今日のひまわり画像にもベテルギウス写ってますよ2022/05/31

20220531-0040JST気象衛星ひまわり
今日いくつかのメディアで「ベテルギウスの減光について気象衛星ひまわり画像を使って解明」に取り組んだ東京大大学院研究チームの論文が「ネイチャー・アストロノミー」に掲載されたと報じられました。(一時的かも知れませんが、ここに日本語の資料もあるようです。)同時に、なぜか当サイトのアクセス数が増えました。何事かと思って調べたら、以前に気象衛星ひまわりが写した様々な天体を紹介した記事(2016/07/19掲載)へのアクセスのようでした。

ひまわり画像に月が写っているのはひまわり8号が活動を開始した2015年当時から知られており、その後私も月だけでなく天の赤道付近にある明るい星なら見えるはずと思って一通り探し出しています。左画像は本日0:40JSTのひまわり画像に写っていたベテルギウス(※原画のベテルギウスはとても暗く、また色ずれしているため、恒星のみガンマ補正しています。)。現在オリオン座は太陽に前後して沈みますから、ひまわりがベテルギウスを捉えるのは太陽が地球を横切る深夜近く。

月・惑星以外の恒星なら毎日とは言わずともかなり高い確率でひまわり画像に写り込みますが、よもや変光星観測に利用するとは目からウロコでした。宇宙からなら悪天候や大気減光、あるいは太陽に近すぎる時期に観測できないといった心配もなく、安定した観測環境が期待できますね。くじら座のミラも1等台になれば確実に写ると思われます。目的外使用なのでしょうけれど、立派な着眼点。そう言えば太陽観測衛星SOHOのLASCOカメラ(Large Angle and Spectrometric COronagraph)も地上から観測しづらいコロナ放出を捉えることがメインの目的ながら、内合・外合時の内惑星光度変化なども詳しく分かるため、新しい光度算出モデルに役立っていました(国立天文台ニュース参照)。

記憶に新しいところでは、2022年1月15日に起きたトンガ諸島にあるフンガ・ハアパイ火山噴火の際に、気象衛星ひまわり画像からラム波の検出が行われ、噴火に伴う特殊な津波の新たな知見が得られました。元々の目的や分野にとらわれること無く、多様な観測機器から得られたデータを最大限にクロスオーバーさせる活用術。天文に限らず様々な分野でどんどん伸びてほしいですね。