ボリソフ彗星や赤い星々の撮り直し2019/11/02

20191102ボリソフ彗星(2I・C/2019Q4)
昨夕から今朝にかけて、とても良い星空となりました。前夜と違って湿度が20%も落ち、結露はあまり目立ちませんでした。せっかく透明度が良いため、前夜に位置を失敗したボリソフ彗星(2I・C/2019Q4)を撮り直しました。

さすがに今回は予報通りの位置でど真ん中に写ってくれました(左画像)。光害地からの撮影、しかも、あまり高い空ではく、おまけに16等台の暗い彗星…。コントラストは低いけれど、これだけ写ってくれれば申し分ありません。

彗星が昇るのを待つ間、先日天気が崩れて観察できなかった赤星リレーのうち、クリムゾン・スター(うさぎ座R星)を撮影(下A画像・中央の赤い星)。似た色の比較星が近くになくて測りづらいけれど、6.5等より若干暗い程度でしょうか。427日ほどの周期ですから、ちょうどピークを迎えているはず(日本変光星観測者連盟による予報は10月16日)。

20191102_R Lep Obs by AAVSO
右図はアメリカ変光星観測者協会(AAVSO)による観測データを元に描いた過去1000日間のクリムゾン・スター光度変化グラフ。ピークを過ぎてる様な、過ぎてない様な…。

色の比較として、同じうさぎ座の「青い星」であるλ星(下B画像)、およびルビー・スターの異名を持つおうし座CE星(下C画像)も撮ってみました。色フリンジが出やすい光学系なので収差ぶんを差し引いて見なくてはいけませんが、色の違いは眼視観察でもよく分かります。

参考までにB-V色指数を比べると、プレアデス星団の星々が-0.1未満、うさぎ座λ星は-0.25(数字が小さいほど青味が濃い)。またくじら座ミラは0.98、ケフェウス座ガーネット・スターは2.24、今回のクリムゾン・スターは2.71(数字が大きいほど赤味が濃い)。今回はソフトウェアで色滲みを付加しましたが、うまく色合いを出す撮り方がないものか、あれこれ悩んでいます。

  • 20191102_R Lep(クリムゾン・スター)

    A.うさぎ座R星(クリムゾン・スター)
  • 20191102_λ Lep

    B.うさぎ座λ星
  • 20191102_CE Tau(ルビー・スター)

    C.おうし座CE星(ルビー・スター)


今日の太陽2019/11/02

20191102太陽
明け方まで晴れていましたが、午前中は雲が出ました。日差しは穏やかながら、ときおり冷たい風が吹きます。暖かくなったせいか、昼以降はやや霞が強くなりました。

20191102太陽リム
左は10:30頃の太陽。中央左下の活動領域は12750と採番されました。久しぶりの領域、しかも来期の領域です。じわじわと太陽周期が交代していますね。プロミネンスは右下のものが目立っていました。

撮影中に光球を横切るトンボがとても目に付きました。

(追記)今日は福岡・下関・大分で黄砂観測。

夕空で月と土星が接近しました2019/11/02

20191102月と土星の接近
夕方ベランダに出ると真正面に金星が見えていました。まだまだ超低空なので『明星』を冠するには煌めきが足りません。南を見上げると上弦前の月が輝きだしています。おや?すぐ上に明るい星…そうだ、今夕は土星と接近する日でした。

気の向くままに望遠鏡を組み上げ、何気なく撮った写真が左画像。日没前から薄い雲が湧いてしまい、全体がかぶっています。三段階の露光をコンポジットしており、月面細部から地球照、土星本体、周囲の微光星まで1枚に収めてみました。画像上側、横に伸びた一番明るい星が土星です。

20191102土星の衛星
500mm+APS-Cの簡単な光学系で短時間露光撮影しましたが、12等程度まで写っています。土星周囲を見ると輪っかはもちろん、衛星が四つも確認できました。右は原画の土星を中心に600ピクセル四方を切り出した原寸大画像です。四つの衛星以外は全て恒星ですね。

日中に色々あって疲れていましたが、美しい天体会合を眺めている内にすっかりリフレッシュできました。天然の癒やし効果でしょうか。