いよいよ有明月が横たわってきた!2021/10/03

20211003_31213月(地平座標)
明け方の月が横たわって見える「水平の有明月」が迫りました。先月は悪天候で見えませんでしたが、今月は何とか見えそうな予感。水平月や逆転月については「横たわる有明月を観よう・Part1」、および「横たわる有明月を観よう・Part2」に詳しい説明があります。

左は茨城県南部の自宅から3時前に撮影した月。撮影時の月高度は約13.9°。カメラの水準機構により水平を正しく合わせてあります。このとき月の弦(欠け際先端=カスプの北端と南端を結んだ線)と水平とのなす角は-9.79°(※右上がりなら正、左上がりなら負の値)でした。もし明日4日明け方同じ高度頃に撮影したら-5°あまり、明後日5日なら0°を上回り、逆転月になるでしょう。ほとんどの場合、日本で見る明け方の細い月は「左下」が光っています。でも明後日10月5日は本州の南半分以南で「右下」が光る逆転月になるのです。天気との兼ね合いもあってなかなか見ることができない貴重な機会ですから、ぜひ早起きしてご覧になってくださいね。

20211003_31287月
航海薄明ごろに月は結構高く登ったので、改めて大きめの望遠鏡で撮影してみました。右画像は4:30前の撮影で、太陽黄経差は約312.87°、撮影高度は約30.9°、月齢は25.77。この画像は上下方向を月の自転軸方向にそろえてあります。肥えた観察眼をお持ちの方は「太陽が赤道よりほんの少し南側から照らしているのでは?」と見破るでしょうか?自転軸を上下に揃えても、弦が垂直になるわけではありません。ちなみに撮影時の水平に対する弦傾斜は-7.27°で、低空のときより更に寝ていました。実は5時頃までどんどん傾斜がゆるくなっていたんです。下A図に向こう三日間のつくば市における弦傾斜と月高度の関係を掲載しましたので参考にしてください。(※いつもこのような傾向とは限りません。)

今朝の月の注目ポイントは弦が水平に近いこと以外にもうひとつありました。それは秤動量が8°を超えており、左下側の地形がとても良く見えたこと。(※秤動量とは座標原点と見かけの中心との角距離の意味で使っています。)2021年9月20日記事に書いた通り、約半月前は右上側がよく見える秤動でした。首振りが反対側へ向いたことになります(下B図参照)。

地球から普段見えない裏側の地形「オリエンタレ盆地」中央にある「オリエンタレ海(東の海)」がよく見えていますよ。(オリエンタレ盆地→2016年10月31日記事参照。)前夜関東に雷雨をもたらした大気状態のせいでシーイングが悪かったのが残念…。

欠け際にはバイイやシッカルドなどの巨大クレーターが並び、壮観です。アリスタルコスも夕方ですね。その北側にはいつもと逆位相のリュンカー山も見えています。何と言いますか…「ショートレンブラント・ライティング」的な光の当たり方。このあたりのリンクルリッジも複雑ですね。少し涼しくなってきた明け方の月、たっぷり堪能できました。

  • 2021年10月・水平月の弦傾斜変化(茨城県つくば市)

    A.2021年10月・水平月の弦傾斜変化
  • 2021年10月の月面秤動

    B.2021年10月・月面秤動


参考:
更に水平に近くなった夜明けの月(2021/10/04)……翌日明け方の様子です


今日の太陽2021/10/03

20211003太陽
昨夕から夜遅くにかけて雷雨エリアが通過しました。その後はひんやりした快星が朝まで続き、今日もカラッと晴れています。雨上がりでも湿度が上がらなくなってくると秋だなぁと感じます。

20211003太陽リム
左は9:30ごろの太陽。活動領域12880の黒点が中央に差し掛かりました。目立つ3つの黒点が「さんかく座」のようですね。12877の黒点も右下リムぎりぎりにあるようですが、この画像ではプラージュしか見えず判別できません。

右下プロミネンスは今日も残っていました。左やや上リムから新たな領域が見えてきたようです。黒点はあるでしょうか?