昨夜から今朝にかけて雲が多かったけれど、夜半前の2時間ほどは薄雲越しに名月前夜の月を楽しむことができました。

左画像は28日23:00頃の撮影で、太陽黄経差は約168.39°、撮影高度は約48.23°、月齢は13.51。ぱっと見ほぼ丸くて、満月でも良いんじゃない？と思えそうなお月様でした。秤動は緯度方向に+4°ほど振れており南極側が見づらいものの、概ねセンタームーンに近い見え方です。以下、欠け際を抜粋でご紹介。ちなみにシーイングは3/10くらい、透明度も悪かったです。

月面Ａ地形が昼間のうちに出現していました。夜中近くのこの画像ではＡの穴の部分も塞がって、洗濯ばさみとか一輪挿しのようですね。ヘベリウス内を縦横に走るヘベリウス谷や、クレーター外に向かう谷が良く見えます。ミヤモリ谷もくっきり。

驚いたことに、グリマルディ内にあるごく低いドームが見えたこと。何本かのリッジも確認できます。グリマルディのドーム（Grimaldi 1／直径約20km）はリムに近いこともあり、日照タイミングと秤動がよほど良くないと見えません。そのためか紹介されてるのをほとんど見かけませんね。南側にある更に小さなドームも見えているようです（右画像／左上画像を強調）。秤動はだいぶ不利ですが、次のチャンスは今年11月26日宵から真夜中にかけて、および2024年1月24日夜半前から25日未明にかけてドームの出現過程が見えそうです。

リチオリ内の谷も辿れました。その他、画像内にはライナー・ガンマやタコ形のスウォール、Ｂ形のスウォールも写っています。ライナー・ガンマとタコ形スウォールの間にもたくさんのスウォールが列を為していて面白い。

コペルニクス、ケプラー、アリスタルコスからの光条が錯綜するエリア。アリタルコスは真っ白になりがちなので気を付けるのですが、やはりクレーター内の細かい模様が白飛びしてしまいます。

アリスタルコス谷やプリンツ谷が良く見えました。マリウス谷も見えてますね。マリウス周囲のドーム群がまだ若干の影を持っていて、びっしり生えている様子が生々しい。

チェーンクレーターで繋がるクラフトとカルダヌスがうお座を彷彿とさせます。カルダヌスの北東側には小さなドームがあるのでしょうか、出っ張って見えますね。カルダヌス南にひょろっと見えてるのはカルダヌス谷。欠け際に陣取っているエディントンとラッセルも双子のように並んでます。どちらもランドルト環みたいで面白い。

画像左上には口内炎のように並ぶビリーとクリューガー。ビリー内にはふたつの直径1km程度の小クレーター、クリューガー中央にも3km弱の小クレーターがありますがなかなか見えません。この画像ではなんとか存在が分かります。クリューガーの南西にはダーウィンのドームがよく見えました。その東、全長400kmを越すシルサリス谷も見頃を迎えてます。PC画面では細い髪の毛のように見えていたため、最初モニターを何度もこすってしまいました。

いっぽうでヒッパルス谷やデ・ガスパリス周囲の谷は目立たなくなっています。ヘルメットのアヒルたちも陰影が無くなって全く分かりません。ビルギウスのX形はこの位相だと白く見えるようです。いつ黒Xに変わるのかな？26日にあまり見えなかったヘリゴニウス谷が白い線のように見えました。例えが悪いけれど線虫みたいでゾワゾワしますね。この南側も撮りましたが、インギラミ谷は秤動が悪くていまひとつ見栄え良くありませんでした。南極と北極まで撮影し終えたところで雲が全天を覆ってしまいました。