群を有する13130がありますね。

今日は見事なプロミネンスがたくさん見えます。特に左上高緯度から伸びている背の高いプロミネンスが素晴らしい。