2023年1月のうるう秒挿入はありません2022/07/06

2017年1月1日-2022年6月5日のLOD累積
国際地球回転・基準系事業(INTERNATIONAL EARTH ROTATION AND REFERENCE SYSTEMS SERVICE /IERS)から毎年1月・7月各初旬に発表される報道で「2023年1月1日(前年12月末UT)のうるう秒挿入はない」と発表されました(→IERS News:2022年7月5日UT付けBULLETIN-C64)。これにより、少なくとも次の告知対象日である2023年7月まではUTC-TAI = -37秒が維持されることが確定しました。

左図は2017年のうるう秒挿入直後を原点として、1日ごとのLOD(Length of Day:1日の実測長)差分値を足してゆき(水色線)、正確な時を刻む原子時計に対して自然に基づく時計がどれだけずれているか(緑線)を表したグラフ。(※今朝時点で発表されている最新測定値は今年6月5日まで。)また、LODと24時間=86400秒との差の日々の値(薄青線)、および31日移動平均(赤線)をグラフ化したのが右下図です。

2017年1月1日-2022年6月5日のLOD差分変化
前回の報道を取り上げた記事にも書きましたが、2019年ごろから一日の長さが24時間を下回るようになり、この傾向が今も続いています。ただしこれまでは夏を中心に低下(24時間より短い)、冬を中心に増加という年周期のおおよその傾向が見られたのですが、今年は変化幅が狭くほぼゼロ付近に留まり(つまり実際の1日が正確に24.0時間である)、また夏期になってもほとんど低下していません。

昨年春からは差分マイナスの状態が長期に続くように見えたため、このまま行くと数年先に「初の閏秒削除か!?」とさえ思ったのですが、今年夏までの傾向では回復しているようにも見えます。どうなるのかは正に神のみぞ知るところ。ちなみに1972年からスタートした現在の調整方式期間で、これまで閏秒調整が無かった最長期間は1999年1月1日挿入から2006年1月1日挿入までの7年間。今期もし2023年7月の調整まで無くなったらタイ記録になるでしょう。

1962年1月-2022年6月のLOD差分変化
この一年周期の変化率減少や夏期変化の減少が何由来であるか知る由もありませんが、左図の通り、右上図を1962年まで遡って描くと、これまで一度も無かった現象という訳ではなさそうです。例えば近年では2006年の夏にほとんど低下することなく次の冬に大きく増加しました。何か転換期に差し掛かっているのでしょうか?

結論を出すにはもう数年以上傾向を見てゆかなくてはなりませんし、数十年から1世紀スパンの視点で見れば減少期になってることは確かです。それにしても1秒の1/1000以下の極小世界ながら、日々コツコツとデータを測定蓄積する努力や執念はすごいものですね。

参考:
日出没・暦関連の記事(ブログ内)

2022年で太陽が小さく見える時期です2022/07/06

2022年太陽の大きさ比較
二日前の7月4日に地球が遠日点を通過し、太陽から最も遠くなりました。毎年近日点と遠日点の太陽が観察できたら視直径比べを楽しみにしているのですが、去年も今年も夏の天気が芳しくありません。急に見かけの大きさが変わるわけではないためプラスマイナス二日ほどの猶予は設けるわけですが、それでも梅雨の時期になってしまう遠日点時期の太陽観察は容易ではありません。今年は梅雨が明けているはずなのに今週になって雲が多くて参りました。

前回作った2021年の近日点通過時以来ずっと比較画像を作れずにいたため、今回は無理してでも作りたいと考えておりました。でも今日の太陽も後述のように雲に阻まれきちんと撮れなくて、明日の天気も不安定なようですので、遠日点通過二日前の7月2日画像を使って比較したのが左画像。もちろん同じ機材・同じ画像処理です。当たり前ですが今年もちゃんと小さくなっていました。もっと黒点やプロミネンスが多いと映えるんですけれど。日々同じ機材で太陽観察している方はぜひこの比較をお試しください。

20220706太陽
本日は台風4号から変わった温帯低気圧が千葉県沖にあり、当地・茨城にも太平洋側に纏わり付いてる雨雲が流れ込んで時折小雨が舞う状況でした。ただ午後は少しだけ日が差す時間もあったようです。いちおう機材をセットし撮影に臨みましたが、足早に広がる雲を避けることができず、かなり厚めの雲越しにわずかなフレームしか取得できませんでした。

せっかくなので無理して画像処理し右に掲載します。特にリム側でスタックエラーが目立ちますが、新しく左上に現れた黒点(活動領域13052・13053)や長細いダークフィラメントも写ってくれたので良かったです。