今年最後を飾る月面X&LOVE2022/12/31

20221230月面X&LOVE
昨夕は少し雲が湧いたもののお月見に影響は無く、(30時間ほど早いけれど)今年のトリを締めるにふさわしい月面X&LOVEが見事な姿を現してくれました。

暗くなりたての18時台はまだ各地形とも十分に光が当たっておらず、位置や存在は分かるものの文字地形の完成には至りませんでした。左画像は18:36から概ね50分前後おきに3回撮影し、欠け際を並べたもの。月の南北を上下方向に揃えてあります。出現して行く様子を比べてみてください。秤動の変化や月の視直径変化まで気がついたら月面マイスターになれますよ。

20時過ぎにはX・L・O・E各地形に光が当たり、残るV地形も21時前にはつながりました。今回は月から見た太陽方向が赤道より1.5°ほど南寄りから照らしたため、南側の文字地形ほど早く完成、最も北寄りのV地形が殿になりました。

もう一週間早かったら「Xmas with LOVE」になったんですが、これも時の運ですね。見えただけでも幸せです。

20221230月面X&LOVE
右画像は左上画像の最後、20:19の全体像。シーイングは常に悪い状態で、酔ってしまいそうでした。もっとも各文字地形はとても小さいため、大気が落ち着いていても双眼鏡ですら見えないレベル。まだご覧になってない方は望遠鏡を持っている人に頼んで見せてもらいましょう。大晦日夕方もXやVは存在が分かると思います。

なお2022年5月11日記事に書いたスミス海奥の「ヒラヤマ・クレーター」の検出も試みたのですが、シーイングが悪すぎて確認できませんでした。周囲の様子からヒラヤマとそのサテライトクレーターが見えているはずだと分かるのですが、縁ギリギリのため抜群のシーイングでないと難しいかも知れません。31日から新年1日まで好機なので、晴れたら確認してみましょう。

来年は3月29日(あ、私の誕生日だ^_^/)や5月27日の夕方など、月面X&LOVEが見えるチャンスが続きます。出そろうタイミングなどはそれぞれ異なりますから、ぜひ比べてみてください(→アーカイブ「月面文字地形の観察」参照)。来年もよい年になりますように。

小惑星2001CC21の再撮影2022/12/31

20221231_小惑星2001CC21(98943)
2022年晦日の夜もよく晴れました。21時ごろまで月の観察をしたのでいったん睡眠をとり、未明に起き出して小惑星をひとつ撮影しました。十日前にも撮影した小惑星2001CC21(98943)です。はやぶさ2#の次なる目的地ですね。

明るさが17等前半に入ってきたためカメラを向けようと思ったのですが、いざ仕上げると小惑星がいない!?よくよく確認したら、明るい恒星のすぐそばに隠れていました。重ならなくて本当に良かった…。事前に確認はするけれど、星図に載らないような暗い恒星に重なってしまうこともあるため、完全な予測は不可能です。光度のピークは2023年2月頭ですので、もう何回か望遠鏡を向けてみようと思います。

報道によれば、はやぶさ2のイオンエンジンが想定より早く劣化しているとのこと。今後の探査に影響するので、フライバイを予定している小惑星2001CC21までたどり着けるのか、別の探査コースを行くのか、まだはっきりしません。いずれにしてもまだ先のお話で、予定通りなら2026年7月ごろこの小惑星に着くはずです。なお2001CC21はあくまで中間地点、最終目標は小惑星1998KY26への到着と探査(2031年7月ごろ)です。

今日の太陽2022/12/31

20221231太陽
朝まで晴れていたのに日が高くなると雲が多くなるいつものパターン。それでも2、3割は晴れ間が合ったので14時ごろまで粘りましたが太陽を観察できるほどの空間は訪れず。いったん諦めていました。年末の用事などを片づけつつ天気を気にしていたところ、15時前になって快晴になっているのに気がつきました。いつの間に激変!?

20221231太陽リム
左は15:10過ぎの撮影。もう太陽高度は十数度で、リムが楕円になっています。左上リム近くの黒点が立派になっており、活動領域13180と採番されていました。大規模なプラージュが確認できます。北半球優勢ですね。北極側の高緯度プロミネンスも凄いことになってます。

これで今年の太陽はおしまい。でも、明日も晴れたら途切れなく観察は続きます。

2022年の観察納め2022/12/31

20221231_10645月
一日雲が多かった大晦日でしたが、夕方からはよく晴れました。シーイングは悪いものの宵の月が空高く見えていましたので、今年の撮り納め、観察納めとして眺めてみました。

左は19時前の撮影で、太陽黄経差は約106.45°、撮影高度は約62.14°、月齢は7.98。すっかり明るくなったけれど、一晩前に姿を現した月面X&LOVEの各地形が辿れます。アペニン山脈の凸凹が素晴らしく立体的に見えました。左画像では少し見づらいけれど、直線壁もちょうど朝を迎えてはっきり見えました。もう少し早いタイミングだったらマギヌス・クレーターのRay現象が見えたことでしょう。

12月30日から明日1月1日まで、ヒラヤマ・クレーターが地球側にかなり顔を見せている予報なので、詳しく調べてみました。このため今回の撮影はいつもより少し大きな望遠鏡を使っています。スミス海付近を丹念に見てゆくと、リムぎりぎりのところにわずかな陰りがあり、位置や大きさを照合すると間違いなくヒラヤマ・クレーターでした。大気の揺らぎが大きいため付近のサテライトクレーターまでは解像せず、よく分かりません。でも下A画像に書いたヒラヤマの位置にぎゅっと詰まっているはずです。同じ日本人の名を持つナオノブ・クレーターも一緒に見えましたので下A画像に入れてあります。

前後しますが2時間ほど前には夕空で離れつつある金星と水星も観察(下B画像)。もう水星は双眼鏡ですら難しくなってしまいました。7日後に内合を迎えますから仕方ありませんね。と言うことで、宵空の天体観察が2022年の見納めとなりました。

  • 20221231_ヒラヤマ/ナオノブ

    A.ヒラヤマ/ナオノブ
  • 20221231水星と金星の接近

    B.水星と金星の接近