凄まじい豪州の森林火災 ― 2019/11/10
これはあまりにもひどい。オーストラリア東部で現在起こっている森林火災のことです。火災で人が亡くなった報告もあり、また野生の動物も多数命を落としているようです。
日本が秋から冬に転じる頃、南半球のオーストラリアでは熱波や干ばつ被害が多く出始め、それと共に森林火災が発生します。毎年気象リポートを読んだり独自に調べていましたが、今年の森林火災は別次元に感じました。ここ数年立て続けに起こっているカリフォルニアからカナダにかけての大規模火災に匹敵するでしょう。
左は米国の地球観測衛星Aquaが11月9日に撮影したオーストラリア東部の様子(NASA-WorldViewから引用)。縦方向がおよそ1200kmに相当する範囲です。主要都市が並ぶ地域から濛濛とベージュ色の煙が舞い上がっていますね。1200kmって、日本なら仙台−鹿児島や大阪−那覇の距離ですから、本州の太平洋側が全部火事になってるような状態を想像してください。
衛星から見える規模の森林火災は、少なくとも10月18日頃から目立っていましたが、しばらくは各地を転々とくすぶってる様な状態でした。(※もちろん地上では大火災レベルです。)ところが11月7日頃から一気に延焼し、あっと言う間に食い止められそうもない広がりに発展しました。ここまで広がると人の力で消し止めるのは無理で、全て燃え尽きるか、あるいは強い低気圧が豪雨をもたらさない限り消えません。でも乾燥期・高温期・強風期に入ってしまったオーストラリアで自然が自然を鎮めることは期待できそうにありませんね…。
気象衛星ひまわりが捉えた7日から9日まで三日間(各正午撮影)の画像を下に引用しました(画像元:NICT/画像処理は筆者)。8日から9日にかけて西風に乗って東部海域まで煙が流れ、最終的にニュージーランド南島南端よりも南下しています。このまま極渦外周に沿って、南極周りを一巡してしまうような勢いですね。日本の台風被害もひどかったけれど、これも本当に凄まじい。人間の無力さを思い知らされます。