無事に衝を過ぎた木星2023/11/04

20231103夜・木星
木星が今期の衝を迎えました。昨夜から今日未明も晴れて、安定した空で巨大惑星を観察することができました。

左画像は3日23:43ごろの撮影。黄経衝から10時間近く経ち、また赤経衝直前の姿です。手前を通過中なのはガニメデ。5時間ほど前にはイオの通過も見られました。なお2022年8月20日記事に書いた通り、2025年5月まではカリストの影は木星本体に投影されません。現在影が見えるのはイオ・エウロパ・ガニメデだけです。

11月2日に撮影したイオ+イオの影の通過と比べると、どちらも衛星と衛星の影がくっつくほど観察者視線に揃っていますが、今回のほうがわずかに影が衛星の左(東)に寄っていることが分かります。つまり地球・木星を結ぶ直線に対して太陽が西から照らすようになったと言うことです。来年2024年5月19日に合を迎えるまで、木星は(地球から見て)西にいる太陽に向かって近づいて行くことになります。これに伴い、南中する時刻も次第に早まります。

今まで木星本体の影も木星の西側が多かったのですが、衝以降は東側が陰ってくることになりますね。また、撮影はほぼ南中時に行ったのですが、太陽の南中からほぼ12時間後でした。このことも衝の時期にみられる特徴です。明るい、大きいといったことだけでなく、衝ならではの特徴を幾つ見つけられるか試してみてください。ともあれ、無事に晴れて衝の木星を観察できたことは大きな収穫でした。衝を迎えることは誕生日のようなものですからね。

【追記】
時間をおいて未明に撮影した月面から2シーン掲載。夕方から結露がすごく、空の透明度も大きく落ちていたため、明け方が近づくほど霧に覆われる可能性があったのですが、ギリギリまで待って高度を稼ぎました。

下A画像は晴れの海やその南側付近。中川昇さんのブログによれば3日23時ごろは欠け際にラモントが見えていたとのことですが、この画像を撮影したのは4日2:20ごろ。ラモントはもう西側のリンクルリッジのみでした。すぐ近くのアラゴーα&βは見やすいですね。アラゴ付近の別のドーム群やバレンタイン・ドーム、マニリウス西にある10個以上のドーム群なども確認できます。谷も多いですね。ヒギヌス、アリアデウス、トリスネッカー、ボスコヴィッチ、ソシゲネス、メネラウス、スルピキウス・ガルス、ハドレー、リッター、ヒパチアなどなど。晴れの海は肝心のスミノルフ尾根が影になりましたが、まだ見えているアサーラ尾根やフォン・コッタ尾根などまだ見えています。

下B画像はまだ影があまり出ていない中央火口列付近。凸凹感が足りませんが、こういうときこそ観る目、探す目を養ったらいいと思います。月面X地形はもう見えてますね。画像左には大きな黒猫ちゃんもこっちを見てます。直線壁が光りだしました。

デービーやミュラーなどのチェーンクレーター(クレーターチェーンまたは連鎖クレーターとも)見つかります。昨日の記事にも出たアブルフェーダーのチェーンはこの画像のもう少し東。プトレマイオスBも既に見えていますね。その下、アルフォンススの暗斑はもう少し経つと目立たなくなるでしょう。画像左下、ピタトスでは来週11月7日明け方にRay現象が見えるかも知れません。隣り合わせのヘシオドスRayは上弦側で、ピタトスRayは下弦側で、それぞれ同じ隙間を太陽が通って起きる珍しいペアのRay現象なのです。

案の定、撮影中に月が見えなくなるほどの霧に覆われたけれど、少し待ったらまた晴れて、トータル1時間ほどお月見ができました。もちろん機材も作業机も服もびしょびしょ。

  • 20231104晴れの海、ユリウス・カエサル、ドランブル

    A.晴れの海付近
  • 20231104中央火口列

    B.中央火口列付近


今日の太陽2023/11/04

20231104太陽
明け方に時々霧に覆われました。当地だけでなく関東各地で霧が発生したようで、朝の衛星画像にも写っていました。朝がきてからも少し霞んでいましたが、ゆっくり回復。ただ、明日から明後日にかけて少し崩れそうな予報のため、昼からは巻雲が全天を覆っています。天気はやや下り坂。気象庁アメダス速報値の本日0時から15時までの集計による夏日地点数は217、真夏日地点数は5。昨日「11月の日最高気温」を更新した地点が304もあったのには呆れました。

20231104太陽リム
左は9:50ごろの太陽。昨日から見えていた左端やや下リム近くの小黒点群付近は活動領域13480と採番されました。そのすぐ南側のリムに立派なプロミネンスが見えます。他にも各方向に出てますね。ダークフィラメントも相変わらずよく伸びています。光球がやや暗く、霞の影響が出ていました。