ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡をとらえる2021/12/31

20211230JWST
クリスマスに打ち上げられたばかりのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡、「James Webb Space Telescope:JWST」は今のところ順調に飛行を続けているようです。現在は日よけシールドの支柱を展開する段階にあり、うまく行ってほしいところ。

このJWSTは最終的に地球からかなり離れた地球のL2位置まで移動してしまうため、ハッブル宇宙望遠鏡のように肉眼で夜空を飛び交う様子は見えません。L2のLは「ラグランジュポイント」のこと。将来に宇宙コロニーなどが建造されるであろう「ペアとなるふたつの天体周囲にある重力的に安定した場所」のことで、ガンダム世代ならおなじみの言葉かもしれません。L2…正確には「太陽・地球」のL2は太陽と反対に150万kmほど離れた地点。(※同じL2でも「地球・月」のL2というのも月の向こう側に存在し、ガンダムの世界線ではア・バオア・クーがあったところです。それぞれのL2は別物なので混同しないようにしましょう。)

どんどん遠くなるJWSTを撮影するなら今だろうと思い、数日間格闘の末、昨夜やっと捉えることができました(左上画像)。予定通りの位置で、およそ16.5等から17.0等の間くらいの明るさでした。(※移動のため実際の光度より1、2等ほど暗いと思われます。)見かけ上はやや速めの小惑星程度で移動していますから、高感度の速写が必要と思われます。予定通りの位置という割には写野の端っこになってしまいましたが、これは位置予報の現在分点の数値をJ2000.0と取り違えて撮影してしまったせいです。基本的なミス…移動天体ではやっちゃいけないミスですね。まだまだ注意が足りません。

JWST位置星図
これから日除けシールド展開をして見かけの面積が大きくなったり、遠くへ移動するため見かけの移動が遅くなる(=露出を伸ばせる)ことで写りやすくなる可能性はあるでしょう。昨夜は雲が多くて6枚程度しか画像取得できませんでしたが、遠くへ離れてしまう前にまたあらためて挑戦しようと思います。

右はステラナビゲーターで描いたJWST位置星図(位置予報はJPL-Horizonsによる/観測地は日本経緯度原点/○印位置は各日0:00JST)。オリオン座からいっかくじゅう座へ移動していますよ。近い天体なので、一日の間に観察者が日周することで東西へ波打ちながら、全体として東へ向かっていますね。案外小型望遠鏡でも17等くらいまで写りますから、みなさんも望遠鏡を向けてみてください。

今日の太陽2021/12/31

20211231太陽
2021年最後の日。曇ってしまった昨夜から小雨を経て朝までに回復しました。午後はまた雲が多くなりましたが、午前の快晴のうちに太陽観察できした。

20211231太陽リム
左は10:15頃の太陽。ぽつんとした黒点がある活動領域12919が中央子午線に達し、現在見える全部の活動領域が右半球になりました。右上リム近くの12921から明るいプロミネンスが出ています。右下12917の下辺りにもプラージュが見えますね。さらにその下にはとてつもなく高く伸びたプロミネンス。大晦日らしく(?)立派にトリを飾ってくれました。

今年は活動領域の増加を感じられる年でしたが、反面大きな黒点やプロミネンスはまだまだ少ないようですね。前期である第24太陽周期がかつてないほど規模が小さかっただけに、去年から立ち上がりつつある25太陽周期はもっと小規模になるのではと心配な面もあります。地球が将来暑くなろうと寒くなろうと、そもそもの太陽が元気でなくては元も子もありません。一惑星など塵に等しい危うい存在ですからね。美しい地球がこれからも続きますように。