山形の板垣さんがおとめ座に突発天体発見2023/04/18

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5日ほど遡りますが、山形県の板垣公一さんが13日21時前、おとめ座に14.0等の突発天体を発見したそうです。13日に三重県の中村祐二さんが発見した突発天体を撮影した後、翌朝になってから情報に気付いたため、その後の悪天続きでずっと撮影できませんでした。ようやく昨夜望遠鏡を向けることができました。

天気は下り坂、透明度の低い空にときおり浮浪雲も流れる中での撮影となりました。該当天体は14等後半くらいの明るさで輝いており、急減光してなくてよかったと胸をなでおろしました。薄水色をしており、矮新星かなと思われます。

20230417金星・ヒアデス星団・プレアデス星団
時間が前後しますが、昨宵には金星とヒアデス星団・プレアデス星団が夕空に固まって見えていたので、これも記念に撮影しました(右画像/画像上が天頂方向)。まだ若干薄暮が残っていましたが、あまり遅くなると低くなってしまうので、街中で撮るにはこれくらいが良いのでしょう。

三年後の2026年4月末頃にも、夕空で同じような光景を目にすることができるでしょう。ただし今回より半月遅れなので、低い空での出来事になってしまいます。まだ数日は肉眼でも集まっている様子が楽しめますから、お早めにご覧ください。23日には細い月も加わって賑やかですよ。

日食前の月を観る2023/04/18

20230418_明け方の月
当地・茨城県南部は今日18日午後から宵にかけて雨が予報され、昨夕からゆっくり下り坂なのが感じられました。ただ、今日明け方までは何とか天気が持ってくれたので、夜明けの月が見えるかどうか、見通しが良い近くの広場まで出かけてみました。

現地に着いたのは月の出のころで、ちょうど航海薄明も始まっていました。上空のほとんどは星が見えましたが、残念なことに月が見える方角だけ完全に曇っており、南から東へ向かう雲が途切れそうにありません。何度も「もう帰ろう」と思いつつ、あと5分、あと5分…と繰り返していると、かなり明るくなったころ雲の隙間に月の輝きが一瞬だけ見えました。

タイミングよく雲の合間に月が見えそうだったので大急ぎで架台をセット。見失わないようガイドしつつ雲間に月光がこぼれる度にピント合わせを繰り返し、ようやく撮影に漕ぎ着けました。正に「紫だちたる雲のほそく…」の光景そのもの。なんと美しいことでしょうか。さっきまで帰ろうとしていた気持ちはどこへやら、目の前の細い月に心奪われました。

20230418_32927月
右の拡大画像は高倍率デジカメによる4:50前の撮影で、太陽黄経差は約329.27°、撮影高度は約7.96°、月齢27.10、画像の水平を実際の水平に合わせてあります。低空過ぎ+空が明る過ぎてシャープネスも色合いもおかしくなっていますので、彩度を大きく落とし、無理のない仕上げにしてあります。

北側明暗境界のピタゴラスとパスカルが目立ちますが、他にも弱々しいながらシュトルーヴェ、へヴェリウス、グリマルディ、ダーウィン、ビルギウス、ラグランジュ、ピアッツィなどが確認できます。月距離が小さく視直径が大きいことに助けられたのかも知れません。

弦傾斜は-67.78°もあって、右下がりの急角度。水平月とは逆のシーズンに見られる「そそり立つ月」ですね。北緯59°あたりで太陽と一緒に昇る「垂直月」になる計算で、それより北側では夜の月がほとんど見えない期間。夜間に黄道が地平と平行に寝てしまって高度も低いことに加え、白夜シーズンであることが影響するのです。日本に住んでいてはお目にかかれない月夜事情ですね。

明日19日朝は月の出と日の出の差が30分程しかなく、見つけるのは至難の業。明後日20日は日食当日ですから太陽と月はほとんど一緒に昇ってきます。従って日食前に日出前の月を観るには現実的に考えて今朝がラストチャンスなのでした。見えて良かった…