雲に邪魔されつつも月面N&Iを観察2022/11/04

20221103コペルニクスと月面N&I
昨夕は薄雲が流れつつも一応晴れており、絶好の「月面N&I地形」観察日和でした。この地形が見える条件を正確に特定しようと薄暮中から準備。ところが途中から雲の通過頻度が増し始め、観察開始が少し遅くなりました。

事前に月面N地形の代表点から見た太陽高度を計算し、0.0°から1.0°まで0.1°刻みに撮影を行いました。これは日本時間にして18:11から20:14、約12分から13分の間隔に相当します。程よい高度、しかも南中近くになってくれたのは非常にありがたい。でもシーイングは悪く、時間とともに高度が増しているにも関わらず悪化する一方でした。また何度も雲の通過がありました。

左は19:00の様子。月面N地形代表点から太陽中心を見ると、地上0.4°に見えている計算です。地球から観察するとまだN地形はかなり暗く、この画像のようにくっきり見える訳ではありません。眼視で観るか、電子観望で観るかでも「見える」と判断する閾値が変化するかも知れませんね。画像ではNの字の右側縦棒が少し途切れていることが分かるでしょう。I地形は太陽光を遮る地形がないため、問題なくつながって見えています。

20221103コペルニクスと月面N&I
撮影した2時間ぶん・11シーンを使い、GIF動画にしました。右画像をクリックすると再生します。コペルニクス・クレーター内の影の変化、N地形がつながってゆく様子、N地形東側で起きているRay現象、明暗境界より更に西側の暗闇から山頂の輝きが広がる様子など見どころたくさん。2時間でこんなに変化するのかビックリするでしょう。

概ね最後のコマでN地形が全部つながりますので、当初の予想通り「月面N地形代表点の太陽高度が1.0°で完成する」という条件で予報が立てられることが確認できました。ただ細かいことを気にしなければ2時間前でもほとんどN字に見えましたから、この地形に限り予報の解釈はざっくりで構わないと思います。
20221103_11905月
現代のようにカメラセンサーを介した観察が主流になりつつある環境では輝度や感度を変えることで暗いうちからしっかり見えてしまいますからね。

最後に全体を撮ろうと思っていたけれど、雲が多くなってしまいました。1時間ほど待つと晴れ間が訪れ、ようやく撮影できました(左画像)。撮影時の太陽黄経差は約119.05°、撮影高度は約36.45°、月齢9.06。かなり酷いシーイングだったので細部がぼんやりしています。ともあれ、だいぶ雲に翻弄されたけれど楽しく充実した「十日夜」のひとときでした。

今日の太陽2022/11/04

20221104太陽
昨夜か今朝は薄曇り時々晴れ。朝からは少し持ち直したけれど雲多めです。昼からは昨日同様いくらか強めの風が吹いています。

20221104太陽リム
左は9:30過ぎの太陽。雲間を狙って撮りました。北半球中央のペア黒点は活動領域13135。大きめの黒点だった右上の13131は弱体化してるようですね。左上リム近くに大きな黒点が見え始めました。今後が楽しみです。南半球のフィラメントたちもまだ粘ってますね。