今日は月遅れ七夕より早い「伝統的七夕の日」2022/08/04

ベガ

おりひめぼし
今日は伝統的七夕(旧暦七夕)の日。本来なら夏本番の星空に上弦の月がかかり、月が沈めば代わりに織り姫星や彦星、天の川が空を飾る時期だったのですが…。昨夜から今日にかけて日本列島のあちこちで大雨の被害が出ており、それどころではないかも知れません。当地も早朝から雷雨になりました。少しでも早く穏やかな日々が訪れますように。

ところで昨夜星仲間からのメールで「今年は月遅れの七夕(8月7日)より早いことが意外だった」という話を伺いました。なんとなく伝統的七夕は8月の遅い時期といったイメージを持たれる方は少なくありません。みなさんはいかがですか?

国立天文台の「よくある質問」によると、伝統的七夕の日は現在公に使われていない「太陰太陽暦」による7月7日に近い日として、次のように定義されています。

二十四節気の処暑(しょしょ=太陽黄経が150度になる瞬間)を含む日かそれよりも前で、処暑に最も近い朔(さく=新月)の瞬間を含む日から数えて7日目が「伝統的七夕」の日です。


アルタイル

ひこぼし
朔の日を0ではなく1から数え始めることに注意してください。処暑はおおむね8月22日から24日ごろになりますから、この定義に従うと「処暑の瞬時直前に新月となる年は伝統的七夕の日が一番遅く、処暑+6日ごろ」「処暑の瞬時直後に新月となる年は伝統的七夕の日が一番早く、処暑-1朔望月+6日ごろ」になると分かるでしょう。実際に計算してみると理解できますが、日付は7月末から8月末まで(均等ではありませんが)まんべんなく散らばります。月遅れの七夕を基準にするなら、当然8月7日より遅くなるほうが出現確率は多いですよね。

伝統的七夕の日付分布
左図は1700年から2400年まで701年間全ての伝統的七夕の日付を上記定義に従って計算し、出現回数の分布をグラフ化したもの。(※現代の暦表を延長して適用するものとします。)7月29日以前と8月31日以降はありませんでした。「何となく8月中旬・下旬が多い」という感覚は間違っていませんが、この期間では8月7日以前になる年も186回あり、全体の26.5%を占めますから、稀というほど少なくはありません。稀という点では「7月末に伝統的七夕がある」ことのほうが珍しいケースと言えるでしょうか。

20220803_06563月
1900年から2100年について、8月7日以前になるケースを下表に掲載しました。3年後の2025年は7月31日になり、近年では最早の伝統的七夕になるでしょう。繰り返しになりますが、穏やかに晴れることを願います。(記事内画像は織姫星=ベガと彦星=アルタイル。5年ほど前の撮影。)

(おまけ)右は昨夜20:30ごろの月。高倍率デジカメによる薄雲越しの撮影です。撮影時の太陽黄経差は65.63°、撮影高度は13.78°、月齢5.73、弦傾斜は60.52°(画像左右方向が水平)。シーイング最悪でしたが、七夕の夜(今夜)は雨予報のため、前夜に無理して撮影しました。上弦まではもう少しかかりますね。

【月遅れ七夕より早い伝統的七夕と処暑&新月の関係・1900年-2100年】
処暑処暑以前の最遅新月処暑より後の最早新月伝統的七夕
1900年8月24日 0:19:057月26日 22:42:038月25日 12:51:488月1日
1905年8月24日 5:27:588月1日 13:01:478月30日 22:12:368月7日
1908年8月23日 22:56:257月28日 16:16:048月27日 7:58:028月3日
1916年8月23日 21:08:067月30日 11:14:338月29日 2:23:488月5日
1919年8月24日 14:27:567月27日 14:21:108月26日 0:36:228月2日
1924年8月23日 19:47:358月1日 4:41:248月30日 17:36:208月7日
1927年8月24日 13:05:067月29日 2:35:578月27日 15:45:038月4日
1930年8月24日 6:25:597月26日 5:41:288月24日 12:36:308月1日
1935年8月24日 11:23:367月30日 18:32:038月29日 9:59:568月5日
1938年8月24日 4:45:277月27日 12:53:108月25日 20:16:578月2日
1943年8月24日 9:54:428月1日 13:05:588月31日 4:59:128月7日
1946年8月24日 3:26:057月28日 20:53:178月27日 6:07:008月3日
1949年8月23日 20:47:587月26日 4:32:508月24日 12:58:478月1日
1954年8月24日 1:35:407月30日 7:19:308月28日 19:20:398月5日
1957年8月23日 19:07:217月27日 13:27:538月25日 20:32:218月2日
1962年8月24日 0:12:187月31日 21:23:328月30日 12:08:458月6日
1965年8月23日 17:42:367月28日 20:44:448月27日 3:50:198月3日
1968年8月23日 11:02:477月25日 20:49:208月24日 8:56:287月31日
1973年8月23日 15:53:277月30日 3:58:478月28日 12:25:178月5日
1976年8月23日 9:18:147月27日 10:38:438月25日 20:00:338月2日
1981年8月23日 14:38:087月31日 12:51:568月29日 23:43:248月6日
1984年8月23日 8:00:117月28日 20:51:138月27日 4:25:308月3日
1987年8月24日 1:09:507月26日 5:37:318月24日 20:58:378月1日
1992年8月23日 6:10:067月30日 4:35:098月28日 11:41:528月5日
1995年8月23日 23:34:497月28日 0:12:568月26日 13:30:588月3日
処暑処暑以前の最遅新月処暑より後の最早新月伝統的七夕
2000年8月23日 4:48:317月31日 11:25:088月29日 19:19:178月6日
2003年8月23日 22:08:107月29日 15:52:438月28日 2:26:218月4日
2006年8月23日 15:22:347月25日 13:30:558月24日 4:09:467月31日
2008年8月23日 3:02:148月1日 19:12:338月31日 4:58:028月7日
2011年8月23日 20:20:397月31日 3:39:488月29日 12:04:058月6日
2014年8月23日 13:45:597月27日 7:41:468月25日 23:12:468月2日
2019年8月23日 19:02:008月1日 12:11:558月30日 19:37:088月7日
2022年8月23日 12:16:107月29日 2:55:028月27日 17:17:088月4日
2025年8月23日 5:33:517月25日 4:11:128月23日 15:06:337月31日
2030年8月23日 10:36:237月30日 20:11:008月29日 8:07:228月5日
2033年8月23日 4:01:517月26日 17:12:368月25日 6:39:508月1日
2038年8月23日 9:10:108月1日 9:40:238月30日 19:12:498月7日
2041年8月23日 2:36:187月28日 10:02:228月27日 1:16:138月3日
2044年8月22日 19:54:447月25日 2:10:348月23日 10:06:057月31日
2049年8月23日 0:47:297月30日 5:07:208月28日 20:18:458月5日
2052年8月22日 18:21:437月26日 10:31:108月24日 20:07:028月1日
2057年8月22日 23:25:257月31日 23:32:258月30日 12:55:048月6日
2060年8月22日 16:50:017月27日 21:50:098月26日 9:56:488月2日
2063年8月23日 10:09:247月26日 2:55:468月24日 10:18:128月1日
2068年8月22日 15:04:397月29日 12:55:358月28日 3:29:128月4日
2071年8月23日 8:32:437月27日 9:57:158月25日 17:17:298月2日
2076年8月22日 13:48:427月31日 7:06:318月29日 22:44:408月6日
2079年8月23日 7:05:307月28日 17:34:378月27日 2:03:478月3日
2082年8月23日 0:14:437月26日 0:55:418月24日 10:19:218月1日
2087年8月23日 5:21:097月30日 3:21:508月28日 14:09:398月5日
2090年8月22日 22:48:487月27日 10:20:438月25日 18:00:268月2日
2095年8月23日 3:58:097月31日 16:30:318月30日 6:07:208月6日
2098年8月22日 21:13:347月28日 17:52:518月27日 0:54:408月3日
処暑処暑以前の最遅新月処暑より後の最早新月伝統的七夕

  • 自作プログラムによる計算です。(使用暦表:JPL-DE440)
  • 伝統的七夕は厳密な意味での旧暦7月7日ではありません。(旧暦は大変複雑ですし、旧暦時代の二十四節気も現代の決め方と異なってきます。)


東北・北陸で続いた豪雨2022/08/05

20220802積算降水量
8月2日ごろから東北・北陸地方で降り続いた豪雨は過去の観測を塗り替える降水量に達した模様で、大きな被害が出ています。また、2日に青森県から始まった今回の雨は南下しつつ断片的ながら今も続いており、今日5日現在は福井県・滋賀県・島根県など西日本までおりてきました。

気象庁から発表されているアメダスデータが昨日まで出そろったので、速報的に2日からの三日間に降った降水量10分計測データを積算グラフで描いてみました(左図※8/9詳細図に差し替え)。使った地点は一昨日および昨日の時点で72時間降水量が観測史上最大となったポイントです。いずれの地点も記録的短時間大雨に匹敵する勢いの雨が何時間も降り続いたことが分かるでしょう。また降水が強まる時間と場所を追いかけると、だんだん南下していった様子もわかりますね。

グラフ内に書きましたが、最も多かったところは新潟県岩船郡関川村の下関ポイントで、72時間総降水量は568.5mm。これは1978年6月28日の323.0mmを大幅に上回る記録でした。8月の降水量平年値は207.3mmなので、三日間で1ヶ月ぶんの2倍近く降ったことになります。この統計の中で「1時間あたりの降水量最大」、つまりグラフの傾斜が最も急なところも下関ポイントで、4日2:00までの148.0mmでした。次いで石川県白山市の白山河内ポイントで4日5:00までの102.5mm。5:00時点の降水ナウキャストを右下に掲載します(気象庁サイトから引用、文字は筆者)。ちなみに関川村下関は天文ファンならおなじみの胎内星まつり会場から10kmも離れていません。(※グラフ内の中条ポイントはまさに胎内市で、海寄りの市街地のほうです。)大丈夫でしょうか?

20220804-0500降水ナウキャスト
(※私が見逃してないとすれば)線状降水帯のマークが降水ナウキャストに表示されていたのは、新潟県下関ポイント近辺で3日13:00から13:25、18:00から18:55、19:30から21:15の三回、石川県白山河内ポイント近辺では4日9:30から9:45の一回でした。これを見逃してしまった方は出ていたことを知らないわけです。(※もちろん警報はずっとアナウンスされています。)

前後の降水ナウキャストを追いかけてみても、右図よりもっと降ってるだろうと感じることが度々ありましたが、実際は(少なくとも気象庁の降水ナウキャスト上では)雨が収まってきて範囲も小さくなった時にグラフの急傾斜が発生しました。レーダー図は目安にしかならないということでしょうか。最近は線状降水帯ばかり注目されるようになったけれど、豪雨のピークと降水帯のタイミングは大幅にずれるということを念頭に行動しなくてはいけませんね。

尋常ならざる雨はまだ続いています。止んでもすぐ川の水は引きません。どうか被害が最小限で済みますように。

参考:
アーカイブ:記録的短時間大雨情報のリスト

今日の太陽と立秋2022/08/07

20220807太陽
今日は昼にかけて曇り空。昼頃からは房総半島沿いに北上してくる積乱雲の影響で小雨が降ったり遠雷が聞こえたりしました。ろうと雲も出たそうです。それでも時々青空が見え、合間を縫って太陽観察ができました。

20220807太陽リム
左は15:30ごろの太陽。右下リム近くに活動領域13068、13072、13073が並び、また南半球中央から左側に目立つ黒点を伴った13071と13074が並んでいました。この他左端やや上リムから新たな黒点が見えてきました。プラージュも何ヶ所か見えています。左リム側のプロミネンスが目立ちますね。

太陽観察を終える頃にはかなり雲が無くなり、蒸し暑くなりました。気象庁アメダス速報値の本日0時から15時までの集計による夏日地点数は808、真夏日地点数は570、猛暑日地点数は63、酷暑日地点数は0、熱帯夜地点数は226、超熱帯夜地点数は0。少し減ったとは言え、まだまだ暑いですね。

立秋の日付変化
本日は立秋です。正確には21:29:09JSTごろ太陽が黄経135°を通過し、立秋瞬時を迎えます。立秋の日付変化は左図の通り。今年は8日に近い7日ですが、来年は7日に近い8日(3:23JST)です。しばらくは7日と8日とを行ったり来りしますが、2039年8月8日00:18JSTを最後に8日が無くなり、2072年からは6日が入ってきます。そのまましばらく6日と7日とを行き来し、2102年から再び7日と8日のパターンに戻ります。

今日の太陽とハロ現象2022/08/08

20220808太陽
昨夜から今朝は晴れ後曇り後晴れ。夜半前から数時間は太平洋側にある積乱雲が雷光を度々発し、夜空を明るく照らしていました。今日朝からは晴れ。風がやや強く、またモヤモヤした雲がしつこく残っていました。

20220808太陽リム
左はようやく雲が立ち退いた15:20ごろの太陽。望遠鏡が風で揺れまくっていました。左上に現れていた黒点周囲は活動領域13076と採番され、またプラージュが見えるところにも小黒点があって13075と採番されました。更にプロミネンスが続いているようで、何か見えてくるでしょうか?

気象庁アメダス速報値の本日0時から15時までの集計による夏日地点数は857、真夏日地点数は702、猛暑日地点数は120、酷暑日地点数は0、熱帯夜地点数は293。立秋を過ぎても暑い日々が続きます。

【夕方追記】
強まる風のなか夕方の天気を確認しにベランダへ出ると、上空に虹色の雲を発見(下A画像)。とても淡くて形がはっきり分かりません。真っ直ぐ水平に伸びるようにも見えるし、環天頂アークのようにも見えますが、何枚か撮影して強めの画像処理を繰り返し、下向きの弧、つまり上部ラテラルアークと判断しました。環天頂アークが重なっているかも知れませんが分離は困難です。

アークが見える日はほぼ内暈や幻日も見えるのでしばらく観察していると、太陽左の幻日が見えてきました。右側の幻日ははっきりしませんが、断片的に淡い内暈は見えました(下B画像)。

  • 20220808上部ラテラルアーク

    A.上部ラテラルアーク
  • 20220808内暈と幻日

    B.内暈と幻日