下弦を迎える月2020/12/08

20201208_26657月
昨夕から今朝にかけ、ほぼ快星夜でした。少し疲れていたこともあり、長時間かかる観察はやめにして、明け方前に下弦の月を見て過ごすことにしました。左は3:10頃の撮影で、太陽黄経差は約266.57°、撮影高度は約49.4°、月齢22.54です。下弦の瞬時は朝9時半過ぎですから、欠け際が若干膨らんでますね。大気がものすごく揺れており、シーイングは最悪に近い状態でした。

よくよく見ると明暗境界上に近いデランドル・クレーターの右上と右下にそれぞれ「×」型に光る地形が…。月面Xに近いけれど、どちらも違いますね。右上は細長く、半角大文字X、もしくはギリシャ文字のΧ(大文字のカイ)のような形。右下はエックスというより「バツ」に見えます。追求すると面白そう。

今月初めに撮った十六夜の月でも、裏側にあるオリエンタレ盆地の最外周が見えていましたが、今朝の月はもっとよく見えていました。なんと、リム上に盆地の内側が確認できるではありませんか!秤動がちょうどよかったんですね。ちょっと古いけれど2016年10月31日の記事に「オリエンタレ盆地がよく見えるのはいつか?」という予報を今年分まで書いてあります。日周秤動も考慮すると、ちょうど今月5日から9日が最適でしたからドンピシャです。明日明け方も見えるかな?見たことない方はチャレンジしてくださいね。

日毎シーイングは悪くなるようですが、冬だから仕方ありません。そのかわり目で仰ぐ星月はこれでもかと言うほど美しいので、写真撮るばかりじゃなく、ぜひ目でも楽しみましょう。

今日の太陽2020/12/08

20201208太陽
朝からよく晴れています。透明感がある空とは裏腹に、大気の細かなゆらぎがとても大きく、拡大観察には不向きのシーズンですね。

20201208太陽リム
左は10:20頃の太陽。北半球唯一の活動領域12787はほとんどリム近くでよく分かりません。いっぽう南半球は12789、12790、12791が残っています。固まっていた活動領域がまとまって裏側へ行ってしまったため、急に寂しくなってきました。そう言えば、活動領域の半球分布は度々偏る傾向がある、という記事が一昨日のSpace Weather記事に載っていました。ご興味ある方は紹介されている論文など含めて読んでみてください。

右下リムには今日もプロミネンスが見えます。場所は近いけれど毎日別物のようです。次々と登場して面白いですね。

〇〇年ぶりの木星と土星の超接近まで二週間2020/12/08

20201207木星と土星
12月21日・22日の木星と土星の超接近まで残り二週間ほどとなりました。左は昨日7日の撮影ですが、両星はすでに1.5°角あまりまで近づいており、フルサイズカメラなら800mmでも一緒に写せる距離です。接近会合は当日だけではなく日々の変化が楽しいところ。「まだ早い」などと言わず、ぜひ今夜からでも追いかけてください。

この接近はあちこちの一般サイトや新聞などでもニュースとなっているようですが、20ソースほど読み比べてみると表現の違いが興味深いです。特に「この接近がいかに珍しいか」を示す根拠となる「〇〇年ぶり」という表現。今回は大きく分けて「400年(397年)ぶり」「800年(794年)ぶり」「20年ぶり」の三種類あるようです。それぞれ根拠はあるのでしょうが、この統一の無さには笑っちゃいました。他にも「過去○回しか起こっていない」とか「〇〇時代に遡る」「次回見るにはあと〇〇年生きなくちゃ…」というような文言もありました。

天文をかじった方はご存じの方も多いと思いますが、地球から見た木星と土星の会合はおおよそ20年周期。そのうち三回に一回はかなり近くなります。ですが、ケースバイケースですから具体的な離角が数値で示されないと「〇〇年ぶり」と言った根拠がゆらぎますね。

そこで、具体的に計算プログラムを組んでみることにしました。今回ほど近くならない接近は排除し、西暦0年から3000年までの間に0.5°角(おおよそ月の視直径)以下になる場合のみ、下表に示します。この中でも更に特別なのが、今回のような0.1°角前後となるケースです。みなさんがニュース記者や天文施設広報担当の立場に立った時、どの様に告知したら多くの方々の興味を集められるか考えてみましょう。

今回はかなり低い位置(太陽に近い位置)で起こるため、観察条件は厳しいでしょう。1683年2月のようにほぼ衝の位置で起こったこともあるのですねぇ。見てみたかった…。おっと、江戸時代なのか!大きな火災があった年でした。

【木星と土星の見かけが0.5°角以下となる会合・A.D.0年-3000年調べ】
最小離角日時
(TT)
木星・土星間
(arcmin)
木星・太陽間
(arcdeg)
土星・太陽間
(arcdeg)
1度角開始日時
(TT)
1度角終了日時
(TT)
0034-10-03 08:32:23 TT26.6853.2653.270034-09-22 00:40:44 TT0034-10-15 12:14:30 TT
0035-03-31 19:18:48 TT26.59122.75122.570035-02-28 04:00:14 TT0035-05-06 06:29:28 TT
0253-02-13 15:08:26 TT20.6247.247.20253-02-04 13:27:44 TT0253-02-23 01:10:12 TT
0312-12-14 17:19:03 TT13.3520.0920.080312-12-06 06:04:56 TT0312-12-23 02:09:09 TT
0372-03-07 14:54:50 TT1.8653.0153.010372-02-26 17:26:48 TT0372-03-18 00:32:21 TT
0432-01-01 18:28:28 TT6.2617.417.40431-12-24 05:57:11 TT0432-01-10 05:10:52 TT
0491-03-24 09:24:08 TT16.3654.154.10491-03-14 20:23:24 TT0491-04-03 10:06:58 TT
0551-01-16 05:06:36 TT24.7517.9317.960551-01-08 09:48:28 TT0551-01-23 22:52:20 TT
0590-08-01 20:51:58 TT29.6735.9435.930590-07-23 01:17:33 TT0590-08-11 23:00:30 TT
0650-06-13 21:23:26 TT19.2318.818.790650-06-03 08:44:33 TT0650-06-24 07:39:50 TT
0709-09-17 20:13:13 TT8.3760.9660.960709-09-04 14:15:26 TT0709-10-02 15:27:33 TT
0710-02-09 02:53:20 TT15.53149.84149.850710-01-18 13:28:44 TT0710-04-25 11:10:18 TT
0710-04-03 22:46:50 TT12.1295.4495.430710-01-18 13:28:44 TT0710-04-25 11:10:18 TT
0769-07-27 02:35:21 TT4.292.412.430769-07-16 04:34:16 TT0769-08-07 01:09:06 TT
0829-06-08 14:48:12 TT15.8951.451.40829-05-26 11:22:58 TT0829-06-20 22:28:53 TT
0888-09-12 17:53:08 TT27.1128.7528.770888-09-02 15:00:16 TT0888-09-23 02:00:52 TT
最小離角日時
(TT)
木星・土星間
(arcmin)
木星・太陽間
(arcdeg)
土星・太陽間
(arcdeg)
1度角開始日時
(TT)
1度角終了日時
(TT)
1107-02-16 21:34:27 TT17.340.7340.731107-02-07 22:01:41 TT1107-02-26 03:19:31 TT
1166-12-18 20:42:14 TT9.7924.9924.991166-12-10 03:36:38 TT1166-12-27 10:30:49 TT
1226-03-12 04:32:36 TT2.1448.5848.581226-03-02 13:33:41 TT1226-03-22 05:22:51 TT
1286-01-07 21:34:49 TT10.5319.7619.771285-12-30 10:20:14 TT1286-01-16 06:38:37 TT
1345-04-01 12:36:23 TT20.8752.7352.741345-03-23 07:53:01 TT1345-04-11 03:29:59 TT
1405-01-25 20:04:44 TT29.2718.1918.221405-01-18 09:27:23 TT1405-02-02 05:16:52 TT
1444-07-23 02:54:57 TT28.721211444-07-13 18:01:07 TT1444-08-01 14:53:59 TT
1504-06-04 06:01:06 TT18.6633.5633.561504-05-24 04:54:56 TT1504-06-15 01:12:22 TT
1563-09-04 17:45:38 TT6.7842.0842.081563-08-24 02:08:47 TT1563-09-16 22:00:31 TT
1623-07-16 22:40:13 TT5.1712.8112.821623-07-05 21:24:27 TT1623-07-27 22:05:46 TT
1682-10-24 08:12:10 TT15.4172.1672.161682-10-09 16:18:05 TT1682-11-11 09:22:59 TT
1683-02-09 01:22:48 TT11.54176.05175.991683-01-20 03:37:03 TT1683-03-02 15:45:34 TT
1683-05-18 04:14:23 TT15.7677.377.311683-04-27 05:02:01 TT1683-06-03 02:55:43 TT
1742-08-30 20:40:28 TT27.710.0610.111742-08-21 01:43:42 TT1742-09-09 17:04:19 TT
1901-11-28 16:36:24 TT26.4938.2338.231901-11-20 02:29:52 TT1901-12-07 00:59:55 TT
1961-02-18 23:41:13 TT13.7534.934.91961-02-10 00:46:42 TT1961-02-28 03:31:43 TT
最小離角日時
(TT)
木星・土星間
(arcmin)
木星・太陽間
(arcdeg)
土星・太陽間
(arcdeg)
1度角開始日時
(TT)
1度角終了日時
(TT)
2020-12-21 18:22:09 TT6.1130.1430.142020-12-12 18:41:58 TT2020-12-30 13:39:52 TT
2080-03-15 01:42:35 TT6.0243.5243.522080-03-05 17:19:17 TT2080-03-24 17:33:11 TT
2140-01-14 16:09:05 TT14.523.2823.282140-01-06 05:43:11 TT2140-01-22 23:47:20 TT
2199-04-07 23:07:21 TT25.0349.9249.932199-03-30 04:56:33 TT2199-04-17 01:36:37 TT
2298-07-12 18:52:22 TT28.215.985.992298-07-03 16:36:58 TT2298-07-21 22:19:07 TT
2358-05-23 05:36:09 TT18.4650.6950.692358-05-10 23:41:05 TT2358-06-03 20:13:56 TT
2417-08-24 16:23:57 TT5.4126.5526.542417-08-13 18:31:09 TT2417-09-04 19:50:39 TT
2477-07-06 20:08:01 TT6.3227.1527.152477-06-25 10:18:27 TT2477-07-18 01:02:35 TT
2536-10-08 03:01:06 TT17.0449.8249.822536-09-26 05:35:02 TT2536-10-20 18:50:39 TT
2596-08-19 04:38:02 TT28.715.755.842596-08-09 11:14:33 TT2596-08-28 21:32:21 TT
2696-02-01 20:05:16 TT28.2124.0424.052696-01-24 17:36:32 TT2696-02-10 00:54:53 TT
2755-12-03 23:27:33 TT22.3642.2542.252755-11-24 18:54:09 TT2755-12-12 20:28:27 TT
2815-02-23 06:36:31 TT9.9530.0630.062815-02-14 06:43:50 TT2815-03-04 10:17:26 TT
2874-12-25 16:04:06 TT2.3135.2935.292874-12-16 08:42:41 TT2875-01-03 17:25:35 TT
2934-03-19 10:11:56 TT9.7238.0138.012934-03-10 08:06:02 TT2934-03-28 17:54:33 TT
最小離角日時
(TT)
木星・土星間
(arcmin)
木星・太陽間
(arcdeg)
土星・太陽間
(arcdeg)
1度角開始日時
(TT)
1度角終了日時
(TT)

  • 自作プログラムによる計算です。惑星位置算出の暦表はJPL-DE422を使っています。※他の暦表を使うと若干異なる結果(最大2分程度)となります。数種類試しましたが、過去や未来ではどれが一番正確などとは言えませんね…。
  • 日時表記は地球時(TT/Terrestrial Time)です。詳しく説明しませんが、世界時(UT)や日本標準時(JST)とは違います。
  • 今年に限って言うと、TTから約69秒引くと世界時、世界時に9時間足すと日本標準時になりますから、最接近は12月22日3:21:00JST頃となります。(この瞬間は日本から見えません。)
  • 天体間の離れ具合(離角)=見かけ上の距離(角距離)は「天体A・観察者・天体Bがなす角度」で表します。arcdegは「度角」、arcminは「分角」です。(1度角=60分角。)ただしこの計算で観察者の位置は地心です。
  • この色の行は離角が10′以下となる超接近のケースです。400年ぶりや800年ぶりといったキャッチコピーの根拠が分かるのではないでしょうか。
  • 1度角開始/終了の欄は、「木星と土星が0.5°角以下まで接近する会合について、その前後に1°になった瞬時」を求めたものです。短期に離角0.5°以下のイベントが続いた場合は1度角の欄が重複している場合があります(710年のケースなど)。
  • ここで扱う離角(または角距離)は黄経差や赤経差ではありません。天球上における天体重心位置の純粋な離角のことです。wiki「Great conjunction」の表のように赤経差や黄経差で会合を扱う場合も少なからず混在しています(当然、日時や離角は変わる!)から、比較するときは注意が必要です。