SLIMはどこを飛んでいる?2023/10/04

SLIM位置図_ver.20231004
小型月着陸実証機「SLIM」が本日に月のそばを通過するとのことですが、JAXAから軌道図の類が発表になってないためどこを飛んでいるのか把握できません。少し前にツイートされた図は大雑把だし、プレスキットに描いてある図とも食い違っていて、最終的にどうすることにしたかも不明です。そこで、現実をもっとも正確に公開しているであろうJPL-HORIZONSに登録されているSLIMの軌道予報に従って計算し、図を描いてみました。

とりあえず9月24日18:00JSTから10月26日0:00JSTまでの計算です。左図で、緑線が月の位置、青線がSLIMの位置、原点が地球中心、X軸右方向が春分点方向です(黄道面への投影図)。※ただし今日以降はスイングバイの結果次第で変わってしまうかも知れませんからご注意。ちょうど9月29日の名月が春分点近くだったので図から天球上の方向が想像できますね。もちろん、SLIMも月もこの図に対して前後方向(黄緯方向)にも変化します。

SLIMはインドのチャンドラヤーン3号のように月へのファーストコンタクトでいきなり月周回軌道にのせるのではなく、いったん遠ざかる軌道に入る予定のようです。今年の年末ごろ再度月に接近し、更に時間をかけてピンポイント着陸を目指すとのこと。地球に近い時期に飛行中の雄姿を撮りたかったのですが、なかなか天気と撮影タイミングが合いませんでした。小さい物体なので撮影できる可能性は低いですが、晩秋の晴れ間に写せるかどうか試してみたいと思います。

間もなく落下予定のALE-12023/10/04

ALE-1の高度変化
人工的に流星を降らせる民間ベンチャーのプロジェクトが打ち上げた実証衛星「ALE-1(NORAD-ID:43938)」が間もなく地球大気にリエントリーするとのこと。ここ数日一部で話題になっています。現状のデータを見る限り一両日内に落下することはほぼ確実のようですが、予想より少し遅れているようです。

左図はここ1年あまりの全TLEを使い自作プログラムで遠地点・近地点高度を計算したもので、横軸は世界時です。縦軸は実際の観測高度ではありませんのでご注意。ここ1週間で大幅に高度が下がったことが窺えます。※本日はTLEが発表されていないので、変化が大き過ぎてもう追跡されていないのかも知れません。今日4日夜現在に確認できた最新TLE-epochは2023-10-03 04:09:14UTで、昨日昼過ぎのもの。各種追跡webサイトやシミュレーションソフトもこれに倣って表示してますので、3日午後以降の表示情報は時間と共に精度が確実に落ちています。TLEはどんどん変わるので鮮度が命。

高度や人工流星物質放出の制御装置があるのかと思っていたら、今回のものはそうではないようですね。自然落下だとどこに落ちるか分かりませんので、例えば新年に合わせて日本の空に流星を降らせると言ったことは次の段階なのでしょう。人工物を大気上層に撒き散らす是非もありますが、願わくば完全制御下で行って欲しいものです。さて、世界のどこかで見えるでしょうか?