火星が恒星を掩蔽しました2015/10/19

20151019明け方の惑星
昨日午後から回復した空はそのまま夜まで続きました。湿気が多く夜露が至るところに着いていましたが、明け方が近づくといくらか引いたようです。普通は気温低下と共に湿度が上がるんですけどね。

夜明け前から起き出し、明け方の惑星観察に臨みました。右画像は4時過ぎの惑星たち。ぎらっと光る金星とは対照的に、左下で静かに輝く木星と火星のペア。昨日18日明け方に撮影した画像はすっかり明るくなってからでしたが、今日は暗いうちに撮ることができたので背景に星がいっぱい写りました。

20151019火星によるしし座χ星の掩蔽
さて惑星会合もステキですが、今朝はなんと言っても「火星によるしし座χ星の掩蔽」が楽しみでした。肉眼で見えるほどの恒星が惑星に隠されるなんて一生に一度あるかどうかの貴重な機会なので、しっかり見ておこうと思いました。

ただし火星の高度が約20°のため、大気の揺らぎが大きくて恒星が隠れる様子は鮮明に見えません。眼視でなんとか恒星が分かりましたが、火星そのものだって落ち着いて見えないほどです。強拡大して動画で経過を撮りましたが、時々恒星が分かる程度でした。直前直後は望遠鏡本来の分解能が追いつかない(ドーズ限界)ため分離しませんでした。

20151019火星によるしし座χ星の掩蔽
恒星が火星から分離しているのが分かるフレームを動画から撮りだし、10-20枚程度スタックして揺れを抑えた画像が左上です。それぞれ掩蔽開始の約50秒前と掩蔽終了の約50秒後。これ、説明図じゃなくてちゃんと実物を撮ったものです(笑)火星本体に貼り付いたような恒星の姿が辛うじて分かりますね。昨日の記事の予想図も再度右に載せておきます。薄雲の飛来はありましたが、無事に堪能することができて本当に良かったです。予想時刻もバッチリでした。

20151019木星と火星
木星と火星は昨日18日朝もっとも近くなり今日は遠ざかりつつあるのですが、離角32'角弱とまだかなり近いです。右画像は上述のχ星掩蔽が終わってから撮影した木星と火星のツーショット。(※最初の画像と違い、天の北を上向きにしてます。)

20151019木星と火星


火星のすぐ側にχ星が二重星みたいに輝いています。木星の周りにもおなじみ四大衛星が見えますね。今朝の配置は左の通りでした。

20151019金星
明け方の観察のシメに、金星を拡大撮影しました。撮影準備中から雲があちこち湧き出していましたのでピントの追い込みが甘いです。10月4日の撮影画像と比べてみてください。一週間後の26日が西方最大離角ですから、もうほぼ半月型と言って良いでしょう。

惑星たちの集合でももうお腹いっぱいですが、その上に火星の恒星掩蔽を見ることができて幸せでした。このほか3時台に惑星撮影の肩慣らし(望遠鏡慣らし?)がてら、彗星を二つ撮りました。ひとつはぎょしゃ座を横切るパンスターズ彗星(C/2013X1・下左画像)。画像中左上の輝星はεAur(ぎょしゃ座イプシロン星)、通称「アルマーズ」。御者が持つ子ヤギの一部となる三角形の頂点の星で、不思議な変光星としても知られます。ということは、パンスターズ彗星はぎょしゃの五角形から脱したと言うことですね。

もうひとつはしし座の胸元にいるチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P・下右画像)。こちらは低空なのと薄雲が少し横切ったためにコントラストが悪くなりました。(※下画像は上方向が天の北、彗星の移動に合わせた合成処理、拡大像は白黒反転。)今回の彗星はあまり気合いが入ってない撮影でごめんなさい。いろいろ機材を調整中です。

  • 20151019パンスターズ彗星(C/2013X1)
    パンスターズ彗星(C/2013X1)
  • 20151019チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)
    チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)

参考:
2015年10月-11月明け方の惑星接近に関係する記事(ブログ内)
アーカイブ:多天体の接近現象(3天体以上の会合の日付)
アーカイブ:天体の接近現象(2天体会合の日時・離角)

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