日食とペアになる月食2016/03/10

20160323半影月食説明図
昨日3月9日の日食は日本で「部分日食」でしたが、インドネシアなどでは「皆既日食」となりましたね。日食とは太陽・月・地球がだいたい直線に並ぶことで起こる現象です。このとき地球から見た月は「新月」です。

ところで、新月から二週間あまり経つと満月ですね。単純に考えると、日食後最初にやってくる満月、あるいは日食の二週間前の満月のときも、「直線性」が短期間では大きくズレない…つまり三つの天体が真っ直ぐ並んでいる気がしませんか?もちろん順番は太陽・地球・月ですから、このとき起きるとすれば「月食」ですね。

必ずというわけではないですが、この予想は概ね当たっています。つまり「日食と月食の日付差は15日程度」というペアの天文現象なのです。(※ただし日本で見えるとは限りません。)試しにNASAのEclipseサイトに載っている「1971年から2030年までに地球のどこかで見える日食と月食」をすべて調べたところ、次の様に約89%という高い確率でペアでした(※日月食の種類に関わらず集計/記事下に2016-2018年のみ掲載)。

半影月食説明図
  • 日食回数……133回
  • 月食回数……137回
  • 日月食がペアになった回数……127回
  • 日月食がペアにならない回数……16回

ということで、実は今回の日食後最初にやってくる3月23日満月のときも月食が起こります。しかも日本で見ることができます。左上図は欠ける様子をステラナビゲーターを使って示したもの(上が天の北方向、恒星は21:00の位置)。一番欠ける時刻は20:47頃です。ただしひとつ注意してほしいのは、これが「半影月食」であること。2014年10月8日に見えたような皆既月食ではありません。また一般的な部分月食とも違います。

図の中に薄緑の丸が二重に描かれていますね。これは地球の影を表しています(実際は見えません)。内側の丸の中に少しでも月が入ると、その部分がしっかり暗くなる月食(本影月食)になります。例のターコイズフリンジ(ブルーベルト)はこの内側円周近くで見える現象です。でも今回のように外側の丸には入るけれど内側にかからないときは、肉眼では欠けているのが分からないような月食なのです。日食のブログ記事に掲載した「月の影」がぼやける理屈を、地球の影で考え直せば理解できます(右上図)。ABにはさまれた部分は太陽の直接光が当たりません。でもAからC、BからDの場所では直接光が当たりますね。

20121128半影月食
半影月食を観察するには写真を撮るのがいいでしょう。撮影条件を決めたら変更しないで30分から1時間おきに撮ると、うまくいけばわずかに暗くなる様子が分かります。左は2012年11月28日に見えた半影月食。25分おきの画像を月の移動を考慮しながら合成しました。右上の暗くなっているあたりが半影(本影に近いところ)です。見やすいように強調しています。あとはお天気次第ですね。


【日食と月食のペア・2016-2018年】
日食月食
日付最大時刻(世界時)状態日付最大時刻(世界時)状態
2016年3月9日(水)1:58:19皆既日食2016年3月23日(水)11:48:21半影月食
2016年9月1日(木)9:08:02金環日食2016年9月16日(金)18:55:27半影月食
2017年2月26日(日)14:54:32金環日食2017年2月11日(土)0:45:03半影月食
2017年8月21日(月)18:26:40皆既日食2017年8月7日(月)18:21:38部分月食
2018年2月15日(木)20:52:33部分日食2018年1月31日(水)13:31:00皆既月食
2018年7月13日(金)3:02:16部分日食2018年7月27日(金)20:22:54皆既月食
2018年8月11日(土)9:47:28部分日食※ペア無し
※元データはNASA Eclipse Web Siteによります。


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