今日の太陽と春分、日食、月食のこと2015/03/21

20150321太陽
午前中早いうちは曇っていましたが、昼前に少しだけ青空が見えてきました。左は11:40頃に雲間から顔を出した太陽。大きなダークフィラメント以外は特に目立つものがなく、小さな黒点や小さなプロミネンスのみです。レンズズームの不調で光が偏ってしまって残念。

本日8時前に太陽は春分に到達しました。春分は太陽系の時空を測る基準のように扱われ、正反対の秋分と共にとても大切にされます。一般生活に表立って現れることはありませんから、なぜ春分の日や秋分の日が祝日になるほど意味があるのか、ほとんどの方には実感が湧かないでしょう。学校で教わることもありませんからね。

ところで、NASA発表のこちらの日食図によると、この太陽は日本時間の昨日20日夕方あたりにロシア西部やヨーロッパ、アフリカ北部で部分日食を起こしました。一部(主に海上)では皆既日食になりました。日食がほぼ春分近くで見られたという貴重なタイミングでした。

思い返すと、先々週3月6日の満月はここ10年くらいの間で最も小さな満月でした。その次の新月が昨日の日食ですから、軌道上では直径がかなり大きく見える新月だったはずです。(実際は2月の新月に次いで今年二番目に大きな新月でした。)小さく見える月だと太陽が全部隠せず金環日食になりますが、今回は大きな新月なのでうまく全部隠せて皆既となりました。

20060329トルコ日食
右は2006年3月29日のトルコ日食(撮影は田中千秋氏・画像処理は私)ですが、これも春分近くの皆既日食でしたね。今回はどのような日食が見えたのでしょうか。海外からの速報写真を見ると、今日の太陽の左上に見えるプロミネンスが目立って写っているようです。

そして日食を起こした月が次に満月となる4月4日夜に、なんと皆既月食が起こります。この皆既月食はちょうど日本で見やすく、昨年10月7日に見えた皆既月食から数えてもちょうど半年後というタイミング。いろいろな周期性や規則性が頭に浮かんできませんか?

4月4日の月食についてはアーカイブ:皆既月食の一覧の該当表をご覧ください(全国的にほぼ同じ時刻です)。皆既は21時前後、月食終わりが23時前と大変見やすい時間帯です。地球の影の縁ギリギリに内接するような月食のため皆既時間が15分前後と短い反面、ターコイズフリンジの観察が継続して行えるメリットもあります。お花見シーズンとも重なりますので、晴れるといいですね。

小さな太陽柱と極細の月2015/03/21

20150321太陽柱
昼過ぎからは晴れ間が多くなり、春らしい陽気となりました。その分空気が濁ったような色になり、冬のようなスカッとした青空ではありません。夕日がドロッとしたオレンジ色に染まっていたのが印象的でした。

日没近く、太陽の上下に小さな太陽柱が見えました。左は太陽本体が雲に隠れていますが、上に伸びる太陽柱が筋状に写っています。撮影が間に合いませんでしたが、この数分前には太陽下にも太陽柱が見えました。

この太陽柱を見てから約20分足らず後。まだベランダで明るい西空を必死に見つめていました。実は超低空の月を探していたのです。昨夕にヨーロッパなどで日食になりましたが、その日食を起こした月(=新月)から約1日経った月がいるはずです。しかし無情にも低空は春霞に覆われ、夕焼けすら感じないほど暗くよどんでいます。

20150321_01389月
諦めかけた18:10頃、双眼鏡の視界にかき消えそうな月を発見!急いでカメラを向けて何十枚も撮りました。あまりに暗いため普通の条件では写らず、感度をISO4000まで上げました。(それでも液晶画面では見えないほど。)右画像は背景の明るさを抜き、月を明るく処理したもの。実際にこんなに明るかったわけではありません。

撮影時の太陽黄経差は13.89度、高度はわずか7.5度、そして月齢は0.99です。自分の撮影歴ではトップ3に入るくらいの細さでした。とりあえず見えて良かった!明日、明後日と月は高度を上げて見やすくなりながら、火星や金星の近くに輝きます。

参考:
アーカイブ:月の形(黄経差0度以上、36度未満)
アーカイブ:天体の接近現象一覧(2015年)