木星のアマルティア群撮影に挑戦2021/10/15

20211014-193500木星衛星配置
木星や土星は数多くの衛星を従えていることで有名です。このうち、木星のガリレオ衛星や土星のタイタン、レアなど、10等以上の明るさ、かつ母星からある程度離れる時期があるものは眼視でも写真でも捉えることができますが、とても暗かったり、母星のすぐ近くを周っているものを見るには困難を極めます。

木星に関しては、以前に「木星の衛星を幾つ写せるかな?」と題して、ガリレオ衛星より外側の第6衛星ヒマリア、第7衛星エララ、第8衛星パシファエに挑戦したことがありました。いずれもそれなりの機材を正確に衛星位置へ向けることができれば、撮影はさほど難しくありません。できるだけ木星から離れている時期(最大離角のころ)、そして木星が衝を迎えるころにチャレンジするほうが無理なく撮影できることは言うまでもありませんが、条件さえ整えば機材の限界等級まで写せると思います。

ところがガリレオ衛星より内側は厄介です。いちばん明るくなる第5衛星アマルティアでも衝のころ14等より少し明るい程度。他に写せそうな第14衛星テーベでも15.5等くらい。でも両星ともに母星から木星視直径前後しか離れませんから、むやみに露出をかけたら木星の輝きに埋もれてしまいます。これらはまぁ、アマチュアではムリだろう…そう思い込んでいました。ところが今年9月、SpaceWeatherのギャラリーにアマルティアとテーベを写した投稿を見つけてびっくり。アマチュアレベルでも工夫すれば撮影可能なのですね。

今年の木星の衝は8月でしたから本体も衛星も暗くなりつつあるのですが、合間を見ては自分の機材でどんな条件なら撮影可能か探っていました。また、正確な衛星位置を描ける使い勝手のよい星図ソフトがあまりありません。毎回JPL-HORIZONSなどで計算するのも面倒なので、自分でプログラムを作り、指定時刻の衛星星図算出(冒頭の星図)や、木星の南中タイミングとアマルティアやテーベの最大離角がだいたい一致する撮影チャンスを計算できるようにしました。星図でオレンジの外側の円は露出オーバーで木星の輝きがアマルティア群をかき消してしまうであろう想定ラインです。

20211014_アマルティア
そうして迎えた昨夕。なんと、木星が南中する30分以内にアマルティアが東方最大離角、テーベが西方最大離角、そしてガリレオ衛星が全て見えているという最高のタイミングでした。心配だった天気もシーイングの悪さを除けば全く問題なし。

時間帯や撮影条件を少しずつ変えながら、1時間に渡って何カットも撮影を繰り返しました。結果、右画像の通りアマルティアが全カットの予想位置にドンピシャで写っていました。でもテーベは全く見あたらず…。元々暗いですから、更に多くの露出が必要だったのかも知れません。はっきり言ってシリウスBよりはるかに難しいです。機会があれば今月いっぱいくらい挑戦してみたいですが、無理そうなら来年の衝の時期に再挑戦ですね。

このあとも一晩中晴れましたので、機材調整がてら大化けしているシュヴァスマン・ヴァハマン第1彗星(29P)を撮影(下A画像)。約2′角の広がりを見せており、深夜なのに「おぉ!!」と声を上げてしまいました。下B画像は同サイズで撮影したカニ星雲。星雲が明るく見える範囲と比べると彗星は長辺に4つほど並ぶ大きさです。どこまで大きくなるでしょうか?

  • 20211015_シュヴァスマン・ヴァハマン第1彗星(29P)

    A.シュヴァスマン・ヴァハマン第1彗星(29P)
  • 20211015_M1

    B.M1(カニ星雲)


今日の太陽2021/10/15

20211015太陽
昨夜から今朝はよく晴れました。気温変動が大きく、宵の18度台から今日明け方の12度台までどんどん下がり、猛烈な結露が生じました。朝から少し雲が出ましたが、その後は概ね晴れています。

20211015太陽リム
左は11時過ぎの太陽。活動領域12882と12885はリムに近くなりました。数日で見えなくなるでしょう。あとに続く領域が出てくるとよいのですが…。左上のプロミネンスがかなり広範囲ですね。他にも所々見えています。

一日の気温差・平年値(つくば市/水戸市)
午後の気温が25度近くまで上がっています。寒暖の差が激しくなりました。これも大事な「季節の変わり目」ですね。当地・茨城県の、つくば市と水戸市のケースで気温差(最高気温平年値-最低気温平年値)のグラフを描いてみました(右図)。10月に入ると気温差が10度を超える日が急に増えてきます。みなさんのところはいかがですか?