再びラングレヌスのケモ耳に逢う2023/12/30

20231230四大火口列
今夜から大晦日夜まで天気が崩れるらしいので、昨夜は撮り収めになるかも知れないと思いつつ日課のお月見をしました。隣家から顔を出したころはボケボケのシーイングでしたが、夜半過ぎにかけてかなり安定しました。こりゃ、一晩中見ていたいと思った途端、雲の襲来…。

左画像は撮影した中の一枚、南東部の火口列付近です。あまりにも格好が良く、美しさもあり、しばし見とれてしまいました。四大火口列とは言いますが、噴火口らしくないものもあるし、隙間を埋めるようにそこそこ大きいクレーターも並んでいます。ペタヴィウスのすぐ南、ハセの縁がまるで皆既日食のベイリービーズのように微小な点線状に光っていて面白い。スネリウス谷は半分ほど影に沈みました。スネリウスの中ってこんなに複雑なんですね。左下にレイタ谷が少しだけ写ってます。

さて、2023年11月30日記事に書いたラングレヌスの「ケモ耳」から一朔望月経ち、今回も見ごろでした。前回はネコ耳→キツネ耳に変わったあたりで建物に隠れてしまいましたが、今回は月の出時にもうキツネ耳の状態で、その後の変化を楽しむことができました。

20231230シオリ・クレーター位置
三つの時間に撮影したので下A・B・C画像として示します(この三枚のみ左が北方向)。A画像は撮影高度22°弱の画像で、大気の揺らぎが激しくぼけぼけでした。各キャプション後ろの括弧書き数値は撮影時のラングレヌスから見た太陽高度です。

B画像ではウサギ並に耳が長くなり、「そうそう、これを見たかったんだよ!」と一人でにやけてしまいました。もっと太陽が低くなったらどうだろうと日付が変わってから見てみるとC画像の通り耳の影がクレーター壁を登り始めていました。クレーター底の大部分は暗くなってしまい、あまりケモ耳らしくないですね。2.5°あたりが限界だろうと思われます。お隣のフェンデリヌスの影もなかなか興味深いものでした。

いつでにひと晩前にも撮影したシオリも撮ってみました(右画像)。影が若干濃くなりだして、地形の凹凸が感じられます。フィルターを変更したり、撮影フレーム数や処理の仕方を変えたこともありますが、やはりシーイングが良いと写りが全く変わりますね。連続して観察を続けたいところですが、年末年始の天気が不安定なので難しそう。シオリを有するキリルス・クレーターは1月2日の明け方ごろ明暗境界に達します。

  • 20231229_2034ラングレヌスのケモ耳

    A.29日20:34ごろ(3.891°)
  • 20231229_2203ラングレヌスのケモ耳

    B.29日22:03ごろ(3.145°)
  • 20231230_0016ラングレヌスのケモ耳

    C.30日0:16ごろ(1.811°)


その他の地域から2枚追加掲載。下D画像はラングレヌスから危難の海にかけて。豊かの海や危難の海に広がるリッジが見ごろです。タルンティウス連鎖クレーターも見えますね。コーシー断崖とコーシー谷も目立ち始めました。ガードナー・メガドーム東で丸い形を見せるマラルディDはサテライトクレーターなのに本家のマラルディ(直径40km弱)の1.5倍以上もあります。

下E画像はジャンセン付近。月齢が進み、やっと見えてきました。上辺中央近くにはピッコロミニ。北西に延びるアルタイ断崖にもわずかに影が出てきました。このエリアで一番面白いと感じたのは左下のブサンゴ。二重クレーターなので影のでき方も独特です。その右に縁だけ見えるのはヘルムホルツ。物理学、生理学など多岐に渡り活躍した学者ですね。空や宇宙関連では雲の模様に見られる「ケルビン・ヘルムホルツ不安定性」として名を残しています。木星の複雑な模様にも現れます。

  • 20231230危難の海、豊かの海、静かの海

    D.危難の海・豊かの海付近
  • 20231230ジャンセン、ピッコロミニ、ブサンゴ

    E.ジャンセン付近


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