雲越しの半影月食を楽しみました ― 2020/12/01
昨日、11月最後の夕方は半影月食でした。この月食は国内殆どの地域で「月出帯食」です。当地・茨城県南部は午後から雲がやや多くなってしまい、残念ながら夕空に登りたての月食満月は拝めませんでした。でもその後の経過は(雲越しながら)楽しむことができました。
冒頭画像は月食最大となった18:43ごろを基準に、17:40から概ね30分おきに撮影した画像を組み立てたもの。上が天の北方向になります。最後の頃はもう雲だらけになってしまったため撮影はあきらめましたが、元々淡い半影月食ですから最後のほうは現象が分からなかったでしょう。現象が終わったら晴れてきたので真ん丸に戻った月を撮影。その後はまた雲が多めの空になりました。
最大時の18:43撮影画像と、現象終了時刻(20:53)のすぐ後に撮影した画像を下に並べてみました。画像処理はほぼ統一してあります。見た目のコントラストを上げてありますが、わざわざ上げなくても肉眼やモニター上で暗いことがはっきり分かりました。今回は本影のかなり近くを通ったため、意外なほど月食らしい光景を楽しめました。半影食はピンキリですからね。月のルートをきちんと確認しておくべきでしょう。 来年2021年に日本から見える月食は、5月26日の皆既月食と11月19日の部分月食。11月19日のほうは部分と言ってもほぼ皆既に近い月食となり、お得感満載でしょう。ただしいずれも月出帯食のため、現象全体が低い空となります。高層ビルの都会や高い山に囲まれた盆地などでは見づらいかも知れません。事前のロケハンも大切ですよ。
参考:
アーカイブ「皆既月食の一覧」
アーカイブ「部分月食の一覧」
月末の皆既月食と「月色」の話(2018/01/29)
冒頭画像は月食最大となった18:43ごろを基準に、17:40から概ね30分おきに撮影した画像を組み立てたもの。上が天の北方向になります。最後の頃はもう雲だらけになってしまったため撮影はあきらめましたが、元々淡い半影月食ですから最後のほうは現象が分からなかったでしょう。現象が終わったら晴れてきたので真ん丸に戻った月を撮影。その後はまた雲が多めの空になりました。
最大時の18:43撮影画像と、現象終了時刻(20:53)のすぐ後に撮影した画像を下に並べてみました。画像処理はほぼ統一してあります。見た目のコントラストを上げてありますが、わざわざ上げなくても肉眼やモニター上で暗いことがはっきり分かりました。今回は本影のかなり近くを通ったため、意外なほど月食らしい光景を楽しめました。半影食はピンキリですからね。月のルートをきちんと確認しておくべきでしょう。 来年2021年に日本から見える月食は、5月26日の皆既月食と11月19日の部分月食。11月19日のほうは部分と言ってもほぼ皆既に近い月食となり、お得感満載でしょう。ただしいずれも月出帯食のため、現象全体が低い空となります。高層ビルの都会や高い山に囲まれた盆地などでは見づらいかも知れません。事前のロケハンも大切ですよ。
参考:
アーカイブ「皆既月食の一覧」
アーカイブ「部分月食の一覧」
月末の皆既月食と「月色」の話(2018/01/29)
今日の太陽 ― 2020/12/01
昨夜から今朝にかけて薄曇のち快星、朝からもよく晴れています。夜のうちはかなり湿気があったけれど、日が高くなると乾燥しますね。もう12月、一年過ぎるのが早く感じます。
左は10:10頃の太陽。昨日の時点で活動領域が7つ。加えて、昨日から見え始まった左下リム近くのプラージュ域にはっきりと黒点が見えます。間もなく採番されるでしょう。なお昨日掲載したX線フラックスで11月29日13:11UTに発生したM4クラスフレアというのはここから発生したもののようです(→Space Weather関連記事)。日本から見えない時間だったのが惜しいですね。
右は昼前時点のSDO画像と活動領域番号です。活発な領域が南緯20°から30°に集中していることが分かるでしょう。数日後には左からまたひとつやってきます。北半球も頑張れ!
左は10:10頃の太陽。昨日の時点で活動領域が7つ。加えて、昨日から見え始まった左下リム近くのプラージュ域にはっきりと黒点が見えます。間もなく採番されるでしょう。なお昨日掲載したX線フラックスで11月29日13:11UTに発生したM4クラスフレアというのはここから発生したもののようです(→Space Weather関連記事)。日本から見えない時間だったのが惜しいですね。
右は昼前時点のSDO画像と活動領域番号です。活発な領域が南緯20°から30°に集中していることが分かるでしょう。数日後には左からまたひとつやってきます。北半球も頑張れ!
美しい十六夜の月、小惑星リュウグウはそろそろ見納め ― 2020/12/02
昨夜から今朝は曇り予報でしたが、夜半頃まで良く晴れていました。月食から一日経った月が街を照らしています。望遠鏡を向けると意外に像が安定していたため、撮影してみました。
左は23:25頃の撮影で、太陽黄経差は約193.42°、撮影高度は約71.5°、月齢は16.39。秤動のため向かって左側が中央に寄っています。月の裏側に位置するオリエンタレ盆地の一部が見えていますね。3日ほど前に良いタイミングで月面Aが見えたはずですが、天気が思わしくありませんでした。
一晩前の月食を撮っていたときも思ったのですが、月ってやはり大きいですね。しばらく火星を撮っていたからそう感じるのでしょうか。火星は大接近になっても左の月に写っているコペルニクス・クレーターの半径ほどにしかなりませんから、大気のゆらぎに対する視直径の比率が比べものになりません。それだけに、よく整備された望遠鏡で眺める月面は格別です。人間が持つ興味をうまく刺激するような絶妙な大きさなんだなぁと改めて感じます。
そう言えば中国の月面探査機「嫦娥5号」が1日にリュンカー山近くに着陸成功したとのこと。左の画像にもアリスタルコスの北側にリュンカー山が見えてます(影がないから分かりづらい…)ので、嫦娥5号も“写ってる”はず。(※註:その後詳しい時刻を調べたら2日0:11JSTに着陸とあったため、この画像は着陸直前だったようです。)
さて、せっかくの晴れ間に望遠鏡を引っ張り出したのは他にも目的があったからです。実は間もなく帰還する探査機はやぶさ2カプセルで有名になった小惑星リュウグウがちょうど光度ピークだったから撮っておこうと思ったのです。
リュウグウはどんどん南下しており、12月3日には天の赤道より南側に到達します。しかも星座とともに西へ西へと追いやられていますから、我が家からの観察は視界的にそろそろ見納め。これが最後かもしれないと思いながら撮影しました。
月光があるため背景が明るすぎて写りが悪いけれど、存在が分かる程度には写ってくれました(右画像中央)。地球との距離は約0.0832天文単位(約1245万km)。かなり近いですが、12月29日の最接近時まであと338万kmほど距離を詰めます。直径約900mもあるため、地球にぶつかったら明るい火球どころの話じゃ済まないやばさですね。(※小惑星リュウグウは「潜在的に危険な小惑星:PHA=Potentially Hazardous Asteroid」であることをお忘れなく。)
せっかくの晴れ間なので欲張って更に観察。11月26日に上田清二さんが発見した増光中のペルセウス座新星に望遠鏡を向けました(下A画像)。月までの離角は20°程度しかありませんでしたが、この新星は明るいから余裕で写ります。8等級であるのは確実ですね。
もうひとつ、12月1日明け方に山形県の板垣公一さんがNGC4454に超新星候補天体を発見したそうなので、天体が登ってくる明け方まで機材をそのままにしておきました。ところが夜半過ぎからどんどん雲が厚くなり、どうにか雲間を狙って銀河を手動導入できたものの、本撮影はできませんでした。下B画像は写野確認のための試写で、中央のぼんやりした天体がNGC4454、画像の限界等級は15.0等です。超新星候補天体は16.3等(発見時)とのことで、もちろんこの画像では確認できません。暗くならないうちに再チャレンジできたらいいなあ。それにしても、満月夜でさえ暗い超新星を見つけてしまう板垣さんの凄さ。
左は23:25頃の撮影で、太陽黄経差は約193.42°、撮影高度は約71.5°、月齢は16.39。秤動のため向かって左側が中央に寄っています。月の裏側に位置するオリエンタレ盆地の一部が見えていますね。3日ほど前に良いタイミングで月面Aが見えたはずですが、天気が思わしくありませんでした。
一晩前の月食を撮っていたときも思ったのですが、月ってやはり大きいですね。しばらく火星を撮っていたからそう感じるのでしょうか。火星は大接近になっても左の月に写っているコペルニクス・クレーターの半径ほどにしかなりませんから、大気のゆらぎに対する視直径の比率が比べものになりません。それだけに、よく整備された望遠鏡で眺める月面は格別です。人間が持つ興味をうまく刺激するような絶妙な大きさなんだなぁと改めて感じます。
そう言えば中国の月面探査機「嫦娥5号」が1日にリュンカー山近くに着陸成功したとのこと。左の画像にもアリスタルコスの北側にリュンカー山が見えてます(影がないから分かりづらい…)ので、嫦娥5号も“写ってる”はず。(※註:その後詳しい時刻を調べたら2日0:11JSTに着陸とあったため、この画像は着陸直前だったようです。)
さて、せっかくの晴れ間に望遠鏡を引っ張り出したのは他にも目的があったからです。実は間もなく帰還する探査機はやぶさ2カプセルで有名になった小惑星リュウグウがちょうど光度ピークだったから撮っておこうと思ったのです。
リュウグウはどんどん南下しており、12月3日には天の赤道より南側に到達します。しかも星座とともに西へ西へと追いやられていますから、我が家からの観察は視界的にそろそろ見納め。これが最後かもしれないと思いながら撮影しました。
月光があるため背景が明るすぎて写りが悪いけれど、存在が分かる程度には写ってくれました(右画像中央)。地球との距離は約0.0832天文単位(約1245万km)。かなり近いですが、12月29日の最接近時まであと338万kmほど距離を詰めます。直径約900mもあるため、地球にぶつかったら明るい火球どころの話じゃ済まないやばさですね。(※小惑星リュウグウは「潜在的に危険な小惑星:PHA=Potentially Hazardous Asteroid」であることをお忘れなく。)
せっかくの晴れ間なので欲張って更に観察。11月26日に上田清二さんが発見した増光中のペルセウス座新星に望遠鏡を向けました(下A画像)。月までの離角は20°程度しかありませんでしたが、この新星は明るいから余裕で写ります。8等級であるのは確実ですね。
もうひとつ、12月1日明け方に山形県の板垣公一さんがNGC4454に超新星候補天体を発見したそうなので、天体が登ってくる明け方まで機材をそのままにしておきました。ところが夜半過ぎからどんどん雲が厚くなり、どうにか雲間を狙って銀河を手動導入できたものの、本撮影はできませんでした。下B画像は写野確認のための試写で、中央のぼんやりした天体がNGC4454、画像の限界等級は15.0等です。超新星候補天体は16.3等(発見時)とのことで、もちろんこの画像では確認できません。暗くならないうちに再チャレンジできたらいいなあ。それにしても、満月夜でさえ暗い超新星を見つけてしまう板垣さんの凄さ。
嫦娥5号の着陸地点は? ― 2020/12/03
あらためて国家航天局の本家サイトを調べたら、嫦娥5号着陸地点は「西経51.8度、北緯43.1度付近」と書いてありました(→トピックスページ)。この位置を昨日の記事に掲載した月面画像に照らし合わせたら、左画像の赤○位置になりました。思っていた位置と違う…。リュンカー山よりもかなり東でした。
右はダブルチェックのため、NASAのMoon Trekを使って同位置にマーカーを置いたキャプチャ画像。うん、同じ様です。
ニュースでなにげに見聞きするだけでは間違った印象のまま過ごすところでした。自分できちんと調べないとダメってことですね。
着陸地点は淡く青い色調が広がった土地で、いわゆる「titanium rich」な場所。赤系に見える酸化チタンが少ない土地とは異なる組成です。地球から鉱物を取り尽くしたため枯渇する前に、月や小惑星へ資源を求めるのが現在の「宇宙開発」の流れのようです。
右はダブルチェックのため、NASAのMoon Trekを使って同位置にマーカーを置いたキャプチャ画像。うん、同じ様です。
ニュースでなにげに見聞きするだけでは間違った印象のまま過ごすところでした。自分できちんと調べないとダメってことですね。
着陸地点は淡く青い色調が広がった土地で、いわゆる「titanium rich」な場所。赤系に見える酸化チタンが少ない土地とは異なる組成です。地球から鉱物を取り尽くしたため枯渇する前に、月や小惑星へ資源を求めるのが現在の「宇宙開発」の流れのようです。