満月過ぎの丸い月&レナード彗星2021/12/20

20211219_18465月
昨夜から今朝にかけてもよく晴れました。前夜に比べ少し透明度が落ちたものの、雲ひとつありません。夜半前から氷点下でしたが、頑張って月を観察しました。

左は日付が変わる直前頃撮影したもので、太陽黄経差は約184.65°、撮影高度は約79.9°、月齢15.30。ほぼ南中していました。満月瞬時から10時間あまり経っています。名月の風習に倣えば「満月瞬時のある日の夜に登った月が広義の満月」ですから、昨夜(19日0:30過ぎ)撮影した月よりこちらのほうが満月と呼ばれるのでしょうが、あくまで文化的な意味での言葉。どちらも狭義の満月(=満月瞬時)ではありません。

19日未明と19日夜半前の月を比べると今回の像が僅かに大きく、欠けている縁も大きく変わっています。肉眼ではほとんど区別が付きませんけれど、画像で比べると秤動も含め違いが分かるでしょう。(左上画像は昨日の画像と縮尺や南北方向を同じにしてあります。)

それにしても高い。高度80°近くの丸い月はなかなか拝めません。望遠鏡のファインダーをのぞきこむのが一苦労なので、地面にできた望遠鏡の影と月の投影像で視野導入しています。太陽などでよく使う方法ですね。

20211219レナード彗星(C/2021 A1)
さて、これも前日同様ですが、昨宵のレナード彗星(C/2021 A1)を観察しました。望遠鏡では西側隣家にすぐ隠れてしまうと分かったので、ジタバタせずにベランダから追尾撮影。この画角で金星と同一写野になるのはこの日がラスト。見苦しくなるため、なるべく電線に邪魔されないようなギリギリの時間にしました。

彗星はかなり暗く感じました。14-15日ごろバーストして2等台になったとの情報を聞きましたが、元々急減光の時期ですから、もう4等中盤かと思われます。薄明で明るいのに短い尾が見えていますね。

懐かしいのは彗星右に見える菱型(凧型?)の4つの星(いて座の「テレベルム」)。1986年3月中下旬に最盛期を過ぎたハレー彗星が明け方に見えてきたころ熱心に観察・撮影した方は、彗星近くにあったこの菱型のアステリズムが頭に焼き付いていらっしゃるのではないでしょうか。

20210116_SOHO-C3
(→例:このページの一番下の画像このページの上から3番目の画像。)幻の星座として取り上げられることすら少ない「スコップ座」だったとの記録もあるようです。2015年7月28日記事・準惑星ケレスの衝の話の中にも登場しています。黄道に比較的近いので、黄道付近を通る太陽系天体はテレベルム近くを結構通っていますよ。左の太陽観測衛星SOHOにも太陽南側にテレベルム(ωSgrのところ)が写っています。太陽は毎年この頃に近くを通ります。

今日の太陽2021/12/20

20211220太陽
午前中に出かける用事が重なり、途中で公園に寄ると「霜時計」ができていました。昨夜は快星でしたが夜半からそこらじゅう霜だらけ。当然公園の芝なども一面の霜に覆われます。ところが日が昇ると日光が当たったところだけ溶けてしまい、結果として植樹の影だけが日時計のごとく真っ白に残るというわけ。これを個人的に「霜時計」と呼んでいるのです。

土がむき出しの部分はこの時期珍しく5、6cmまで伸びた霜柱。日に当たると自己融解と持ち上げた土の重みでどんどん崩れていきます。いつまでも眺めていられる美しい光景でした。

20211220太陽リム
左は11:30過ぎの太陽。透明度は良いのですがシーイング最悪レベルでした。活動領域は昼時点で前日同様7ヶ所。左に出ているいくつかの黒点はなぜ採番されないのでしょうか?

プロミネンスが寂しいけれど、左側にくすぶっている兆候が見えますから期待しましょう。