強風の明け方に見た月2023/10/06

20231006月面北部
昨夜から今朝にかけて久しぶりに快星となりましたが、昨日午後から強まった風が朝まで残りました。シーイング1/10という最低レベルに加え、風によって望遠鏡が揺さぶられるため、高倍率で木星や月を見てみると視野外に飛び出るくらいの状況です。

こんな日は拡大はやめて、撮るにしても小さくしようと思ったけれど、どんなふうに写り、どう仕上げたら改善するだろうかという興味が湧いて、やってみることに。結果は散々だったものの、その中から比較的細部が見えるものを二枚だけ掲載します。

左画像は月面北部。プラトーのなかの小さなクレーターが全く写らないほど酷かった状況が分かります。壁の一部が光っているエウドクソスの南、ほぼ真っ暗なアレキサンダーの中に、これまで見た中で一番長くて細いRayが差し込んでいました。これを見ることができただけで報われました。150kmオーバーのアルプス谷の半分は伸びているので、少なくとも80km程度の光線なのでしょう。アレキサンダー内部の西側は壁がほとんど侵食され、荒野と化していますが、Rayを受けて一部が光っているようですね。

その他、画像右下ギリギリにバレンタイン・ドームが写っています。ちょうど目立つ月相でした。また左上に見切れている虹の入り江にある小さなXが辛うじて確認できます。もう黒Xになっていました。

20231006月面南部
左画像は月面南部。ヘラクリトス、マギヌス、クラビウス、ロンゴモンタヌス、シラー、そしてバイイなどが写っています。シャイナーの小さなXは黒Xになってますね。面白いことに、ズッキウスの同じ位置にも小さなXが見え、白黒混在Xになっています。またバイエルF・Hの東には明確な白Xが見えていました。小さいけれどバイエルFくらいあるから、20km径といったところでしょうか。東田守生さんの「月世界への招待」観察日記にあるティコのXは白Xとして見えています。探しだすと、このような小さなX字型またはV字型はかなりたくさん見つかるので、時間ができたら系統立てて分析してみようと考えています。

シラー・ズッキウス・ベイスンはまだ凹んで見えません。秤動が南半球優位になってきたので、ギリギリ南極点近くまで辿れますが、ほとんど影になっています。おぉ、ニュートンA・Bの南にも白Xがふたつ見えますね。こんな強風の日でも、いくつもの発見があって面白い。明け方は14度まで冷えましたが、がんばった甲斐がありました。

今日の太陽2023/10/06

20231006太陽
朝から快晴ですが風強し。近くのアメダスポイントでは風速8m/s越えです。

20231006太陽リム
左は10:20前の太陽。活動領域は既存の近くに細かな分家が増え、左リムに追加された13459を含め12ヶ所見えています。南半球のダークフィラメントが目立ちますね。プロミネンスは小さなものばかりですが、北極地方に見えているものが目を引きます。

今夕もXRISMに会えました2023/10/06

20231006_XRISM
本日6日宵にもX線分光撮像衛星「XRISM」の通過が予報されていたため、前日に続いて狙ってみました。一日前より透明度が良く雲もありませんが、5m/sを越える強風が止まりません。前日の経験を踏まえ、口径と焦点距離を落として機材を小さくまとめ、ひとまわり写野を広げ、かつ風による振動の軽減を狙いました。

左画像が本日のXRISM。2秒ごとの露出を比較明合成しました。昨日も写野内にあったやぎ座α星が中央上側に写っています。下の影は隣家との間に生えている樹木の影。設置位置のしがらみで機材移動できませんでした。

一日前に体験したので、今日は余裕を持って取り組むことができました。今回は口径わずか30mmのファインダーみたいな小型機材でしたが、やはり相当明るく写ります。もしかしたら小型双眼鏡でも実視できるかも知れません。次回試してみようと思います。

20231006_H2debris
そうそう、これは前日も体験して焦ったのですが、約1.5分前にほぼ同じルートをH2ロケットのデブリ(NORAD-ID:57802)が通過します(右画像)。知らずに機材設置して撮影モニターを見ていると予想より早くやって来たように勘違いしますのでご注意を。XRISMよりも2等程度暗いので、見慣れてしまえばはっきり区別できるでしょう。

画像の東西南北を合わせることも大切ですね。天球座標に対して写野が回転していると思ったように撮影できない恐れがあります。難しいターゲットではありませんから、何度か体験しながら自己調整してみてください。固定撮影でも写せると思います。