お家に帰るまでが遠足です2018/06/27

20180627金星と水星
今年3月上旬に夕空で接近現象を楽しませてくれた金星と水星。その後水星は4月2日の内合、6月6日の外合を経て、ふたたび夕空に戻ってきました。今期は金星とあまり接近しないまま内合を迎えますが、見えている方角は一緒ですから、現在は両惑星をいっぺんに観察できるチャンスです。

今夕は日中の強風がおさまらず立っているだけでもフラフラしますが、夕方辛うじて雲間が残っています。暗くなると水星も沈んでしまうため、明るい内から悪戦苦闘。なんとかカメラに収めることができました(左画像)。肉眼でも水星は見えましたが、横に並んでいるはずのふたご座のポルックスとカストルは見えませんでした。(画像では確認できます。)

ところで、本日ついに探査機はやぶさ2が小惑星リュウグウに20kmまで接近し、「到着」という表現が使われることとなりました。6月15日の記事に書いた通り、リュウグウがある方角もこの夕空です。実は到着記念としてこのアングルを狙っていたわけでした。もちろんリュウグウやはやぶさが写るわけではありませんが、節目の記念として。どこに何があるかは下のマーカー付きA画像やステラナビゲーターによるB図をご覧ください。

到着したことは誠におめでたいことですが、はやぶさ2プロジェクト全体としては本番の入口に立ったに過ぎません。軌道を安定させつつ様々な観測をし、その結果を持ち帰るという大仕事が待っています。どうか地球帰還まで無事でありますように。

  • 20180627金星と水星

  • 20180627金星と水星



夕空と、はやぶさ22018/06/15

20180616宵の西空
明日6月16日土曜日、少し暗くなってきた宵空には眩しい金星と三日月とが縦に並び、美しい光景を堪能できるでしょう。金星と月との離角は約3.3°。すぐ側にはプレセペ星団もあって、視野の広い小型双眼鏡なら三天体がいっぺんに探せるはず。因みに20日には金星がプレセペ星団の中に入ってしまうほど接近しますのでお見逃しなく。

また金星と横並びでふたご座のポルックスとカストルも見えるでしょう。このふたつは日本で「金星銀星(きんぼし、ぎんぼし)」とも呼ばれてますから、「実のところ金星とポルックスとどちらがより金色なのかな?」という比較ができる絶好の機会ですね。

とは言え、全国的に天気の悪い日が続いています。少なくとも関東では絶望的…。

さて、この天体ショーも素敵なのですが、本記事の主題は別にあります。それは「探査機はやぶさ2がこの空の方向にいるんだよ」ってことなんです。いよいよ今月末ごろ小惑星リュウグウに到着予定のはやぶさ2。地球から見れば小惑星と探査機の位置差はほぼゼロなので、右下にステラナビゲーターによる小惑星リュウグウの位置=はやぶさ2の位置を示しました。(※Gemというのはふたご座の略称:Gem=Gemini。)視点設定は当ブログ基点の茨城県つくば市ですが、日本のどこから見てもほとんど差はないでしょう。

201806はやぶさ2の位置
この6月中、リュウグウはふたご座をゆっくり横切っていたのです。この星図には太陽・月・惑星は描いていませんが、冒頭の天体ショーで出てきたポルックスとカストルがありますね。つまりふたご座は金星と太陽とに挟まれた夕空に位置し、そこにはやぶさ2がいる!ということです。もしエールを手向けるなら、日没後暗くならないうちに金星の右下を向きながら念を送ってください(笑)。

連日のJAXA会見に寄れば接近は今のところ順調とのこと。探査機搭載の望遠光学航法カメラが次第に接近する小惑星を捉え始め、JAXAのはやぶさサイトで閲覧できます。下画像はそこからの引用ですが、背景に写っているいくつかの星は右星図に描かれていますよ。もちろんはやぶさが見ている小惑星の方向と、地球から見ている方向は違います。でも現状では極端な差が無いようなので、「はやぶさ2は小惑星と地球とを結ぶ軸線に近いところを飛んでいる」ことが分かります。

到着や観測、そして帰路でも1号の時のように迷わないよう、慎重に進めて欲しいなと願っています。

  • 20180606はやぶさ2-ONC-Tカメラ

    2018年6月6日・残り約2600km
  • 20180613はやぶさ2-ONC-Tカメラ

    2018年6月13日・残り約920km


金井宇宙飛行士帰還と同時刻のISS2018/06/03

20180603国際宇宙ステーション
国際宇宙ステーションに昨年12月から5ヶ月半にわたる長期滞在をしていた金井宣茂宇宙飛行士が、本日地球に戻りました。左画像はちょうど帰還用のソユーズを分離してから約40分後に日本の空へ差しかかった国際宇宙ステーションの軌跡。雲が多かったのですが、中央右上に向かって地球影に吸い込まれて行く直前に何とか観察できました。

これを撮影したのは21:40少し前ですが、同じ時刻に金井さんたちの乗ったカプセルがカザフスタンの草原に到達している予定です。直接地面めがけて落下する「弾道モード」による帰還のため、身体には重力の4倍の力(4G)がかかるとのこと。富士急ハイランドのド・ドドンパくらいですね。耐えなくてはならない時間は全然違いますが。

帰還とは関係ないですが、こんな遅い時間でもISSが見えるのは、夏である証拠。北極側まで太陽光が十分に差し込んでいるおかげです。遅い日は22時台、明け方側も1時台から見えることがあって驚かされます。

すばるに近づく金星と探査機TESSのこと2018/04/20

20180420金星と星団たち
日没後ベランダに出ると、生暖かい風と共に上空から月齢4の月光が降りそそいでいました。二日前の観察と比べると月はもう金星からだいぶ離れましたが、西空をパッと見ればまだ両星一緒に目に飛び込みます。

金星周囲に注目すると、近くにはおうし座のプレアデス星団とヒアデス星団が輝き始めていました(左画像)。私の住む茨城県南ではこの時期19時を過ぎれば少し暗くなるので、この光景を肉眼で捉えることができます。

20180420金星とすばる
今夕の金星とすばるの離角は約6.5°で、小型双眼鏡ではギリギリ一緒の視野に入る程度(右画像)。でも24日には約3.5°まで接近しますから、なかなか豪華な眺めになるでしょう。4月末にはヒアデスにも5°あまりまで接近します。ゴールデンウィークの楽しみのひとつにしてくださいね。なおこれらの画像は画像処理によって空を暗く抑えてあります。実際はもっと明るく感じますのでご注意ください。(暗くなるのを待っていると沈んでしまいます。)

20180420_TESS視位置
ところで前日の19日7:51JSTにNASAが外惑星探索衛星「TESS」(Transiting Exoplanet Survey Satellite)を打ち上げたことはご存じでしょうか。TESSは「トランジット法」つまり恒星の手前を惑星が横切るときの光度変化を利用して遠方の惑星系を捜索する宇宙望遠鏡なのです。

打ち上げられたばかりですが、ふと「どこを飛んでいるのかな?日本から見えるのかな?」と疑問に思って計算したところ、なんとこのヒアデス星団のすぐ側でした。NASA-HORIZONSによる視位置を元にステラナビゲーターで作図したのが左上星図。これによると20日19時頃は最初の画像の左上縁付近にいたことになります。もしかしたら写せるかも!と思ったのも束の間、既にかなり遠くを飛んでおりました。薄暮中の低空と言うこともあり、撮影は難しそうです。以前にテスラのロードスターが打ち上げられたとき撮影を試みましたが写りませんでした。ロードスターは約4×2×1mの大きさですが、TESSは冷蔵庫ほどの大きさなので結構小さめ。既に広がっている太陽電池パドルを考慮してもアマチュアの小型望遠鏡では暗すぎると思われます。

TESSは最終的に「月共鳴軌道」と呼ばれる細長い楕円軌道を周回しますが、現在はその軌道に乗せるためにだんだん楕円を広げて行く「トランスファー軌道」を進んでいます。今後どこかで撮影できることをちょっぴり期待して…。