三度目の夕空はダメでした… ― 2023/09/20
昨日19日午後も快晴になり、「おっ、西村彗星(C/2023 P1)三日連続で拝めるのか?」と準備。でも、そうは問屋が卸しませんでした。
ちょうど栃木県や茨城県北部で局所的な大雨地域が発生しており、この雲が意外なほど当地から見て西空低空に張り出してきたのです。それが日没ごろだったから、その後は薄暮が薄れるのが先か、雲に覆われるのが先かというつば迫り合い。結局雲に押し負けて、彗星観察可能な時刻にはすっかり雲に覆われてしまいました。
一応撮影した中から雲がかかる寸前の画像を拾いだし、切り出してみたのが左上画像。彗星頭部の存在しか分かりません。画像上のロープのようなものは電線、下のモヤモヤは雲。仕方がないので、そのまま機材を月に向けて撮影。彗星用の広角なので、月はさすがにアップに堪えない小さい像ですが、まぁこんな月が出ていたよという記録です(下A画像は月だけトリミング)。南側のカスプに、とても離れた位置に光点が見えます。これはどこの地形でしょう?
更に仮眠後、20日未明の木星を観察。薄雲が湧いていましたが何とかなりそうと望遠鏡を向けると、信じられないほどの悪シーイング。冬でもこんなに酷くないぞという感じでした。上空でいったい何が…?。雲が多くなるまで撮り続けてみましたが、結果は下B画像のとおり融けかかったラテアートみたいに細部が全く見えない仕上がりでした。
ちょうど栃木県や茨城県北部で局所的な大雨地域が発生しており、この雲が意外なほど当地から見て西空低空に張り出してきたのです。それが日没ごろだったから、その後は薄暮が薄れるのが先か、雲に覆われるのが先かというつば迫り合い。結局雲に押し負けて、彗星観察可能な時刻にはすっかり雲に覆われてしまいました。
一応撮影した中から雲がかかる寸前の画像を拾いだし、切り出してみたのが左上画像。彗星頭部の存在しか分かりません。画像上のロープのようなものは電線、下のモヤモヤは雲。仕方がないので、そのまま機材を月に向けて撮影。彗星用の広角なので、月はさすがにアップに堪えない小さい像ですが、まぁこんな月が出ていたよという記録です(下A画像は月だけトリミング)。南側のカスプに、とても離れた位置に光点が見えます。これはどこの地形でしょう?
更に仮眠後、20日未明の木星を観察。薄雲が湧いていましたが何とかなりそうと望遠鏡を向けると、信じられないほどの悪シーイング。冬でもこんなに酷くないぞという感じでした。上空でいったい何が…?。雲が多くなるまで撮り続けてみましたが、結果は下B画像のとおり融けかかったラテアートみたいに細部が全く見えない仕上がりでした。
晴れてほしいアンタレス掩蔽 ― 2023/09/20
明日9月21日に「月によるアンタレス掩蔽」が起こり、全国的に観察可能です。通称は「アンタレス食」ですが、天体が別天体を隠す現象は「食」ではなく「掩蔽」なので、当記事では掩蔽を用います。
日本で夜間(日没後から日出前まで)に見えるアンタレス掩蔽は2005年3月31日(左画像)以来でしょう。月が取り得る赤緯の幅は一周ごとに少しずつ変わり、時期によって南限がアンタレスの赤緯より少し南まで達します。右下図は2023年3月9日記事にも掲載した図です。この範囲に収まる1等星はアルデバラン、レグルス、スピカ、アンタレスの四つのみ。従って、この四つの近くを月が通るシーズンは掩蔽される可能性があるのです。例えばここのサイトでは四つの1等星が掩蔽される仕組みや観察可能場所が載っていますのでご参考に。別の見方をすると、月軌道面(白道面)は地球軌道面(黄道面)に対して約5.1°の傾斜角を保ちながらゆっくり変化しているため、黄緯は高々プラスマイナス5.1°程度。この一定範囲内にある星はいずれも掩蔽される可能性があるのです。もちろん四つの1等星も入っていますし、惑星や多くのメインベルト小惑星も掩蔽対象です。古くはロバートソン獣帯カタログといった、掩蔽に特化した星表もありました。獣帯とは獣の星座が多い黄道十二宮のこと。英語表現のzodiacはzooと同じ語源ですね。2022年2月17日記事・中ほどの「月が空のどこにいるのかの分布図」を見ると、この獣帯が細いベルト状になっている意味が視覚的に分かるでしょう。
月がそばを通るためには赤緯だけでなく赤経も近い…つまり離角が小さい必要があります。下A図は月とアンタレスが一朔望月ごとにどこかで最接近する瞬時と離角を、1900年から2100年まで計算したもの。同様に他の1等星たちで描いたのが下B・C・D図。地球のどこかから見てこの離角が月半径より小さければ掩蔽になるのです。2000年以降2050年までに地球のどこかでアンタレス掩蔽が見えるチャンスはおよそ200回。でも日本のどこかで見えるのはそれほど多くありません。しかも夜時間かつ月高度がある程度高いものに限ると50年間あたり片手で数えられる程度でしょう。
今回は夜といっても、隠される瞬間「潜入」は日没前、出てくる瞬間「出現」は日没後という微妙な時間帯。しかもかなり低いですね。とは言え、アンタレス掩蔽の醍醐味は伴星が見えるかも知れない出現のほうなので、せっかくのチャンスを最大限活かさないともったいないでしょう。
2023年3月9日記事にも書きましたが、アンタレスは主星0.96等、伴星5.40等の二重星で、潜入は伴星→主星の順に消え、出現は同じく伴星→主星の順に出ます。明るい主星が先に見えてしまうと暗い伴星がかき消されて見えませんが、先に伴星が出てくれるなら僅かな時間差の間に存在が確認できます。記事冒頭画像の真ん中の段は伴星だけが見えている状態です。ただ、今回は月面の光っている側からの出現(明出)ですから、二重星を撮る倍率を維持しつつ正確に追い続けないとうまく見えないかも知れません。
次回のアンタレス掩蔽は2042年3月14日5:16潜入、6:21出現(日本経緯度原点計算)の明入暗出ですが、出現のほうは日の出後になります。その次は2042年6月3日23:31潜入、4日0:41出現で暗入明出ですが、ほぼ満月…。見やすい明入暗出は2061年バレンタインの明け方まで起こりません。なかなかうまく行かないものですね。ひとつひとつのチャンスがいかに貴重か分かるでしょう。晴れて欲しいものです。(※追記:今後見えそうな1等星の掩蔽リストを記事末に掲載しておきます。)
日本で夜間(日没後から日出前まで)に見えるアンタレス掩蔽は2005年3月31日(左画像)以来でしょう。月が取り得る赤緯の幅は一周ごとに少しずつ変わり、時期によって南限がアンタレスの赤緯より少し南まで達します。右下図は2023年3月9日記事にも掲載した図です。この範囲に収まる1等星はアルデバラン、レグルス、スピカ、アンタレスの四つのみ。従って、この四つの近くを月が通るシーズンは掩蔽される可能性があるのです。例えばここのサイトでは四つの1等星が掩蔽される仕組みや観察可能場所が載っていますのでご参考に。別の見方をすると、月軌道面(白道面)は地球軌道面(黄道面)に対して約5.1°の傾斜角を保ちながらゆっくり変化しているため、黄緯は高々プラスマイナス5.1°程度。この一定範囲内にある星はいずれも掩蔽される可能性があるのです。もちろん四つの1等星も入っていますし、惑星や多くのメインベルト小惑星も掩蔽対象です。古くはロバートソン獣帯カタログといった、掩蔽に特化した星表もありました。獣帯とは獣の星座が多い黄道十二宮のこと。英語表現のzodiacはzooと同じ語源ですね。2022年2月17日記事・中ほどの「月が空のどこにいるのかの分布図」を見ると、この獣帯が細いベルト状になっている意味が視覚的に分かるでしょう。
月がそばを通るためには赤緯だけでなく赤経も近い…つまり離角が小さい必要があります。下A図は月とアンタレスが一朔望月ごとにどこかで最接近する瞬時と離角を、1900年から2100年まで計算したもの。同様に他の1等星たちで描いたのが下B・C・D図。地球のどこかから見てこの離角が月半径より小さければ掩蔽になるのです。2000年以降2050年までに地球のどこかでアンタレス掩蔽が見えるチャンスはおよそ200回。でも日本のどこかで見えるのはそれほど多くありません。しかも夜時間かつ月高度がある程度高いものに限ると50年間あたり片手で数えられる程度でしょう。
今回は夜といっても、隠される瞬間「潜入」は日没前、出てくる瞬間「出現」は日没後という微妙な時間帯。しかもかなり低いですね。とは言え、アンタレス掩蔽の醍醐味は伴星が見えるかも知れない出現のほうなので、せっかくのチャンスを最大限活かさないともったいないでしょう。
2023年3月9日記事にも書きましたが、アンタレスは主星0.96等、伴星5.40等の二重星で、潜入は伴星→主星の順に消え、出現は同じく伴星→主星の順に出ます。明るい主星が先に見えてしまうと暗い伴星がかき消されて見えませんが、先に伴星が出てくれるなら僅かな時間差の間に存在が確認できます。記事冒頭画像の真ん中の段は伴星だけが見えている状態です。ただ、今回は月面の光っている側からの出現(明出)ですから、二重星を撮る倍率を維持しつつ正確に追い続けないとうまく見えないかも知れません。
次回のアンタレス掩蔽は2042年3月14日5:16潜入、6:21出現(日本経緯度原点計算)の明入暗出ですが、出現のほうは日の出後になります。その次は2042年6月3日23:31潜入、4日0:41出現で暗入明出ですが、ほぼ満月…。見やすい明入暗出は2061年バレンタインの明け方まで起こりません。なかなかうまく行かないものですね。ひとつひとつのチャンスがいかに貴重か分かるでしょう。晴れて欲しいものです。(※追記:今後見えそうな1等星の掩蔽リストを記事末に掲載しておきます。)
【1等星の掩蔽・日本経緯度原点】
| 日時(JST) | 対象・現象 | 月齢 | 月高度 | 太陽高度 |
|---|---|---|---|---|
| 2023年9月21日 18:51 | αSco・出現 | 6.34 | 17.468 | -15.086 |
| 2024年8月10日 20:24 | αVir・潜入 | 6.01 | 9.812 | -20.208 |
| 2024年8月10日 20:51 | αVir・出現 | 6.03 | 4.800 | -24.332 |
| 2024年12月25日 3:17 | αVir・潜入 | 23.50 | 21.060 | -41.970 |
| 2024年12月25日 4:13 | αVir・出現 | 23.54 | 29.683 | -30.639 |
| 2026年1月7日 1:16 | αLeo・潜入 | 17.61 | 59.079 | -66.421 |
| 2026年1月7日 2:21 | αLeo・出現 | 17.65 | 65.483 | -54.108 |
| 2026年3月2日 20:30 | αLeo・潜入 | 12.98 | 47.201 | -35.723 |
| 2026年3月2日 21:34 | αLeo・出現 | 13.02 | 57.815 | -47.377 |
| 2032年4月25日 2:47 | αVir・潜入 | 14.63 | 17.568 | -23.899 |
| 2032年4月25日 3:49 | αVir・出現 | 14.67 | 6.363 | -13.400 |
| 2032年6月18日 19:19 | αVir・潜入 | 10.37 | 43.203 | -4.295 |
| 2032年6月18日 20:41 | αVir・出現 | 10.42 | 39.216 | -17.062 |
| 2034年7月13日 2:25 | αTau・潜入 | 26.29 | 3.648 | -21.336 |
| 2034年7月13日 3:16 | αTau・出現 | 26.33 | 13.490 | -13.979 |
| 2035年2月16日 21:59 | αTau・潜入 | 8.19 | 40.449 | -54.923 |
| 2035年2月16日 22:59 | αTau・出現 | 8.23 | 28.613 | -63.454 |
| 2035年5月9日 18:56 | αTau・潜入 | 1.58 | 12.107 | -5.082 |
| 2035年5月9日 19:48 | αTau・出現 | 1.61 | 2.366 | -14.224 |
| 2035年11月17日 3:29 | αTau・潜入 | 16.65 | 47.112 | -34.194 |
| 2035年11月17日 4:16 | αTau・出現 | 16.68 | 38.112 | -24.752 |
| 2036年1月11日 1:46 | αTau・潜入 | 12.09 | 24.113 | -60.936 |
| 2036年1月11日 2:43 | αTau・出現 | 12.13 | 12.966 | -49.578 |
| 2036年5月4日 19:32 | αLeo・潜入 | 8.04 | 64.827 | -12.183 |
| 2036年5月4日 20:17 | αLeo・出現 | 8.07 | 60.122 | -19.784 |
| 2036年7月25日 18:57 | αLeo・出現 | 1.99 | 14.829 | -2.097 |
| 2036年9月12日 22:28 | αTau・潜入 | 21.83 | 5.362 | -47.346 |
| 2036年9月12日 23:23 | αTau・出現 | 21.87 | 15.943 | -50.406 |
| 2042年3月14日 5:16 | αSco・潜入 | 21.53 | 27.636 | -8.490 |
| 2042年6月3日 23:31 | αSco・潜入 | 15.15 | 28.002 | -31.942 |
| 2042年6月4日 0:41 | αSco・出現 | 15.20 | 25.388 | -30.150 |
| 2046年10月4日 18:15 | αSco・潜入 | 4.28 | 15.111 | -11.845 |
| 2046年10月4日 19:12 | αSco・出現 | 4.32 | 7.153 | -23.407 |
| 2047年1月22日 5:28 | αSco・潜入 | 25.41 | 17.493 | -15.983 |
| 2047年1月22日 6:43 | αSco・出現 | 25.46 | 24.607 | -1.510 |
| 日時(JST) | 対象・現象 | 月齢 | 月高度 | 太陽高度 |
- 自作プログラムによる概算です。月縁は円形で代用し、リムの凹凸は考慮していません。
- 今回のアンタレス掩蔽以降、2050年までの予報です。
- 秒の桁は切り捨ててありますので、分の一桁目に誤差が含まれる可能性があります。
- 日本経緯度原点で見えなくても他地域で見える掩蔽もあるし、その逆もあります。観察場所が変わると発生時刻や月高度などが変わりますのでご注意。
- このリストは日の入りから翌日の日の出までに見えるもののみに限定していますが、1等星なら昼間に起きても望遠鏡で見えます。
- 2023.9.22追記:計算上の拾い忘れが何件か発生していたので追加修正しました。










