今日の太陽2014/11/24

20141124太陽
午前中、雨でも降るかと思うくらい雲が厚くなって、太陽も諦めていましたが、午後遅く、気付けば青空が見えているではありませんか。薄雲がかかって、しかも高度が下がっていましたが、15時前に太陽を眺めてみました。相変わらずの黒点たち。そしてプロミネンスもおとなしく、昨日の「芽」のようなのも残っていませんでした。明日は完全に曇天から雨天へと変わりそうです。

グレージング見えたよ☆2014年11月10日編2014/11/24

20141110グレージング・撮影範囲
以前に予報をお伝えしましたが、11月10日真夜中、日付が11日になった直後に見られたグレージング(接食)について、つくば星の会の星空探検隊メンバーが観測をしました。少し経ってしまいましたが、一部のデータ解析が本日終わったので、一部始終をお見せしましょう。なおつくば星の会では趣味レベルで楽しんでいますので、科学的に充分な精度じゃないよ、ということを最初にお断りしておきます。

近年はビデオが小型になったり、通常のスチルカメラでHD動画が撮れますので、私たち星仲間も利用しています。グレージングという現象は「一瞬だけ何かが見える」というタイプではありませんから、それなりに捕らえるには数分間に渡って月と星の一部始終を時刻と共に記録する必要があります。今回メンバーは茨城県の筑波山北東に陣を構え、ゼロライン付近3箇所に分かれて観測しました。ここで紹介するのはもっともゼロライン近くで観測した星仲間Ozさんの記録です。

20141110グレージング・直前直後
Ozさんの動画記録を拝見すると、苦労の跡がうかがえます。今回は月齢17.7(現象時)で、明るい縁ギリギリに6.6等星の暗い恒星が隠されました。6.6等の星だけならビデオで写せますが、明るい月が至近にあるなら話は別。月光をある程度絞らないと星が光につぶされますし、絞ると暗い星が写りません。この微妙なバランス設定が至難の業なんです。

右は上の画像の緑枠範囲を写した実際の動画を等倍トリミングしたものです。現象予想時刻の2分前と2分後ですが、現象直前のほうは恒星がとても見づらいですよね。動画だとゆらゆらしてもっと分かりません。明暗の境界近くにポツンと光る誤解しやすい地形があることもありますから神経を使います。

このような動画から、恒星が消えたり現れたりする瞬間を見つけていくわけです。一般にPCやカメラの動画フォーマットは1秒につき30枚の静止画(フレームと言います)で構成されます。コマ送りでフレーム単位で動画をチェックするのもまた一苦労。

20141110グレージング・フレーム
Ozさんの動画からは3回の潜入(星が隠されること)と3回の出現(星が現れること)が見つかりました。最初の潜入の様子を1フレーム毎に取り出して、7フレーム並べたものが左画像です。トリミングしてありますが、見やすいようにコントラストを上げて、3倍に拡大しました。いちばん左の緑マーカーのところ、ちょっと横に伸びた光が恒星像。左から右へ進行するなかで、真ん中のフレームではかなり減光し、一番右では消えていますね。(この後しばらく消えっぱなしでした。)減光は一様ではなく、大気の揺らぎの影響を受けて見づらいことがあります。

20141110月縁図
こんなふうに見つけた何度かの現象について、今度は同時に録音された時刻音声から発生時刻を正確に算出します。それをさらに、観測位置情報と合わせて図面にプロットしたのが右の図の水色の線です(水色部分が「恒星が見えてるよ」という状態)。

黄色の線で描かれたギザギザは、予め予想された月の山や谷。この山によって星が隠されて水色線が途切れるわけですが、たいてい予想とは違う結果が出てきます。集計の誤差や画質が悪くて見間違ったとか様々ですが、中には本当にもっと山が高いんじゃないか、谷が深いかも知れない、新たな地形を見いだしたなど、「事実」が隠されているかも知れません。そこが観測の醍醐味なのですね。

たくさんの観測をそろえれば月の山々が鮮明に浮かびます。でも、「この観測の科学的な意味は…」なんて考える前に、一生かかっても行けない遠い月世界の山影が一般市民の私たちに描けるなんて、素敵だと思いませんか。