土星の環の傾斜が回復中2023/10/08

土星の環の傾斜角
土星の環の傾斜が観察年によって少しずつ変化することは、多くの天文ファンの知るところでしょう。大雑把には30年周期で「環の北面側が広く見える」→「真横を向く」→「環の南面側が広く見える」→「真横を向く」を繰り返します。2025年春に「真横を向く」シーズンがやって来るので、現在はかなり平べったくなっています(左図/角度が正の値なら北面側が見える)。

詳しく調べると一様に減ったり増えたりするのではなく、1年(正確には1会合周期)の間にも波があります。例えば今期は6月13日に環の傾斜角が極小になったあと増加に転じ、11月2日には極大を迎えるのです。その差は3.2085°で、アマチュアの望遠鏡で感じ取れるかどうかぎりぎりのレベル。でもあと一ヶ月足らずで回復するのは確かです。もし夏前に撮影していたら比べてみてください。

昨夕はXRISM撮影後に機材を出しておき、久しぶりに土星を観察・撮影してみました(下A画像)。しつこい薄雲がかかってしまい像はあまり良くありませんが、8月末以来の姿を楽しむことができました。環に本体の影がかかるようになり、衝からずいぶん経ったことがうかがえます。仕上がりがこれ以上の大きさなら、3°の傾斜差は十分に感じ取れると思われます。

夜半過ぎには高く登った木星も撮影(下B画像)。このときも少し雲があったけれど、この時期にしては思いのほか好シーイングでした。夏期とは比べるべくも無いけれど、久しく見てなかった細かい模様が確認できて大満足。木星も衝まで一ヶ月を割りましたから、とても大きく感じます。黄経衝の当日・11月3日の23時ごろには大赤斑と共にガニメデ+ガニメデの影が通過、衛星と衛星の影が南北にくっつくように並び、衝であることを感じることができるでしょう。衝前夜・11月2日0時台のイオ+イオの影の通過と比べるのも面白いでしょう。影の位置関係が微妙に異なる理由を考えてみてください。

この勢いで昇ってきた月も観察…と思っていたら、皆曇になってしまいました。

  • 20231007土星

    A.10月7日の土星
  • 20231008木星

    B.10月8日未明の木星


余談

木星の撮影中にとても驚いたことが起こりました。モニター画面を見ていたら、木星が急に暗くなったのです。PC全体が省エネモードで暗くなることはあるのですが、そうではなく木星像だけふっと暗くなり、またすぐ復活しました。雲は全く出ていません。反射的に空を見上げたら、時間を置かずものすごい羽音が通り過ぎました。大量の鳥(たぶん)が低空を飛んでいったのでした。鳴き声は無く、羽音のみなので種類は特定できません。群れで移動していたことから、夜行性のフクロウなどの単独行動ではないでしょう。(フクロウは近くの電柱にとまっていることがあるけれど、基本的に羽音は全く聞こえません。)夜間に高いところを移動する群れなら何百回も観てきたので驚きませんが、人家の屋根すれすれを大群で移動しているケースは初めて見ました。“何か”から逃げていたのでしょうか?謎は深まるばかり…。


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