オリオン宇宙船検出、三夜目 ― 2022/12/11
昨宵はアルテミス1計画・オリオン宇宙船が地球帰還する前の、我が家から見えるラストチャンスでした。今日11日宵にも南の空で高度30°以上にいるので見えることは見えますが、(我が家からは)障害物が多い上に10日の6倍以上の高速移動、そしてなにより天気が下り坂。見えたらもうけものの位置づけで期待しないことにして、10日宵をラストチャンスと考えたわけです。
日没後空を見ると雲ひとつない快晴。テンション高めで機材をセットし、外気に慣らしておきました。暗くなったころを見計らって微調整するため再度屋外へ出たら、なんと雲だらけ!ここまでの二日間と比べ物にならない分厚い雲が足早に南からせり上がってくるのです。急いでわずかに残る北天で極軸を合わせ、広い雲間がやってくることに賭けるしかありませんでした。
それから2時間近く天気と格闘しながら撮影を決行したけれど、結局20分以上まとまった雲間はありませんでした。宇宙船は高速で移動しますから露出時間内に移動する量をあらかじめ見込んでフレーミングしなくてはいけないのに、雲間がランダム過ぎて移動量が定められず中途半端なフレームばかり量産することに。それでも宇宙船がモニター画面ではっきり分かる明るさだったのが幸いし、小刻みにずらしつつ様々な撮影条件を試すことができました。
比較的まともに仕上がった二枚を掲載しておきます。左上は18:56ごろから15秒露出×41コマ、右は19:20ごろから10秒露出×48コマ。どちらも頻繁に雲がかかり、特に左上画像は恒星像が途中で何度も減光してますね。右画像は極端な減光無しでいちばんきめ細かく撮影できたのに、フレーミングに失敗してます。20時以降は完全に曇りましたが、まぁ何にしても完全アウトなお天気じゃなくて良かった。苦労や失敗も含めて良い思い出になりました。
なおオリオン宇宙船は今夜11日夜中に地球の南半球側を通って、明日12日2:39JSTごろ北米西海岸・グアダルーペ島(カルマン渦列でおなじみ)近くの太平洋へ着水予定とのことです。左図はオリオン宇宙船の直下点が地球のどこかを計算して描いた地図。12月10日0:00JSTから12日2:20JSTまでのデータがオレンジ線で描いてあります。南極点が原点、地図上方向が本初子午線(グリニッジ方向)、表記日時はJST、日本は右下に見えています。
日本時間で11日宵まではくじら座やエリダヌス座の方向から宇宙船が“落ちて”くるのですから、「指定時刻にくじら座やエリダヌス座が真上に見える」位置をつなげればオレンジ線になるわけですね。10日から二日間は日周に応じて二回りしながらゆっくり南下、最後の6時間はオーストラリア上空から南極上空を経てカリフォルニア沖へ向かう様子が分かるでしょう。
【付記】
12月8日撮影、12月9日撮影、そして今回の12月10日撮影の三日間について、どのあたりだったか星図に示します(下A図)。くじら座頭部の五角形付近で、いずれも18-19時台に撮影観察を行いました。測心位置は観察者の自転の影響が東西に揺れる位置ずれの波になって現れ、対象天体が東から登って西へ沈むまで、星図上では東から西へ向かう動きになります。各日18:00から0:00の位置が全て右下がりなのはこのためです。(※もちろん宇宙船の移動も加算されますが、宇宙船が蛇行している訳ではありませんのでご注意。)また三日間の画像を見ると、だんだん南下速度が加速していることも分かるでしょう。昨夜二時間足らずの撮影だけでもかなり加速しました。
本日11日夜に観察したい方がいらっしゃるかも知れないので、星図を作っておきました(下B図)。ただし茨城県つくば市基点の測心位置のため、他地域では若干のずれが出ます。fl=300mm以下程度のレンズなら問題ないでしょう。電子観望機材なら高速移動天体がすぐ見つかると思います。2°四方程度の視野、14等程度の検出能力で充分です。晴れたらぜひ探してみてください。(※位置データ:JPL-HORIZONS_ORION_rev2022.12.10/星図表示:ステラナビゲーター使用。)
日没後空を見ると雲ひとつない快晴。テンション高めで機材をセットし、外気に慣らしておきました。暗くなったころを見計らって微調整するため再度屋外へ出たら、なんと雲だらけ!ここまでの二日間と比べ物にならない分厚い雲が足早に南からせり上がってくるのです。急いでわずかに残る北天で極軸を合わせ、広い雲間がやってくることに賭けるしかありませんでした。
それから2時間近く天気と格闘しながら撮影を決行したけれど、結局20分以上まとまった雲間はありませんでした。宇宙船は高速で移動しますから露出時間内に移動する量をあらかじめ見込んでフレーミングしなくてはいけないのに、雲間がランダム過ぎて移動量が定められず中途半端なフレームばかり量産することに。それでも宇宙船がモニター画面ではっきり分かる明るさだったのが幸いし、小刻みにずらしつつ様々な撮影条件を試すことができました。
比較的まともに仕上がった二枚を掲載しておきます。左上は18:56ごろから15秒露出×41コマ、右は19:20ごろから10秒露出×48コマ。どちらも頻繁に雲がかかり、特に左上画像は恒星像が途中で何度も減光してますね。右画像は極端な減光無しでいちばんきめ細かく撮影できたのに、フレーミングに失敗してます。20時以降は完全に曇りましたが、まぁ何にしても完全アウトなお天気じゃなくて良かった。苦労や失敗も含めて良い思い出になりました。
なおオリオン宇宙船は今夜11日夜中に地球の南半球側を通って、明日12日2:39JSTごろ北米西海岸・グアダルーペ島(カルマン渦列でおなじみ)近くの太平洋へ着水予定とのことです。左図はオリオン宇宙船の直下点が地球のどこかを計算して描いた地図。12月10日0:00JSTから12日2:20JSTまでのデータがオレンジ線で描いてあります。南極点が原点、地図上方向が本初子午線(グリニッジ方向)、表記日時はJST、日本は右下に見えています。
日本時間で11日宵まではくじら座やエリダヌス座の方向から宇宙船が“落ちて”くるのですから、「指定時刻にくじら座やエリダヌス座が真上に見える」位置をつなげればオレンジ線になるわけですね。10日から二日間は日周に応じて二回りしながらゆっくり南下、最後の6時間はオーストラリア上空から南極上空を経てカリフォルニア沖へ向かう様子が分かるでしょう。
【付記】
12月8日撮影、12月9日撮影、そして今回の12月10日撮影の三日間について、どのあたりだったか星図に示します(下A図)。くじら座頭部の五角形付近で、いずれも18-19時台に撮影観察を行いました。測心位置は観察者の自転の影響が東西に揺れる位置ずれの波になって現れ、対象天体が東から登って西へ沈むまで、星図上では東から西へ向かう動きになります。各日18:00から0:00の位置が全て右下がりなのはこのためです。(※もちろん宇宙船の移動も加算されますが、宇宙船が蛇行している訳ではありませんのでご注意。)また三日間の画像を見ると、だんだん南下速度が加速していることも分かるでしょう。昨夜二時間足らずの撮影だけでもかなり加速しました。
本日11日夜に観察したい方がいらっしゃるかも知れないので、星図を作っておきました(下B図)。ただし茨城県つくば市基点の測心位置のため、他地域では若干のずれが出ます。fl=300mm以下程度のレンズなら問題ないでしょう。電子観望機材なら高速移動天体がすぐ見つかると思います。2°四方程度の視野、14等程度の検出能力で充分です。晴れたらぜひ探してみてください。(※位置データ:JPL-HORIZONS_ORION_rev2022.12.10/星図表示:ステラナビゲーター使用。)