天宮1号よ、どこへ行った?2017/12/30

  • 20171230明け方・国際宇宙ステーションのパス

    国際宇宙ステーションのパス
  • 20171230明け方・天宮1号のパス

    天宮1号のパス

30日明け方に金井宇宙飛行士が搭乗中の国際宇宙ステーションと、もうすぐ落下すると噂のある天宮1号の同時通過が予想されていました。上は予報サイトHeavens Aboveに掲載されていた星図。時間までピッタリですね。こんな瞬間を待っていた!

20171230明け方の空
カメラを抱えて近所を歩き、両方のパスが見えそうな場所を探し出しました。定刻少し前から撮影開始。そうして撮影したのが左画像です。ところが画像でも目視観察でも、国際宇宙ステーションは予想通りクッキリ見えたのに、天宮1号は全く見えません。予報光度は最大時2.5等ですから、仮に撮影できなくても肉眼では問題なく捉えられたはずなのですが…。画像では中央下の明るい星(ベガ)の上のあたりから右下へ向かうはずでした。

これはどうしたことでしょう?既に落下したと言うことはないですから、予想よりはるかに暗かったか、タイミングが違っていたか…。多少ずれることを予想して前後数分は見ていましたが、見えませんでした。実はここ数日毎日観察していたのですが、やはり見えませんでした。予報光度が暗かったのでそのせいかなと思っていましたが今朝は違います。2等星台で見えないと言うことはあり得ません。いったい何があった???

20171230天宮1号高度
現在の天宮1号高度は右図の通りです。確実に下がりましたね。国際宇宙ステーションをはじめ各国の衛星はNORAD(North American Aerospace Defense Command/北アメリカ航空宇宙防衛司令部)が監視して軌道要素などを算出しています。例の、毎年クリスマスにサンタクロースを追跡している、あの国家組織です。発表される軌道要素を私たちは各種予報サイトを通じて閲覧し、観察に利用します。でも制御不能な衛星やスペースデブリは、軌道が分かっても姿勢が分かりません。

例えば大きな太陽光パネルを持った人工衛星は姿勢が違うだけで見える明るさがかなり変化します。天宮1号は完全に制御不能と聞いていますので、憶測ですがそんな状態であるとも考えられます。光度予報は当てにならないのかも知れません。もうしばらく観察が必要ですね。

月没から人工衛星観察の前まで、月明かりが無い時間を利用してハインズ彗星(C/2017 T1)と紫金山彗星(62P)を観察しました(下画像)。B画像を見るとハインズ彗星の尾は画像短辺の半分ほど伸びていることが分かります。年末に来てこのすごい成長っぷり!でも明日からしばらく満月期となって月明かりに邪魔されてしまいます。

  • 20171230ハインズ彗星(C/2017 T1)

    A.ハインズ彗星(C/2017 T1)
  • 20171230ハインズ彗星(C/2017 T1)

    B.左画像の白黒反転
  • 20171230紫金山彗星(62P)

    C.紫金山彗星(62P)


参考:
2018年春に落下予想の「天宮1号」に関する記事(ブログ内)
ハインズ彗星(C/2017 T1)に関係する記事(ブログ内)

今日の太陽2017/12/30

20171230太陽
年末年始のお天気が悪いと言うことで今日は雲が増えるかなと思っていたのですが、朝から晩までほぼ快晴でした。日中は風が強く、昼は7m/s前後に達しました。

20171230太陽リム
左は11:30頃の太陽。今日もすこぶる気流が悪いです。左に見えてきた明るい領域にはまだ番号が付いていません。黒点もなさそうです。プロミネンスもほとんど無くなってしまいました。年末の大掃除!?