明るくなってる超新星SN2020ueと岩本彗星2020/02/01

20200201_SN2020ue in NGC4636
昨夕から今朝にかけて、前夜とは打って変わって透明度の良い星空が広がりました。よく冷えたこともありますが、湿度が低かったことが大きいでしょう。この冬は、暖かさよりも「湿度が高い夜が多かった」ことのほうが気になっていました。

せっかくの透明度なので、明け方の岩本彗星(C/2020 A2)に的を絞り、その前段階として、大増光してると噂の超新星SN2020ue(板垣公一さん発見/NGC4636)を観察することにしました。

いざ撮影してみると左画像のごとく、むちゃくちゃ明るい!撮影コンディションが違いますが、発見直後に撮影した1月14日の画像と比較すれば一目瞭然。周囲の星々と比較すると、少なくとも約2等級ほど増光しているようです。まだしばらくは続くでしょうか。なお(超新星と関係ないですが)この撮影中に大きな地震がありました。当地は震度4で、揺れのためにひとコマ無駄になりましたが、極軸はズレることなく、無調整で撮影続行しても何ともありませんでした。

20200201岩本彗星(C/2020 A2)
明け方早く昇るようになってきた岩本彗星ですが、低空のシーイングはさすがに悪くて星がボテボテです(右画像)。それでも透明度に助けられ、とてもよく写ってくれました。コマの広がりが大きくなりましたね。12等台に入ったでしょうか。

岩本彗星はあと一週間ほどでこと座のベガに大接近しつつ光度の最盛期を迎えます。2月8日明け方にはベガとの離角が満月直径未満になり、撮影はゴーストが出まくって苦労しそう…。探すのは楽ですけどね。

夜明けの空はもうさそり座や夏の大三角がしっかり見えています。

今日の太陽2020/02/01

20200201太陽
2月が始まりました。朝からよく晴れています。明け方から風が吹き始めていましたが、日が高くなるとかなり強くなりました。風速5m/sから6m/sといったところ。

20200201太陽リム
左は11時過ぎの太陽。活動領域12757が右リム近くにまだ明るく見えています。久しぶりの黒点付きだったもので、去りゆく姿がなんだか名残惜しい…。南半球の磁気乱れ部分がちょうど中央子午線に達しました。右下リムのプロミネンスが高く吹き出していました。この他、右リム沿いの何ヶ所かに結構背の高いプロミネンスが見えています。

冬らしい晴天でスタートした2月ですが、あと三日で立春を迎えます。

美しい月面X&LOVEが楽しめました2020/02/02

20200201月面Xと月面LOVE
2月最初の宵は上弦少し前の月夜でした。冴え渡った夜空に輝く月の表面には月面Xや月面LOVEの文字が浮かび上がり、最高の観察日和。晴れた地方の方々はお月様を楽しむことができたでしょうか?

月面Xが見頃を迎えたのは20:20頃。そして月面LOVEの四文字が出そろったのも正に同じ時刻。高度も十分高く、今年夜間に見える月面Xとして最高の条件だったのです。こんなこと滅多に起きません。

左に20:20ごろ撮影した月の画像を大サイズで用意しました。シーイングはあまり良くありませんでしたが、たくさんスタックしてなんとか鑑賞に堪えられるよう調整しました。色調はミネラルカラーです。月面散歩をしながら、地質の微妙な色の違いをお楽しみください。

欠け際なので暗いですが、Xはもちろん、LOVEの四文字もクリアに出そろっています。ついでに、月面グーも見えていますよ。ノーヒントで探してみてくださいね。

愛知の山本稔さんが新星候補天体を発見2020/02/02

20200202_PNV J17561375-2942546
星仲間の(の)さんからの情報で、愛知県の山本稔さんが1月31日明け方、いて座に11.5等級の新星候補天体を発見したとのこと。「いて座!?」と耳を疑いました。いて座と言ったら、ほんの1月前に太陽がいたところです。まだ太陽に近すぎるのでは…?そう思って位置を調べたところ、案の定天文薄明開始時でも高度10°に届きません。しかも天の川の中…。そんな位置に11等発見とは恐れ入りました。

撮影したいけれど自宅庭では全く見えない低さですから、機材を抱えて徒歩で見晴らし良い所へ。200mm程度のレンズを精度良くガイド撮影しなくては低空の微光星など写りません。荷物はそれなりの重さになり、障害を持つ身にとって苦労の連続でした。

それはともかく、天文薄明開始前になんとかセッティングを終えました。M8(干潟星雲)からたどれる位置のため、M8をフレームインして撮影。ところが薄明開始後もしばらくは新星候補天体が遠方の林に邪魔される位置。やっぱり低すぎてダメなのか…。不安を抱えつつも撮影を続け、次第に明るくなる空との追いかけっこです。どうにか撮影できたのが左画像。暗いけれどしっかり写ってくれました。

左サイドから下サイドにかけて広範囲の黄色いモヤモヤが天の川(銀河中心部付近→2019年4月16日記事参照)。画像上方向が天の北方向なので、左下側が地面側です。ズーム画像を貼って誤魔化してますが、地面側に林の影が写ってます。低空の微光星は上空より気象条件の影響を大きく受けます。今朝は透明度が良くて助かりましたが、発見した山本さんもこうした低空ならではの苦労を味わいながらの発見だったのだろうと思うと頭が下がります。山本さんは去年8月17日に発見されたさそり座新星(V1707 Sco)の際、5名の日本人独立発見者のお一人でもありますね。この新星もかなり低かった…。

昨夜から今朝にかけては安定した晴れ間でした。宵の月撮影後から上記の明け方撮影までたっぷり時間があったので、夜半ごろからNGC3463とNGC5371の超新星候補天体(板垣さん発見)を再撮影。1月31日の撮影は雲が多すぎて不完全燃焼でしたが、今回はしっかり露出できました(下A・B画像)。双方の超新星候補天体ともはっきり輝いていました。

  • 20200202_AT2020bij in NGC3463

    A.AT2020bij in NGC3463
  • 20200202_AT2020bio in NGC5371

    B.AT2020bio in NGC5371