並の夜空で写るようになってきた小惑星リュウグウ2020/09/13

20200913小惑星リュウグウ
昨日は明け方まで雨が降り、日中もほぼ曇っていました。でも夜半前には回復して明け方まで数時間安定した星空が続いてくれました。

折角のチャンスなので火星を観察しようかと思いましたが、シーイングが芳しくありません。明け方の凪に期待して火星は後回しとし、ちょうど天頂を通過した小惑星リュウグウ(162173)を狙うことにしました。

前回8月29日の初撮影では絶好の透明度とシーイングに助けられ、私の機材では限界以下の予報光度18.8等で捉えることができました。今朝方は予報光度18.0等に近くなったので「並の快星」でも写るかどうか確認する意味もありました。急激な気温低下(いつもより5度も低くなった)で撮り始めにピントが安定せず苦労しましたが、いざ撮ってみると街の光害地でもはっきりした星像です(左上画像)。全体の露出もひとコマの露光時間も前回より短くて済みました。

移動の向きがだんだん変わり、これから初冬にかけて緩やかに明るくなります。狙えそうな機材をお持ちの方はぜひチャレンジを。なお、撮影終了頃から急に雲が空を覆ってしまい、火星観察はお預けになりました。

台風になるかも知れない熱帯低気圧が発生2020/09/15


20200915-1500熱帯低気圧
本日15:00に「台風になるかも知れない熱帯低気圧が発生」したと気象庁から発表がありました。

左は発生時の気象衛星画像(画像元:RAMMB/画像処理・地図等は筆者)。ナチュラルカラー処理のため、薄水色の雲は活発に上昇した氷粒状態、白やグレイの雲は低層の水粒状態を表します。オレンジ点線円は熱帯低気圧中心の直径1000km円を表しています。

この熱帯低気圧は台風になるならないに関わらず西進する予報のため、いまのところ日本への直接的影響はなさそうですが、ベトナムなど二期作、三期作の稲田や収穫を迎える作物に少なからず影響しそうな農家には痛いですね。どうか被害が少なく、みなさん無事でありますように。

ところで、今回から熱帯低気圧の予報円が変わったことをご存知でしょうか?下A図は直近の台風10号が台風になる6時間前の熱帯低気圧だったときの予報円、B図は今回発表された今日21:00のもの。何が違うか一目瞭然ですね。予報円の予報日数が「1日先→5日先」になったんです。台風になる前でも暴風が予想されれば警戒域の赤円が描かれるようです。

この対応は予報技術が発達したおかげとのことですが、これで早期の防災対策が取れるというもの。ありがたいことです。A図を見ても「日本に接近して史上最大規模の台風になる」ような緊張感は得られないですよね。「ここ、どこなんだ?」程度の印象しか持てないでしょう。

願わくば、「台風になりそうもない熱帯低気圧」や「強い温帯低気圧」もまた同様に発表してほしいと願う今日このごろ。「強い低気圧」に関しては天気図に描かれることはあっても、台風のように特別な発表はされません。冬の台風と呼ばれるポーラーロウなど少なからず被害がありますので、一日でも早い告知と予報を示していただけるほうが助かります。

  • 20200901-1500熱帯低気圧

    A.2020年9月1日15:00の熱帯低気圧
    (6時間後、台風10号になった)
  • 20200915-2100熱帯低気圧予報円

    B.2020年9月15日21:00の熱帯低気圧
    (台風になるかも知れない)


2020年の台風11号が発生2020/09/16


20200916-0300台風11号
昨日発生していた熱帯低気圧が、本日3:00に台風11号「ノウル/NOUL」になったと気象庁から発表がありました。直前の台風10号発生から14日と6時間後、20号消滅から8日後の発生となります。

左は発生時の気象衛星画像(画像元:RAMMB/画像処理・地図等は筆者)。夜間なので赤外波長の白黒画像です。赤点線円は台風中心の直径1000km円を表しています。 西進する予報で日本への直接的影響はなさそうですが、進行方向の国々が心配ですね。被害がありませんように。

わずかな晴れ間に惑星を楽しむ2020/09/16

20200916火星1
早いもので、火星の地球最接近まで残り20日程に迫りました。このところ昼も夜も曇ってばかりで何も見えませんでしたが、昨夜は夜半頃から晴れ間が広がり、1時間くらい星空を拝むことができました。

望遠鏡を向けたのはやはり火星(左画像)。もう十分大きく、そして明るいですね。視直径は約21″。ちょうど大シルチスやヘラス平原が中央を過ぎ、アリンの爪が見えてきたあたりです。9月9日の画像と比べると火星本体は大きくなったのに、南極冠が一段と小さくなりました。北極側の雲も減りましたね。反対側に流れてるのでしょうか?

20200916火星2
約35分後に再度撮ってみました(右画像)。急速に雲が出てきたためキャプチャ枚数は半分程度ですが、自転しているのがはっきり分かります。こんなささやかなことなのに、自分で確認するのは本当に面白いですねぇ…。

遠目に見ると…この向きの模様、PUMAのマークになってるジャンピングキャットに似てませんか?

20200916天王星
ついでと言っては失礼ですが、近くにいる天王星にも望遠鏡を向けてみました。火星から東北東へわずか13°弱望遠鏡を振ると…あったあった、青白くて大きさを帯びた星です。街中なので肉眼では無理でしたが、ファインダーなら余裕で見えました。画像拡大率は火星と一緒です。こちらは視直径が約3.7″、火星の約5.7分の1です。縞模様の1本でも写ったら楽しいのですが、この拡大率と悪シーイングじゃ無理でしょう…。

わずかな晴れ間だったから、ふたつの惑星を見終わる頃にはもう一面雲だらけ。おまけに常に微風がやまず像はユラユラでしたが、「宇宙を見たぞ」という気分になれて最高でした。